第24話
中世の『トイレ事情』は深刻だった。
下水道がないばかりじゃない。
トイレがないのだ。
中世のヨーロッパでは屋敷の中、外に関係なく排泄物がころがっていたという。
一説によると排泄物をベッタリ踏まなくて良いようにハイヒールが産み出されたとか。
排泄物がそこらじゅうに転がり、下水道がない社会で伝染病が今以上に蔓延した。
そして、草むらのあちらこちらで、用を足している男女がいたと言う。
「いいか?。
街道沿いの草むらの中に隠れているんだ。
衛兵に怪しまれたら『用を足してました』と言い張るんだ。
そうして獲物が通りかかるのを待つんだ。
強そうな護衛がついてたり、人数が多かったりならわざわざ出ていかなくて良い。
狙い目なのは、お使いミッションをこなしてる冴えない冒険者・・・。
とは言え、アイツらは貧乏だ。
奪うほどの金もないだろう。
これは盗賊になるための初級ミッションみたいなもんだ。」先輩シーフにはそう言われた。
私は草むらの中に身を隠した。
あとは根気の勝負だ。
運が悪ければ、誰も通りかからない事もある。
もう二時間くらい草むらに潜んでいた。
さすがにもよおしてきた。
幸い、ここは草むらの中だ。
私はペロンとズボンを脱いだ。
その時である。
『スパーーーーーーーーーーーーーーーーーン』
私は生ケツを蹴り上げられたのだ。
私は『何事が起こったのか?』理解出来ないで固まった。
胸の丈まで伸びていた草むらは私の尻を蹴り上げた男の蹴りによって巻き上げられている。
つまり、私は草むらの中に隠れているつもりだったが、下半身丸出しで座り小便しているところ、尻を蹴り上げられたような次第だ。
「あ、ごめん。
でも雑草を凪ぎ払うための蹴りだったし、そんなに痛くはなかったでしょう?。」と私の尻を蹴った男。
これで謝罪を済ますつもりなんだろうか?。
それどころか男は少し急かすように言った。
「ねぇ、そろそろトイレ終わった?。
俺、ここにある薬草集めなきゃいけないんだけど」
普通、異性の裸みたら本心からじゃなくても謝るもんじゃない?。
なのにそれどころか「早くケツしまえ」って態度。
お尻突然蹴られたのは私なんだけど。
私は自分が盗賊で、目の前の冒険者を狙っている事を忘れていた。
「あ、そうだ。
アンタ、ここで知り合ったのも何かの縁だ。
どれが雑草で、どれが薬草か見分けがつかないか?。
つくんだったら、ちょっと手伝ってくれないか?。
・・・ていつまで下半身丸出しなんだよ?。
見せてるのか?。」と目の前の失礼な男。
私はナイフを構え、失礼な男に向かって突進した。




