第36話
~二時間経過~
隠しステータスであるはずの『持久力』は充分にあるはずだ。
俺は50キロ以上全力疾走しても息は切れない。
しかしアイアの呼吸は整っているのに、俺の息は上がり切っている。
アイアは模擬戦でおそらくレベルアップした。
しかも女性だからレベルアップの数値も大きいしレベルアップの頻度も高い。
対して俺は男だからレベルアップの数値も低いしレベルアップの頻度も低い。
その上、俺の成長型は『晩成型』だから、余計に今はレベルアップも望めないし、レベルアップしたとしても上昇値の数値は低い。
せめてあと1時間、アイアが盗賊団のボスに勝てるように相手出来ないだろうか?。
アイアが攻めるのを待っていても俺のスピードではもう対処出来ない。
サンドバッグのようにボロボロにされながら「どうすれば良いか」考える。
半分ヤケクソだ。
戦闘中にステータスウィンドウを開く。
そこに『魔法』のコマンドがある。
あれ?こんなの前からあったっけ?。
『魔法』の項目を開いて見る。
すると新しいウィンドウが開く。
『スピードアップMP:2消費』
『身の守りアップMP:2消費』
これ最初から教えといてくれよ!。
これ知っておけば、だいぶ痛いの我慢しなくてよかったのに!。
俺は補助魔法を覚えた。
これがないから、俺はパーティに入れてもらえない事が多かったんだし、今だったらパーティに入れるかも!?。
・・・なんて、もうパーティを組んだ後に思うんだから本当にタイミングが悪い。
俺は『スピードアップ』と『身の守りアップ』の補助魔法を使った。
重ねてかける事は出来ないようだ。
補助魔法を使って30分ほどはアイアと模擬戦を行えた。
しかし、その後の1時間はサンドバッグにされた。
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~アイア視点~
テムさんの動きが見える。
次の動きが読める。
息使いが聞こえる。
テムさんの考えている事がわかる。
『何をしてもダメだ。
だけど、アイアの動きに全く対応出来ない。
何もしないのはダメだが、何かをするのはもっとダメだ。
どうすれば良い・・・。』
私はもう見ていられない。
「もうやめましょう!。」と私。
「ここで止めて、そのせいで盗賊団のボスに負けたら?。」とテムさん。
「だとしても!。
・・・もうテムさんにしてもらう事はありません。」と私。
「そうか、申し訳ない。
大きな事を言っておきながら結局は何も出来ない。」とテムさん。
「別に盗賊団のボスに勝てなくたって良いじゃないですか!。
いざとなったらテムさんの世界で生きていけば良いんです!。
逃げたって良いじゃないですか!。
逃げた先で楽しく暮らしていきましょうよ!。」と私。
「・・・アイアちゃんは何も悪い事はしていない。
逃げる必要も投げられる石を避ける必要もなくマギーの街で堂々と生きていって欲しかった。」とテムさん。
あぁ、テムさんって私の事『アイアちゃん』って呼ぶんだ。
そんな事より、テムさんがそこまで私の事を考えてくれていたのが嬉しい。
「今晩の晩ごはんはこちらの世界で済ませましょうよ!。
とりあえず晩ごはん代稼ぎに森の奥まで入りましょうよ。
折角、二人ともちょっとは強くなれたんですから。
モンスター倒せるようにはなったと思いますよ!。
モンスターを倒して手に入れたお金で『スプラッシュマウンテン』ご馳走しますよ!。
私、美味しいお店知ってるんです!。」と私。
少しわざとらしくはしゃいだかも知れない。




