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108/113

第108話

 俺が考えた作戦は以下の通りだ。

 学生街の雀荘に『稲川飯店』のメニューを置いておく。

 出前感覚で注文を俺のスマホに貰う。

 そして俺が『稲川飯店』にあらためて注文を入れるのだ。

 『稲川飯店』は俺が置いていった容器に注文を受けた物を作る。

 俺は注文を受けた物を受け取り、アイテムボックスに入れる。

 そして、値段を払う。

 俺の手元には手数料が残るという寸法だ。


 勿論、最初はあんまり儲からない。

 最初の頃得るのは賃金ではない。

 信用、信頼だ。

 その信用、信頼が登録店を増やし、顧客を増やす・・・という目論見だ。

 雀荘での『稲川飯店』と『マッドアングラー』の評判を聞く。

 「それじゃあ、ウチの店も登録店になりたい。」と名乗りが上がるはずだ。

 この商売で俺が勝算を感じたのは、『マッドアングラー』のメンバーのスピードと持久力は当然ある。

 だが、もう一つ、『アイテムボックス』を見て、これは出前をやって儲からないはずがない、と思った。

 アイテムボックスの特徴に『現状保存』というものがある。

 つまり『出来たてのラーメン』をアイテムボックスにしまうと、アイテムボックスに入っている限り、何十時間経過していようが、何百時間経過していようが出したラーメンは『出来たてのラーメン』だ。

 つまり、いつでも出来立てが提供出来る。

 それだけじゃない。必ず毎日注文が入る人気メニューが『稲川飯店』にはある。『ラーメン』『餃子』などだ。

 それらをあらかじめ五個余分に注文しておく。

 そして、注文を受けた瞬間にそれらをアイテムボックスから出して渡すのだ。

 それらは『状態保存』の魔法がかけられている。

 つまり何時間前に作られようが、出来立ての状態なのだ。

 「あらかじめ『青椒肉絲(チンジャオロース)』と『天津飯』の注文がよく入るから予備を持っていたが、今夜は一切注文が入らなかった。」こんな場合、次の日までアイテムボックスに入れておけば良い。

 次の日にアイテムボックスから出したら、まだ出来立ての状態だ。

 それが『状態保存』の魔法だ。

 つまりファーストフードどころじゃない。

 注文を受けたその場で、出来立ての注文を受けた物を渡せるのだ。

 この商売を思い付いた時、異世界での鍵屋並みに『イケる!』と思った。

 しかし薄利で、登録店も一つの状態じゃ利益も少ない。

 「お前んトコ、エラい評判良いけど、ウチじゃ登録店になれないの?。」と『稲川飯店』と同じ組合の飲食店が全て登録店になってくれるのが今月の俺の目標だ。

 あまり目立ちたくはない。

 目立ってしまえば、アイアちゃんとレダちゃんは不法就労の外国人として通報される可能性もある。

 日本への入国手段を問われ、姿見の存在が明らかになってしまう可能性もある。

必要なものは最低限の生活費、金持ちになる必要はないのだ。 

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