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第37話

 やはり、危惧していた通りだった。

 『アイアの成長スピードに俺の実力がついていけない』

 どうする?。

 ドーピングして俺の実力に下駄を履かせるか?。

 いや、筋肉増強効果のあるアナポリックステロイドが俺の手持ちの金で手に入る訳がない。

 手に入ったところで、一週間で効果が出るか怪しいものだ。

 効果があったとしたところで、筋肉増強効果を最大限に引き出せるトレーニング設備を使うツテすらない。


 もう今さらわめいてもしょうがない。

 今夜、もう一度一人で猛トレーニングしよう。

 その後、一人で異世界へ行って、モンスターを倒してレベリングしよう。


 もしかしたら、すごい有用な補助魔法を覚えるかも知れない。

 それがあるだけであと2、3日は模擬戦相手になれるような。

 やれる事がある間は泣き言はやめよう。

 アイアちゃんは女性だから日本ではそれほど大きくステータスアップ出来ない。

 実力で追い抜くにはアイアちゃんが日本でトレーニングする今夜しかタイミングがない。

 考え事をしていたら結構森深くにやってきた。

 ここでモンスターを倒すらしい。

  

 「そういえばパーティの名前考えなくちゃですね!。

 もう考えてあるんですか?。」アイアちゃんは不自然に明るく言った。

 「・・・マッドアングラー・・・」俺は考え事をしていたので、上の空で呟いた。

 「パーティ名『マッドアングラー』ですか?。

 どういう意味ですか?。」とアイアちゃん。

 「・・・狂った釣り師・・・」と俺。

 「意味わかんないです!。

 全然強くなさそうだし、服着たまま川にダイブしそうだし!。

 もう決定なんですか?。

 もう少し強そうだったり、可愛かったりする名前にしましょうよ!。」とアイアちゃん。

 「もう決定なんだ、ごめん」と俺。

 こうしてアイアちゃんには大不評で、俺は上の空で「何でこんな名前なのか!?」と後から驚いたパーティ名『マッドアングラー』は誕生した。


 俺とアイアちゃんは同時に殺気を感じた。

 「殺気が混じった感情」などではない。

 だいたい殺気の中に「怒り」や「悲しみ」など別の心情が混じっているものだが、純度100%の純粋な殺意だ。

 人間はこのような感情を持ち得ない。

 この感情の主はモンスターだ。

 それは良い。

 この感情の主はどこにいるんだ?。

 俺は真上を見る。

 そこには翼のはえたトカゲが旋回していた。

 「ワイバーン!!!」アイアちゃんは叫んだ。

 俺は「ワイの番やで!」と突然偽関西弁で叫んだのかと思った。

 何だこの子は?。

 決闘の緊張感から突然狂ったのか!?・・・と俺は思った。

 俺のせいだ。

 俺が不甲斐ないばかりに、特訓も上手くいってない。

 狂ったのは俺のせいだ。

 せめて狂ったアイアちゃんに付き合って俺も狂ったような行動をとろう。

 「俺のターン!」俺は高らかに叫んだ。

 ビクッとしたのはアイアちゃんと空を旋回しているトカゲ。


 「突然何なんですか!?。

 そんな事よりワイバーンですよ!。

 ワイバーン!。」とアイアちゃん。

 「ワイバーン?。」と俺。

 「向こうの世界にはいないんですか?。

 五匹の群れなら国すら滅ぼせる凶悪な小型竜のワイバーンです!」とアイアちゃん。

 えー、じゃあピンチなんじゃないの?知らんけど。

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