第51話
「聞きたい事があるんですが・・・。
あなた方がウチの子供を連れて行くのは、これで三回目です。
そのうち本人の合意があって連れて行くのは今回も含めて二回目です。
一回はウチから子供を拐っていきましたよね?。
それについては今回は問いません。
私が聞きたいのは『あの子たちが今、どこにいるか?』だけです。」と神父。
確か、マンガで読んだ。
忍者は人さらいをして、子供を養成するのだ。
盗賊も子供を連れてきて、もしくは拐って養成するのだろう。
養成の最中に命を落とした者もいるだろう。
養成された後、任務中に命を落とした者もいるだろう。
何にしても、ここにいないという事は・・・。
「お前ら、ヘラヘラ笑ってんじゃねえ!。
死んだのはお前らの仲間だろうが!。」つい、俺は叫んでしまった。
「言っとくが、この女は毛の先ほどもお前らの事信用もしてねーし、何とも思ってねーからな。
この女が少しでもお前らの事信用してたら、お前らと模擬戦してお前らを鍛えてるはずだからな。
何でそれをしないかわかるか?。
お前らを信用してねーから、自分より強くなられちゃ困るからだよ!。
そんな事になったら謀反が起きかねない。
この女が多少はお前らを鍛えてると思ったし、相乗効果でこの女も強くなってるかも知れないと思ったから、俺らは必死で修行したんだよ。
この女が負けた理由は『仲間を信用出来なかった』『慢心で修行しなかった』この二点だよ!。
この女は自分がボスでいるために、仲間が死んでいくのをただ笑って見てたんだ!。
何でそれをお前らが一緒になって笑ってるんだよ!。
確かに俺は今までに人を殺した事がねーよ。
人殺しをするのが偉いなんて今でも思えない。
今でも人を殺したくもない。
でも、この女は絶対誰かが殺さなきゃいけない。
今、俺はこの女を殺すべきなんだ。
俺は罪を背負う。
お前らに宣告する。
少しでも自責の念があるなら投降しろ。
さもなくば、この女と一緒に貴様らを殺す。
今から10数える。
その間に投降しなければ虐殺を開始する。
10、9、8・・・・。」
5人、盗賊達が投降した。
良かった。
俺の言葉は盗賊にも響いたんだ。
投降した5人を絶対に殺させない。
盗賊団は真っ先に『裏切り者』を殺そうとする。
俺とアイアちゃんは5人の投降した盗賊と神父を背に立つ。
20人以上が一斉に投げる投げナイフを全て叩き落とす。
別に俺とアイアちゃんは投げナイフがあたっても蚊に喰われたようなもんだ。
だが、神父と投降した盗賊達は投げナイフが当たったら、当たった場所如何で命を落とす。
「何かを守りながら闘う」というのが一番難しい、と言う。
ゲリラ戦略の基本は「相手は殺さない、怪我人を増やす事」だと言う。
非戦力を守りながら闘う・・・戦力は半分以下になるという。
俺にこの盗賊達を守る理由も義務もない。
しかし、俺が守ると決めたのだ。
360度、色々な場所から投げナイフや石が飛んでくる。
叩き落とす事自体は大した手間ではない。
ただ、俺がこの場所から離れてしまったら・・・。
後ろからアイアちゃんの声が聞こえる。
「ここは私に任せて下さい。
私を信じて!。」
俺は弾かれたように盗賊団のボスに向かって駆け出した。




