第111話
「他人の性癖をどうこう言いません。
自分だって誉められるような性癖じゃありません。
でもここには若い女の子だっているんです。
いきなり脱ぐのは如何なものでしょうか?。
まあ、千歩譲って『脱ぐのはOK』だとします。
脱ぐんであれば、全部脱ぎましょう。
靴下だけ脱がない意味が解りません。
安っぽい企画モノのAVですか?。」俺が出来るだけ大真面目に言う。
「えぇ!?おい、俺いつから裸なんだよ!?。」とチンピラ。
「ふざけてるんですか?。
そんなの俺が知る訳ないでしょう?。
逆に聞きたいですよ、『いつから裸なんですか?』って。
今日、自宅を出た時は既に裸だったんですか?。」と俺。
「とにかく女の子の前です。
股間はコレで隠して下さい。」と俺は熱いおしぼりを股間に向けて投げた。
濡れたおしぼりでも豪速球で投げると凶器になるらしい。
チンピラ二人は泡を吹いて倒れた。
「こんなところで寝ないでくださいね。
ここは雀荘ですよ!。」と気絶している裸のチンピラ二人を両脇に抱えて渋谷ハチ公前交差点へ。
三軒茶屋から渋谷まで一般人が歩いて30分くらい。
俺が走って行って戻ってきて一分フラット。
今、二人のチンピラはハチ公の前で大の字で寝ている。
十五分ほど時間を無駄にしてしまった。
急いで雀荘に戻る。
「商売がようやく軌道に乗った頃、あの手の輩は現れる。
俺もようやく『この雀荘で食べていけるかな?』って頃に『みかじめ料を払え』ってヤクザが来たんだよ。
その頃は反社会的組織に対する締め付けが今より大分緩くてね。
この『雀荘』がヤクザにみかじめ料を払ってた事もあるんだぜ?。
今はあの手の反社会的組織に『みかじめ料』を払った方も罰せられる・・・って名目で、みかじめ料は払わなくて良くなったけどな。」と雀荘の店主が言う。
「お騒がせしました。」俺が雀荘の店主に謝る。
「アイツら多分、流しのチンピラだよ。
ウチが昔、みかじめ料を払ってた地廻りのヤクザじゃないから、誰にも迷惑かけてないし心配すんな!。
おそらく弁当配達してる若い連中の噂を聞いて、ちょっかいをかけに来たんだろう。
二度とここには来ないだろうし、来ても俺が追い返すからな!。
ただ、これから先もアイツらみたいな流しのチンピラがお前らの噂聞いて、小銭せびりに来るかもなぁ。」と雀荘の店主。
お上の世話になれない関係上、火の粉は自分らで払わなきゃいけない。
・・・かと言って派手に悪人をやっつける訳にいかない。
「ねえ、俺の頼んだチャーハンまだ?。」
「すいません、急いでお持ちします。」
今、まさに「遅い」という苦情を雀荘で受けた。




