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第109話

 大盛況だ。

 面倒くさいから登録店の全メニューをアイテムボックスに入れてある。

 最初の頃、レダちゃんが「どこにそんなに注文されたメニューを持てるの?」と疑問に思われた事があったので、アイテムボックスはおか持ちに偽装してある。

 ・・・というか、おか持ちの中身がほぼ無限に入るアイテムボックスなのだが。

 注文が入る。

 次の瞬間には、もう物は届けられる。

 だがアイテムボックスの仕組みや、俺達の身体能力を知らない人達は「何でやねん!」と思う、偽関西弁で思う。

 なので注文を店に伝える。

 そして、注文を届けに行くのだ。

 その時に商品代と手数料を受けとる。

 その後、注文した商品を受け取って、商品代をはらって、アイテムボックスに入れておくのだ。

 そうやって減ったストックを補充するのだ。

 薄利なのでそこまで現金収入はない。

 だが、アイテムボックスの中身は食い物だらけだ。

 売れなかったメニューを食べれば良い。

 こうやって随時走り回っている事で、トレーニングにもなる。

 「登録店になりたい」と言う依頼はひっきりなしにある。

 しかしこちらがそこまで手広くやる気がないのだ。

 目立てば警察や入国管理局にマークされる。

 俺は何も悪い事はしていないという自覚だ。

 だが、アイアちゃんやレダちゃんはパスポートを持っていない。

 そしてビザも未修得だ。

 つまり入国管理法違反の不法就労だ。


 しかし、それを「当局に晒す」という事は「異世界の存在を公にする」という意味だ。


 「異世界の事など国に任せておけ」という考え方もあるだろう。

 しかし、異世界の存在が明らかになった時『日本国内だけの話』で止まるだろうか?。

 異世界の存在を公にした時、口を挟んでくるのは日本だけだろうか?。

 他の国は口を挟んで来ないだろうか?。


 今はとにかくビジネスチャンスを逃そうとも、俺とアイアちゃんとレダちゃんが何とか生きていけるだけの収入があるならそれで良い。

 二週間ほど弁当配達を始めてから経過した。

 弁当配達をしているのは、夕飯時から夜中にかけてだ。

 俺は昼間、大学へ行っている。


 全て本当の事を申告する訳にはいかない。

 アイアちゃん、レダちゃんが日本に存在しているだけで日本では違法なのだ。

 何せ二人は『ビザなし、パスポートなし』なのだから。

 悪い事は本当にしていない。

 結果として異世界に行って、異世界から人を連れてきてしまった、というだけである。

 悪事と言えば、廃病院への不法侵入だろうか?。

 だが、法や警察に頼れない状態で、裏稼業の人達ともめたくはないな・・・などと、うっすら思っていた。

 なぜなら『自分らで解決しなくちゃいけないから』

 

 「なんや、ここらへんにウチの組に断り入れずに商売してる命知らずがいるって聞いたんやけど、兄ちゃん知らんかいのお?。」と如何にもその筋の人ってオッサンが凄んでくる。

 雀荘で弁当を配ってる俺に聞いてくるっていうのは『命知らず』の正体が俺であるというのを知っているようだ。

 「誰の事でしょうねぇ?。

 聞いた事もありません。

 あ、800円になります。

 ありがとうございました!。」俺はオッサンの話を聞き流しながら、弁当を配った。

 「お前・・・あんまりなめた態度取らない方が良いと思うぜ。」オッサンは俺に冷静な口調でオッサンは言った。

 さっきの偽関西弁を貫けよ。

 警察に行った時に身元証明が出来ない者が過半数だ。

 そういう意味ではヤクザより警察の世話になりたくないだろう。

 ヤクザに絡まれたら自分等の力で何とかしなきゃいけない、そんな時が来ないのを望んでいた。


 しかし今、おもいっきりヤクザに絡まれている。

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