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第40話

 孤児院を後にし、小屋を目指す。

 アイアちゃんには『転移の方法は決闘が済んでから教える。今は頭を悩ますべきじゃない。目を閉じて手を繋いでついて来てくれれば良い。俺を信じて!。』と伝えてある。

 昨日までは何か納得出来ないみたいな、半信半疑みたいな雰囲気があったけど、今日は『テムさんを信じます。』との事。

 何か信用を得たみたいだ。

 目を閉じたアイアちゃんを姿見を通って現代日本に連れて行く。

 「じゃあ今からトレーニングするから昨日と同じ格好に着替えてね」と告げて俺はユニットバスへ行く。

 異性と同じ所で着替える訳にはいかないから俺が風呂場で着替える・・・何も問題あるまい。


 俺が風呂場で着替えようとパンツ一丁のところ、アイアちゃんが来た。

 「こんな感じで私はお尻を蹴られましたね。」

 アイアちゃんは良く見ると耳まで真っ赤だ。

 本当は恥ずかしいのに照れ隠しをしているようだ。

 何で風呂場に来たのか、と聞いたら家主を風呂場で着替えさせて、部屋で着替えて良いのか、気になって聞きにきたそうだ。

 変なところで律儀だが、そんなん着替え中の俺をバッチリ見ちゃうだろ。

 アイアちゃんは少し抜けている。


 「ちょっと方針転換をする。」と俺。

 「今日はもう、俺とスパーリングをしても強くなれない・・・そんな瞬間が必ず明日も来る。

 その時、時間がもったいない。

 アイアちゃんはダンジョンでレベリング。

 俺はこちらの世界でトレーニングする事にしよう。」と俺。 

 「テムさんに手伝ってもらって、考えてもらって、申し訳ない・・・。」とアイアちゃん。

 「俺は最強になるのを諦めた訳じゃない。

 だけど晩成型だし、男だし、最強になれたとしても時間がかかる。

 俺が最強になるのもアイアちゃんに手伝って貰うよ」と俺。 


 それはそれとして、今日もトレーニングを行う。

 俺が格闘家という事もあり、素早さだけは低くない。

 ランニングで日本のコースを知らないアイアちゃんを先導しなきゃならない。

 ステータスが俺より遥かに高いアイアちゃんを先導するのは中々スリリングだ。

 どのくらいのスピードで走っているんだろうか?。

 試しに『箱根駅伝』のコースを走ってみた。

 比べられるモノじゃない。

 駅伝の時じゃなければ信号待ちもあれば、踏切待ちもある。

 それにもちろん俺が走っても白バイは先導してくれないし、俺は車道を堂々と走れない。

 それでも目安として、ほぼ『箱根駅伝』のコースを往復してみた。

 踏切や信号は大きく飛び越えて行ったり、全く駅伝コースと同じではないが、だいたい2往復で30分くらいかかった。

 これが早いのか遅いのかは俺にはわからない。

 今日は青森まで走った。

 さすがに海峡を越えて北海道には行けなかった。

 ・・・北キツネが見たかった。


 走り終えた後、筋トレを開始した。

 筋トレのセットが必要なんだろうか?。

 しかし、そんな金はない。

 異世界なら少しは金はあるんだけど。

 異世界の財産を日本の財産に変換する方法はあるだろうか?。

 ・・・いや、欲をかいてロクな事はないだろう。

 しばらくは原始的に『腕立て伏せ』『腹筋』『背筋』『スクワット』をするしかないか。


 その日、アイアちゃんが寝静まるのを待って、もう一度トレーニングに向かおうとした。

 「私も行きます。」とムクっとアイアちゃんが起き上がった。

 「このトレーニングは俺がアイアちゃんについていくためのものだから、アイアちゃんが参加したら余計に俺がアイアちゃんについていけなくなっちゃうよ。

 それに休息は無駄じゃない。

 一週間後の決闘時、ベストの体調で臨めるように休みを充分取っておくように。

 俺に気を使って、ボロボロの体調で挑むなんて本末転倒だ。」と俺。

 「本当に色々考えているんですね」とアイアちゃん。

 考えてるのか?。

 8流大学のバカ学生なんだが。

 『賢さ』が上がってるのか?。

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