第53話
俺とアイアちゃんで一回に4~5人を担いで街の門の衛兵のところへ連れて行く。
時間がかかるかと思ったら二回の往復、五分はかからなかった。
「自分らも罪を償います」と五人の盗賊。
おそらく盗賊団は今回、全員まとめて処刑だろう。
五人も名乗り出たら他の盗賊と一緒に処刑される。
「お前らの罰は『俺の元での下働き』だ!。
今まで自堕落な生活を送ってきたかも知れない。
これからは早寝早起きさせて、規則正しい生活を送らせるから覚悟しろ!。」と俺。
甘いのかも知れない。
「突然大所帯になりました。
しかもヤツらは冒険者ではありません。
そのうち冒険者登録させて、冒険者になるにしても当面の生活はどうしましょう?。」とアイアちゃん。
ノープランだった。
そうだった、そういやコイツら何させようかな?。
「アイデアが浮かんだ。
・・・というか、俺の世界で実際にある商売なんだけど。
『盗人くんのマークの鍵屋さん』ってどうかな?。」と俺。
企画を売り込む際、本当であればパワーポイントで資料を作るのだが、俺はパワーポイントを上手く使えない上に、この世界の言語でプレゼンの資料が作れない。
だから口で説明するしかない。
「『盗人くんマーク』?。」とアイアちゃんがどうでも良いところに食いついた。
「そうだ。
『盗人くん』は俺が考えたマスコットキャラクターだ。
『盗人くん』にはちょっとしたバックストーリーがあるんだ。
増えすぎた人類は移民を行った。
盗人くんの両親はその移民団の団長夫妻だった。
辺境に盗人くんの両親は自治政府を作るんだ。
盗人くんのお父さんは、その日、辺境へ自分らを追いやった王国に『宣戦布告』しようと議会の議台に立つんだ。
そこで『盗人の盗人のための盗人の国』の独立を宣言するはずだった盗人くんのお父さんは議台の前で倒れるんだ。」と俺。
「ちょ、ちょっと待って下さい!。
その細かい『盗人くん』の設定、必要ですか!?。」とアイアちゃん。
「そういや必要ないね。
いやー、興が乗っちゃって・・・。」と俺。
と俺は広げた大きな羊用紙に『盗人くん』のイラストを描く。
ほっかむりをかぶっていて、唐草模様の風呂敷を背負っているダークな設定には似合わないコミカルなキャラクターだ。
「ところで『鍵屋さん』って何やるんですか?。」とアイアちゃん。
「アイアちゃんは鍵をなくして家に入れなかったりした経験はないかな?。」
「いえ、ありません」とアイアちゃん。
「そこで『ない』って言われちゃうと話終わっちゃうから『ある』事にして話の続き聞いてよ。」
「ごめんなさい。
でも嘘はつけません。
私、盗賊なんで、鍵がなくても鍵開けれるんです。」とアイアちゃん。
「あ、そうか・・・。
じゃあ話すね。
俺の世界には『鍵屋』って仕事があるんだよ。
鍵をなくして家に入れなくて困ってる人とかのために鍵を開けたり、その場で鍵を作ったり・・・そんな仕事があるのね。
その仕事を彼らにこの世界でしてもらおうと思って。
もちろん冒険者登録してダンジョンにも潜ってもらうけど。」と俺。
「テムさんが決めたならそれで良いと思います。」とアイアちゃん。
「何を他人事みたいに言ってるの?。
経営者で彼らの上司ってアイアちゃんだからね。」と俺。




