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第39話

 ワイバーンを冒険者ギルドへ持っていく。

 ズタ袋に入れているので、これがワイバーンだとは誰も知らない。

 「モンスターの買い取り頼めるか?。」俺はイケメンに言う。

 「本当に倒して来たんだな。

 女の子と乳繰り合ってただけかと思ってた。」とイケメン。

 コイツ・・・何人冒険者、喰っちゃったんだよ。

 本当にイケメンて得だよな。

 ちょっと待てよ?。

 そのイケメンがデートスポット教えてくれる、とか俺ももしかして結構イケてるの?。

 「で、なんてモンスターの買い取りだよ?。」とイケメン。

 「良く知らない。確か『マイコハーン』とかいうモンスターだった。」と俺。

 「『マイコハーン』?。

 買い取り価格、表にはのってねーな?。

 わりーけど、モンスター買い取り、経理に回して良いか?。

 俺じゃわかんないわ。」とイケメン。

 「まあ、しょうがないわな。

 コレ、買い取ってもらわないと俺ら晩飯食えないからな。」俺は渋々承諾した。

 ズタ袋が経理に運ばれていく。

 すぐに俺とアイアちゃんがギルド長の部屋へ呼ばれる。

 「何が『マイコハーン』よ!。

 『ワイバーン』じゃない!。部屋に入って早々俺らは強烈なツッコミを受けた。」ギルド長は若いエルフの女性だった。

「そんな事言ってもこのトカゲ初めて見たんだから、しょうがねーだろ!。

 名前なんていちいつ覚えてねーよ!。」と俺。

 「トカゲじゃなくて竜!。

 ねえ、本当にワイバーンを二人で倒したの?。」とギルド長。

 「いや、倒すつもりもなかったんだけど、コイツが空グルグル周りながら、凄い殺気出してきやがったんだよね。

 まあ、あそこまで喧嘩売られたら買うしかないっていうか・・・」と俺。

 「空を旋回しながら、殺気を放つ・・・。

 間違いない、ワイバーンの狩りの習性だわ。

 本当にあなたたちがワイバーンを倒したのね。

 たった二人で。」とギルド長。

 「私は手を出してませんよ。

 倒したのはテムさんです。」とアイアちゃん。

 「そんな事言っても、アイアちゃんの方が俺より何倍も強いじゃない!。」と俺。


 「・・・って訳で、充分な強さあると思うから一人でダンジョン入っても良いよね?。」と俺。

 ギルド長は勢いに圧されて頷いた。

 これでアイアちゃんの相手をするための特訓をダンジョンの中で一人、やれる。


 麻袋5袋の中には金貨が沢山入っている。

 どれくらいの価値かはわからないが『何年かは豪遊出来る』と言うから、それなりの金額なのだろう。

 ギルド長に俺達が『ワイバーンを倒した』というのは口止めする。

 盗賊団のボスが油断していてもらう方が都合が良い。

 噂を聞いて、真面目に対策を練って、その結果ボスに負けたなどといったら面白くない。

 わかっている。

 「もうよっぽどの事がない限り、盗賊団のボスには負けない。」

 でも盗賊団のボスの協力者に俺と同じ『異世界転移者』がいないとは限らない。

 ないとは思うし、姿見は今俺の下宿にあるけれど、何か弱みを握られていて医者が盗賊団の協力者かも知れない。

 俺は『医者が気付いていない事を俺は気付いている』と思っているが、別に医者が気付いていて俺が気付いていない事があるかも知れない。

 俺は姿見を転移に使っているが医者はもっと良い方法を見つけているかも知れない。

 警戒してしすぎる事はないのだ。


 金を持って、アイアちゃんが世話になった孤児院に行く。

 「寄付だ」とだけ告げて金貨の麻袋を神父に押し付けて帰ろうとした。

 「ちょっと待って下さい!。

 アイア?アイアだよね!?。」と神父。

 照れ臭そうにアイアは「冒険者になって、退治したモンスターが売れたから・・・」と言い訳をした。

 「って事は貴方が・・・。」

 「パーティメンバーだ。」と俺。

 「アイアが世話になっています!。

 大したおもてなしも出来ませんが、夕飯食べて行ってもらえませんか?。

 妹や弟達もアイアがいると喜びます!。」と神父。

 当たり前だが、ここにいる子供達にアイアちゃんと血縁関係はない。

 本当は他人なのだ。

 成人したアイアちゃんにもう孤児院は関係ない場所なのだ。

 だが、夕飯の誘いを断る理由はない。

 孤児院で夕飯をご馳走になる。

 贅沢ではないが、素朴で何か懐かしい味で、いかにも家庭料理という感じだ。

 「コブラクラッチという料理です。」とアイアちゃん。

 

 「泊まっていきませんか?。」と神父が言うと子供達が「そうだよ!お姉ちゃん泊まってってよ!。」と蜂の巣をつついたように騒ぎ出した。

 今は大事な時期だ。

 この場所にまた来るためにも今日は帰ってトレーニングしなきゃいけない。



 「今度、ここに来るのは盗賊団と完全に縁が切れた後だな。

 俺も微力ながら力になりたい。

 いや、力にならせてくれ!。」と俺。

 「・・・はい!。」宙を見据えるアイアちゃんの顔にもう迷いはなかった。

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