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第61話

 「こ、この動きは!。

 アレだ、えーと・・・『鉄拳』のエディの動き!。

 踊るみたいに攻撃する・・・アレだ。!

 カ・・・カ・・・そうだ!『カピバラ』だ!。」と俺。

 「そうです!。

 教えてくれたばあちゃんもそんな名前で呼んでました!。」とレダちゃん。

 しばらくレダちゃんの攻撃手段は『カピバラ』と呼ばれる。

 俺が間違いに気付いた後も恥ずかしくてしばらくは訂正されなかった。


 話は一時間前に遡る。


 「採用?。

 私はここでソロの依頼を受けないと1日一回の食事すら出来なくなっちゃうさ。

 悪いけど、用事は依頼が終わるまで待ってもらえないかな?。

 依頼は1日に五つはこなすさ。

 そうしないと1日一回食事出来ないからね。

 大丈夫、そんなに遅くならないさ!。

 あんまり遅くなるとパンの耳を売ってくれるパン屋さんが閉まっちゃうからね。」とレダちゃん。


 とにかく噛み合わない。

 ソロの仕事を受けなきゃいけないのはパーティに入れないから、食っていけないから、だ。

 なのにレダちゃんは『パーティに入る』事よりも『ソロの依頼』を優先する。

 「受けた仕事は絶対にこなす」というプロ根性ならわからない事もない。

 しかしレダちゃんはまだ依頼を受けていない。

 

 「この依頼、レダちゃんじゃなくても出来るでしょ?。」

 「『レダちゃんにしか頼めない』っておじさん言うし・・・。」

 「そんなのリップサービスだよ、おじさん少しでもチップくれた?。」

 「・・・」途端に黙ってしまうレダちゃん。


 俺はレダちゃんの手を掴んで、街の北の湖畔に連れて来た。

 レダちゃんは何も言わずに付いてきた。

 本当にこの子は人を疑う事を知らない。

 もし俺が悪人ならどうするつもりなんだろうか?。


 「私、初めてですから。

 色々教えて下さい。」レダちゃんが顔を真っ赤にして、蚊の鳴くような声で言う。

 なんだ、騙される事も満更でもなかったのか。

 言うてる場合か!?。


 「そうじゃない!。

 レダちゃんはパーティメンバーとして合格だけど、今日はレダちゃんがどれくらいの実力か試させてもらおうと思ってここに連れて来たんだ!。」

 ようやく意図が伝わって、俺はレダちゃんと組み手をする事になった。


 もちろん本気は出さない。

 これから強くなってもらえば文句はない。

 「どこからでもどうぞ」俺は達人を気取った。


 そして冒頭に戻る。


 おそらくレダちゃんは地球に行った事がない。

 だが、レダちゃんのおばあさんは地球から来た転移人だろう。

 レダちゃんはおばあさんに鍛えられ、カピバラを習ったのだ。

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