第42話
ダンジョンを一人進む。
壁にある松明は攻略済みの証だ。
松明が切れている、または切れかかっている時は通りかかった冒険者が松明を足す。
それは相互扶助システムになっており、松明だけは冒険者ギルドが無料で配っている物でダンジョンに潜る時に手渡される。
攻略済みの場所では燭台の下に松明が積んであることが多い。
少しでも荷物を軽くしたい冒険者が、松明を燭台の下に置いていくのだ。
だが、夜中のダンジョンは人がいない。
松明が消えている事も多い。
俺は律儀に松明を灯しながらダンジョンを進む。
優しさたらではない。
「方向音痴だが、松明を必ず灯していると『一度来た道』がわかるから」だ。
一人でダンジョンを進む。
そのうち道を覚えるだろう。
だが、一人だとマッピングも出来ない。
だいたい何かを書きながら歩く、という事が難しい上に、夜中にモンスターに警戒しないなどナンセンスだ。
実際、モンスターは頻繁に出る。
しかし低階層のせいで強いモンスターはいない。
複雑なダンジョンも何かで読んだ『左手を絶えず壁につけている事で必ずゴールに辿り着く』という方法のおかげで、今のところ順調に進んでいる。
でも『左手法』は本来地下2階以降では通用しない。
何故ならほとんどの場合、スタートとゴールになっている階段が部屋の外周にない、部屋の中央近辺にあるからだ。
『左手法』はスタートとゴールが外周にある時にしか通用しない攻略法で、ダンジョンが同じ所をグルグル回る仕組みな時は『採用してはいけない攻略法』らしい。
つまり『左手法』に頼って、ここまでサクサク順調に来たのは『運が良い』のだ。
そんなのは知らない俺は『この方法スゲー便利じゃん!。
マッピングするヤツアホだな!。』などと思っている。
アホは俺だ。
多少気が大きくなっていた。
松明の間隔が大きくなっている事に俺は気付くべきだった。
俺は階段を下りた。
もう地下何階まで降りてきただろう?。
・・・真っ暗だ。
つまり、人類未踏の階だ。
しかもモンスターが多い夜中だ。
しかも、この濃厚なモンスターの気配、殺気・・・間違いない。
モンスターハウスだ。
通りでモンスターの攻撃が少しは通る、と思ってた。
上層階じゃほとんどモンスターの攻撃は俺の『身の守り』を通さなかった。
望んでいた展開だ。
『強いモンスターと闘いたい。』
『レベルアップしたい。』
『経験値が大量に欲しい。』
だけど・・・
『真っ暗で夜目が全く利かない。』
『モンスターの数がわからないほど多い。』
何事も思い通りにはいかない。




