第62話
レダちゃんは踊るようにゆったりしたステップで、時々ダイナミックに蹴ってくる。
ほぼ蹴りが中心だが、冒険者ギルドにある演習用のナイフを
使っていたので、ナイフ術も『カピバラ』にはあるようだ。
よく鍛えられている。
俺が鍛えている盗賊達より若干強い。
もちろん駆け出しの冒険者より遥かに強い。
これが『踊り子』というだけで敬遠されて来たというのだから本当に馬鹿馬鹿しい。
レダちゃんはアイアちゃんとは違い強くなるのにタイムリミットがない。
なので日本に連れて行き、急激に強くする必要はないと俺は思っている。
ゆっくりと異世界ダンジョンで強くしよう。
・・・と、思っていた時期が俺にもありました。
「『カピバラ』を知っている・・・って事はばあちゃんが産まれ育った『チキュ』に行った事あるんですよね?。」とレダちゃん。
予定変更。
この子、素直すぎて隠し事が出来ない子だ。
多分、お祖母さんにも何度も「地球の事は誰にも言っちゃいけないよ」と言われてきたはずだ。
なのに俺に「『チキュ』から来たんですよね?」て会ったその日に聞いている・・・。
この子は俺の監視下に置かないと大変な事になる。
毎日、俺が日本に連れて行こう。
アイアちゃんには俺から事情は話すとして・・・。
「反対です。
男が部屋に女を入れる・・・とか、ふしだらです。」
予想に反してアイアちゃんは大反対した。
「そんな事を言ったらアイアちゃんも毎晩、俺の家に泊まってたじゃん。」と俺。
「アレは期限付きでした。
しかもタイムリミットがあり、やむなく・・・という話でした。
しかし、この子の話は期限もなく『ずっと同じ屋根の下で暮らす』という話に聞こえます。
ハレンチです。」とアイアちゃん。
「俺の話聞いてた?。
連れて行くのは『やむなく』だよ?。
アイアちゃん、何か怒ってない?。
確かにパーティメンバーであるアイアちゃんに相談しないでパーティメンバー決めちゃったのは申し訳ないとは思うけどさ・・・。
実力のある子が『レアなジョブ』というだけで村八分にされていたんだよ?。
アイアちゃんならわかってくれると思ったんだけど。」と俺。
「だったらお好きなだけ、誰でも家に泊めれば良いんです。
私はもう知りません!。」とアイアちゃんは部屋から出ていった。
しかしそれから『私はもう知らない』と言ったアイアちゃんが、必ず俺とレダちゃんの特訓に同席した。
・・・忙しいんじゃなかったのかな?。




