第20話
オカルト研究会の部室はサークル棟にある。
『研究会』なのに『研究会』ではない。
部室があるのに部ではない。
オカルト研究会は文化部連盟に所属する大学の『公認サークル』なのだ。
ややこしいがサークルなんてそんなもんだ。
「こんな胡散臭いサークルが公認されるのか?」答えは公認される。
『軽種馬研究会』なんて馬券買ってるだけだが、公認されている。
公認サークルと認められるには『大学の作った決まりを遵守する事』『法律を守る事』『「体育会」か「文化部連盟」に所属する事』『反社会的組織やカルト宗教とは関わらない事』などを守れば、変なサークルでも人数さえ集まっていれば認められる。
「なんだ、そんな事か」なんて軽く考えてはいけない。
非公認サークルの中にカルト宗教系のサークルは意外に多い。
反社会的組織の資金源になっているサークルもある。
時々問題になる『ヤリサー』などは非公認サークルだ。
公認を受けているだけである程度は安心出来るのだ。
俺は稲川について『オカルト研究会』の部室に入った。
部室の中には『オカルト研究会』ににつかわしくないパリピが三人いた。
もちろん俺の知らない人達だ。
俺は「お邪魔します」と声をかけた。
チラリとこちらを三人は見たが、俺の挨拶に対しては無視だった。
「アレ?もしかして俺、歓迎されてないかな?。」
と思うも束の間、稲川が「あのう、ここは『オカルト研究会』の部室なんですけど皆さん誰かサークル会員を待ってるんですか?。」と三人に声をかけた。
何だ、稲川の知り合いじゃなかったのか。
挨拶して損した。
三人は互いの顔を見つめ合うと、ゲタゲタと笑い始めた。
「俺らはその『オカルトなんとか』の会員じゃねーし、ここに知り合いもいねーよ。
ついでに言えば、ここの大学生でもない。
ここのキャンバスって好きに入れるじゃん。
入れるのは良いんだけど、寛げる部屋が欲しかったんだよな。
だからこの部室、俺らに好きに使わせてよ。」とパリピ風のサングラスをしている男。
話が見えてきた。
こいつらは『招かれざる客』ってヤツだ。
俺との違いは『オカルト研究会』の会員に招待されて来たか、どうかだ。
「教えてくれるの、今度で良いや。
俺、帰るわ。」と俺。
「ごめんな、今度、埋め合わせするから。」と稲川が作り笑顔で言う。
稲川の態度を見て、俺のする事が決まった。
本当は稲川も助けて欲しいだろうに、俺を逃がすのを優先してくれた。
俺も稲川の漢気にこたえよう。
どの程度強くなってるかなんてわからない。
でも正義の味方を目指すヤツが、この場から逃げ出して良い訳がない。
「じゃあ帰るわ。
オメーらも一緒に帰るぞ。」俺は三人組に声をかけた。
「あん?。
俺らは帰る気はないんだけど。」パリピのロン毛、茶髪のヤツが凄む。
「関係者以外立ち入り禁止なんだよ。
俺なんて用事があるから訪ねて来たんだよ。
お前らは用事もないのにたむろしてたんだろ?。
俺ですら関係者じゃないから今日は用事はあるけど退散するんだよ。
お前ら、用事もねーんだろ?。
帰ろうぜ?。」と本当はビビりながら、俺は平気なフリをして言った。
「うん、わかったよ。
帰ろうか?。」なんて三人組が言うとは思ってない。
「オメー、俺をバカにしてるだろ?。」パリピの眉毛剃ってるヤツが言う。
いや、お前らがオカルト研究会のヤツらをバカにしてるんだろ?。
バカにしてるから部室を乗っ取ろうとしてるんだろ?。
とにかくここで喧嘩になるのはマズい。
大学内で喧嘩をしたら、下手をしたら退学になってしまう。
・・・と思っていたら「ここの裏口から大学出たところに、絶対人が来ない所があるんだよ。
そこで話しないか?」とサングラスをしているパリピ風の男が言った。
「わかったよ。」と俺。
俺は稲川に「ここにいろ。ついて来るな」と目で合図をした。
稲川は納得がいかない様子だった。
なかなか漢気のあるヤツだ。
言わなくても逃げるヤツは逃げるだろう。




