第52話
「アイツらを放っておいて、ここに来て良かったのかい?。」と盗賊団のボス。
「さあな。
仲間を徹底して信じなかったアンタと何があっても仲間を信じた俺、結果がどう転ぶかなんてまだわからない。
後悔する事になるかもな。
ただ俺は仲間に『私を信じて行ってこい』と言われたんだ。
・・・じゃあ、始めようか?。」と俺。
「何で私とアイアの勝負にお前が出てくるんだい?。」と慌ててボスが言う。
「そりゃ、こっちが聞きたい。
何でお前とアイアちゃんの勝負に、孤児院の神父さんが出て来なきゃいけないんだ?。
ルールを破ったのはお前らだろ?。
ルール破りゃ立ち会い人の俺も黙っちゃいないさ。
お前らがルール破ったにも関わらず、無関係の盗賊達を勝負に参入させたんじゃないのかよ?。
何で、そっちは良くて、こっちはダメなんだよ?。」と俺。
「・・・・・」反論出来るはずがない。
元々反論してくるヤツなどは切り殺していたのだから。
コイツらは論戦などした事がないのだ。
俺は生まれて初めて女の人を殴り飛ばした。
もちろん、手加減はした。
しないと盗賊団のボスの首から上は消し飛んでいる。
ボスが俺に話しかけているのには理由がある。
俺はボスを殺そうとしている。
しかし、人殺しは初めてで葛藤している。
殺そうとしている相手が女の人であるから尚更だ。
そんな相手が自分に話しかけてきたら多くの人はその相手を殺せるだろうか?。
俺は隠そうとしているが明らかに震えている。
その『震え』を明らかに俺は見抜かれている。
(甘ちゃんだね!いくらでも逃げようはあるよ!)盗賊団のボスは内心ほくそえんだ。
スパパパパパパパパパパパパパパ・・・・・!!!
けたたましい音が鳴る。
敵の盗賊達がバタバタと倒れる。
「盗賊のスキル『かんしゃく玉』です。
レベルの高い敵を驚かして、レベルの低い敵を気絶させます。」とアイアちゃん。
振り返ると寝返った五人以外の盗賊達が全員気絶している、盗賊団のボスを含めて。
俺達は盗賊団を縄で縛っていった。
「本当は俺が殺すべきだったんだよな・・・」俺はボソッと呟いた。
「そうかも知れません。
でも、盗賊を殺せずに葛藤するようなテムさんの言葉だから、盗賊達にも届いたんだと思います。
コイツらは司法の判断に任せましょう!。」とアイアちゃん。
今回は人殺しせずに済んでしまった。
しかしそれは問題の先送りのような気もする。




