第25話
突然ナイフを構えて突撃してきた女に俺は驚いた。
なぜだ?。
俺は紳士的に謝罪をした。
これ以上どうしろというのか?。
俺は「いつまで下半身丸出しなんだよ?。
見せつけてるのか?。
そうじゃないなら早く服を着ろ。」と言ったつもりだ。
それで何で怒るんだ?。
「私は裸でいたいのに『服を着ろ』なんて言うな!。」と言う意味で怒ったんだろうが、そんな事で怒るとは俺には思えなかった。
本当に女心は複雑怪奇だ。
俺は驚いた。
反面、冷静だった。
相手の動きが止まって見える。
時間をいくらでも無限に刻む事が出来る。
アインシュタインは相対性理論でこういう事が言いたかったんじゃないか?。
俺の胸に向かって女がナイフをつき出す。
俺は身体をひねって突き出されたナイフをかわし、ナイフを掴んでいる手首を更に掴む。
俺は盗賊というジョブを知らない。
この女が逆上して切りかかってきた・・・んだと思っている。
もちろん半分は逆上したからだ。
しかしもう半分は元から切りかかるつもりだったのだ。
「落ち着け。
俺は遠くから来た田舎者だ。
だからここらへんの社会常識というものをあまり知らない。
そのせいでアンタを怒らせたかも知れない。
ただ悪気はないんだ。」俺は女盗賊を宥めた。
本当に噛み合っていない。
誤解だらけだ。
誤解だらけなりに女は「この人は私が盗賊だという事に気付いていない。」とやっと気付いた。
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女盗賊視点
盗賊が冒険者に切りかかったのだ。
取り押さえられた今、憲兵に突き出されてもおかしくない。
だが、当の切りかかられた冒険者が何故か盗賊である私を説得しようとしている。
「俺は何でアンタが怒っているのかわからない。
俺は協力者を探しているだけだ。
協力者って言うのは『薬草がわかる人』と『パーティメンバー』だ。」と冒険者。
あれだけデリカシーのない事を言っておきながら『何で怒ってるかわからない』というのも頭おかしいが、それ以上におかしいのが『切りかかられた』という認識が全くない事だ。
私は盗賊だ。
義賊というのもいる。
冒険者の中にもお尋ね者でない盗賊もいる。
だが、私は賊に仲間入りした。
まだお尋ね者になっていないが、賊に仲間入りする試験の真っ最中で終わる頃には立派なお尋ね者だ。
盗賊じゃなかったとして、堅気の人間に切りかかったのだ。
それだけで憲兵に突きだされてもおかしくない。
この男が何者か、何を考えているかイマイチわからない。
ただハッキリしている事がある。
私のナイフでの一撃は簡単に避けられた。
つまり、実力差があり私より明らかに強い・・・という事だ。
抵抗は出来ない。
幸い、薬草の見分け方はわかる。
私は一時的にこのおかしな冒険者の男の仲間になった。




