第64話
「何かいますね」とレダちゃん。
よかった、魔力を無事に得たようだ。
魔力を得たから「何かいるよ!」と感じたんだろうし。
俺もこの寺に近づいた時、背筋に悪寒が掛け上がった。
そして、それはどうも寺にある洞窟から立ちのぼる霊気が関係しているらしい。
何をかくそう、俺はこの霊気を感じて軽くチビっている。
『君子危うきに近寄らず』
「ここは逃げ帰るのが上策です」頭の中の軍師『マイ孔明』が告げる。
「何かいるね、それじゃ帰ろうか?。」と俺。
「あの洞窟の中に何かいるさ。
行かないの?。」とレダちゃん。
「うん、行かない。」と俺。
「そっか、じゃあ私行くね」とレダちゃん。
「ちょっと待ったりーや!。何でやねん!。」俺は思わず偽関西弁になった。
「山では、生き物とか精霊とかモンスターとか悪霊とか・・・。
ほとんど言葉が通じなかったさ。
だから『気配』でコミュニケーションしてたさ。
・・・で、友好的な『気配』とか、無関心な『気配』とか・・・。
それで絶対放置しちゃダメな敵対的で怒りに満ちた『気配』っていうのがあるさ。
その『気配』を放置したら近いうちにその周辺は血の海になるっていう・・・。
その『気配』をあの洞窟の奥から感じたさ。」とレダちゃん。
あーっもう!。
わかってる!。
あの気配は放置したらヤバい!。
せめて対抗手段があれば、俺だって何とかしたい。
でも俺の手持ちの魔法でアンデッドモンスターに対抗する手段がないんだ。
俺だって、冒険者の端くれ。
一匹や二匹のアンデッドモンスターを退ける手段は持ってる。
じゃなきゃ、ダンジョンにだって潜れない。
聖水や塩、ニンニクや餅米、塩や十字架・・・ダンジョンの中で5~6匹のアンデッドに囲まれても撃退できる準備はある。
でもあの洞窟から感じる『人ならざるもの』の気配の数は10や20じゃない。
これは『エクソシスト』や『除霊師』の専門分野で、『格闘家』と『踊り子』がどうこう出来る話ではない。
ないのだが・・・何故かレダちゃんはやる気満々だ。
「よし、わかった。
この洞窟を浄化しよう。
でもやるからには完全に浄化しよう。
今、中途半端に浄化してもしょうがない。
今夜まで時間をくれ。
アイアちゃんにも手伝ってもらって徹底的に浄化しよう。」と俺。
「何か作戦があるの?。」とレダちゃん。
「もちろん、金持ちの闘い方を見せてやる!。」




