第41話
少し疲れていたのか?。
うたたねしていたようだ。
夢を見ていた。
空手の試合に出る夢だ。
県立の武道館での小さな試合だ。
遅れて到着した俺は胴着に着替える場所がない。
ようやく俺は着替える場所を見つけた。
名門の道場の下っ端のヤツが「申し訳ありませんが、ここは先輩達が着替える場所です!」と大声で叫ぶ。
丁寧なのは言葉遣いだけで、目付き、声の大きさ、態度で威圧してくる。
先輩の分の場所取りなんて、許されない話だ。
だが、俺はビビって場所を渡してしまう。
「相手が悪い」
同年代の同じ素人じゃないか。
「相手の方が強い」
俺だって同じくらい強くなってやる。
「才能が違う」
決めつけるな。最初から諦めてるから追い付けないんだ。
「飛べない鳥もいる」
それは鶏の事か?。
俺は高知で見たんだ。
木の上に鶏がいるのを。
飛べない鳥はいるかも知れない。
でもそれは鶏のことじゃない。
飛び方を覚えれば鶏だって飛べるんだ。
はっと目を覚ます。
弱気になっている時に見る夢だ。
良くない傾向だ。
とりあえず今のステータスを確認する。
『テム=レイ』
職業:格闘家
年齢:19
性別:男
レベル:12
力:23×84
身の守り:26×91
素早さ:32×112
魔力:20×1
賢さ:14×14
かっこよさ:20×23
HP:44+86
MP:37+1
うん、強くなってる。
強くなってるし、賢くなってる。
何で賢くなってるって?。
自分のステータス、暗算出来るもん。
でもアイアちゃんの方が強いんだよな。
しかも俺は格闘家である以上、武器も防具もたいした物は装備出来ない。
泣き言を言っても始まらない。
トレーニングに出る。
昨日より少しでも強くなる。
後退はしない。
才能がないのはわかった。
でもチャンピオンになれないほど才能がないとはまだ限らない。
勝利者インタビューで「本当に俺、ボクシング下手ですねー」と嘆いたチャンピオンもいるという。
才能がなくても、格闘技が下手でも、最強にはなれる・・・と信じてトレーニングする。
三時間ほど走り込みと筋トレを行う。
部屋に戻る。
アイアちゃんは寝ているのか、狸寝入りをしているのかわからない。
とにかく、異世界へと向かう。
街外れにダンジョン入り口がある。
夜中にダンジョンに潜るヤツはいない。
そこにいるのは警備の兵士達、数名だ。
俺はダンジョンに潜ろうとする。
兵士達が俺を引き止める。
「何かイヤな事でもあった?。」
兵士達には『イヤな事があってヤケクソでダンジョンに身を投げようとしている男』に見えるらしい。
俺は冒険者証を出す。
「冒険者ギルドのギルド長から一人でダンジョンに潜る許可は受けているんだが?。」と俺。
「ちょ、ちょっと待って!。」と警備の兵士達。
待つ事2、3分、俺にダンジョンに潜る許可が与えられた。




