第49話
しかし、盗賊団のボスはえらい自信満々だな。
きっと奥の手を残していそうだ。
しかしその『奥の手』がこちらが考えていたものなら、真面目に修行したこちらが上をいくだろう。
問題は相手の『奥の手』がこちらの予想を越えていた場合だ。
話は二日前に戻る。
俺はダンジョンでレベリングしていた。
そして、ダンジョンで狩ったモンスターの討伐証明部位を持ってきて金に変えていた。
だが、人類未踏のダンジョンを突き進んでいた俺はギルドに登録されていないモンスターを狩ってくる事もしばしばあった。
なので、俺のモンスター討伐の窓口はギルド長になってしまったのだ。
「しかし・・・見た事もないドラゴンの首を持ってきて『モンスターを討伐したから金払え』って言われても。
いくら払って良いかもわからないわ。」とギルド長。
「別に飯代払ってもらえればそれで良いんだけどなあ。」と俺。
「これだけ強いのに、これ以上修行してどうするの?。」とギルド長。
「いや、アイアちゃんは更に俺より強いぜ。
まだまだ上を見れば、キリがない。」と俺。
「でもそれだけ強ければ、森に根城を構える盗賊団を倒せるんじゃない?。」とギルド長。
「盗賊団の事で聞きたいんだけど、良いか?。」と俺。
「答えられる範囲ならね。知らん事は答えられないけど。」
「かまわない。
普通、盗賊団って言ったら、棲み家を隠すものなんじゃないか?。
棲み家もバレてる上に、その棲み家は街から近い森にある。」と俺。
「情けない話だが、盗賊団にこの街の衛兵達はかなわないんだ。
だからナメられてる。」とギルド長。
「この街の衛兵達は弱いのか?。」と俺。
「そんな事はない。
五匹で国を滅ぼす、と言われるワイバーンを三匹討伐した事もある。
もちろん、冒険者ギルドも協力したがな。
盗賊団のボスが桁外れに強いんだよ。」とギルド長。
「一度、盗賊団が街を荒らし回った事がある。
『姿見はどこだ!。
盗んだのはどいつだ!?。』と盗賊団のボスが喚き散らしていたらしい。
その時、街の衛兵総掛かりでも盗賊団のボスに歯が立たなかったんだ。
だから、アイツらの棲み家が割れてようが街の衛兵達は知らんぷりするしかないんだ。」とギルド長。
この話を聞いた時俺はわかった。
「姿見は盗賊団のボスがもっていた事がある。」
「今、盗賊団のボスは姿見を持っていない。」
「盗賊団のボスは日本に転移した事がある。」
「盗賊団のボスは日本に転移して無双の強さを手に入れた。」
「姿見は盗賊団のボスの元から盗まれ、今の小屋に置かれた。」
「その後、小屋から日本へ転移した者が医者に姿見を寄贈した。」
ボスの強さの秘密はわかった。
楽観は出来ないが、こちらは充分闘えるはずだ。
盗賊団は飛び抜けてボスが強い。
つまり盗賊団員に協力者はいない。
協力者がいれば俺のように、ボスと一緒に強くなっている者がいるはずだ。
つまり、ボスは修行などは全くしてはいない。
おそらく俺と修行しまくったアイアちゃんの敵じゃない。
私が危惧しているのはアイアちゃんの素直さだ。




