第28話
「なんの冗談なの?。」と女盗賊。
「冗談じゃない。
確かにパーティメンバーは探していた。
メンバーが見つかってなかったのも、断られまくってたのも事実だ。
『入れてもらえないなら、こちらでパーティを組むメンバーを見つければ良いじゃない』って入ってくれそうな人を探してたのも本当だ。
だけど、誰にだって声をかけてる訳じゃない。
声をかけたのはアンタが初めてだ。
俺は『アンタにはスカウトされるだけの実力がある』と思っている。」
その理由は4つ。
「俺相手に踏み込んだ。」
「相手の実力を瞬時に読み取って『これは勝てない』と防御を固めた。」
「そして、その眼光。
アンタは賊でありながら、その目は腐り切っちゃいなかった。」
「アンタは俺と拳を交えた。つまり俺の力を知っている。
だから『お前は闘うな』とは言わないはずだ。」
なんということだ。
私が盗賊だという事はバレていたらしい。
その上でこの男は私に「仲間にならないか?。」と言っているんだ。
しかし、この男とは会ったばかりだ。
信用して良いかどうかもわからない。
「少し考えさせて欲しい。」と私は答えた。
「もちろん。
こちらが信用出来なくて当たり前だ。
しばらくは試用期間という事でかまわない。
それでこちらが信用出来るというならば正式にパーティメンバーになればいい。」と男。
こうして、仮にではあるが『格闘家と盗賊』という急造パーティが誕生した。
俺は冒険者ギルドへ薬草を売りに行った。
その後をとぼとぼとついてくる女盗賊。
俺は初めてギルドのクエストをこなしたが、手にしたのはおおよそ日本の金にして60円くらいだ。
やはりパーティとして森の奥に入ったり、ダンジョンに潜らなくては金にも経験値にもならない。
俺は急造パーティ二人で、森に入る事にした。
女盗賊は俺についてきているだけだ。
どこに向かっているのか知らない。
後から聞くと、女盗賊は俺がどこかへ向かっているんだと思ってついて来たらしい。
だが俺は異世界の事は詳しくない。
女盗賊はこの辺の事知っているだろう、とテキトーに森に入って行った。
その森が女盗賊が入ろうとしていた盗賊団の縄張りだという事は俺はもちろん、女盗賊も知らなかった。
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~女盗賊視点~
かなり森が深くなってきた。
この男はどこへ向かっているのだろう?。
しかし、先ほどから見張られている。
森の中での監視・・・エルフのテリトリーに入ってしまったのだろうか?。
エルフは森を荒らさなければ、こちらに手は出して来ないという話だ。
問題にはならないだろう。
問題になるとすれば、『不干渉』では済まない『何か』のテリトリーに入ってしまった場合。
囲まれた。
敵意は感じない。
訳がわからない。
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ここまで気配を殺す気がなければ、俺でも気付く。
俺と女盗賊は囲まれた。
見た目でコイツらが『盗賊団』であることはすぐにわかった。
「ここまでコイツを誘導して来てくれて御苦労さん。」コイツが盗賊団のボスだろうか?。
無精ひげの男が女盗賊に言う。
「俺は薬草採取のクエスト報酬、銅貨6枚しか手持ちがないんだが」と『俺を拐っても利益がない』とアピールする。
「アンタ、冒険者ギルドで『アムロ=レイの身内だ。』と吹いてたらしいな。
今、医療だけじゃなく、文化、産業がアイツを中心に回ってるんだ。
『アムロ=レイを手に入れた国がこの世界を制す』なんて言われてるんだよ。
アイツは色んな国が自分を欲しがっている事を知って、姿をどこかに消しちまった。
そんな時、アイツの身内を名乗るお前が現れた。
お前を人質に取ればアムロが味方につくかも知れない。
だからオメーはその身体さえあれば良いんだよ。
俺らもやっとツキが回ってきた。」
嘘はつくもんじゃないな。
俺、「医者の身内だ」っての真っ赤な嘘だし。




