第107話
「つまりは私らが注文者の家に食べ物を届ける訳だな?。
でもどうするんだ?。
私らは日本の土地勘はないぞ?。」とレダちゃん。
「コレが何かわかる?。」と俺はアイテムボックスからアイテムを取り出す。
「『ヌエの翼』?。
そうか!。」とレダちゃん。
「そうです。
コレは一度行った事があるところに翔べるキメラ・・・じゃなくて、『ヌエの翼』です。
私はコレをマギーの街の全ての道具屋にあるだけ、七千個ほど買い占めました。
アイアちゃんとレダちゃんは土地勘を覚えるまで『ヌエの翼』を使って、お得意様の家と店を任せます。
新規のお客様は俺が担当するって事で。
お店は覚える必要はありません。
元々、登録制なんで。
我々のサービスに協力してくれる店は前もってわかるんで、問題はないはず。」と俺。
「私は?。
私は何するの?。」とレンちゃん。
「何もしないよ。
レンちゃんは広島に帰りなさい。」
「何でよ!」
「レンちゃんは広島の家でご飯食べれるでしょ?。
これは俺とアイアちゃんとレダちゃんのしのぎなの。」と俺。
「そんな上手くいく訳ないよ!。
登録されたお店を増やすだけでも大変だと思うよ?。」とレンちゃん。
「本当にそれが一番の懸念材料だよ。
お店が増えないと、結局注文も増えないからね。」と俺。
「そうじゃなくって、登録店って今のところ0店舗でしょ?。」とレンちゃん。
「うん、だから今から『登録店』になってもらうように営業かけてくるわ。」と俺。
「『登録店になって下さい』『はい、わかりました』なんて簡単にいくモンなの!?。」とレンちゃん。
「そんな訳ないでしょ。
普段からの信用作りが何よりも大事だよ。
そして『コネ』を最大限使う。
そしてあとは売り込みの手腕だね。
・・・って訳でレンちゃん、子供の頃からお年玉使わずに貯金してるでしょ?。
お兄ちゃんに10万円貸して。」と俺はレンちゃんを澄んだ瞳で見つめる。
「10万!?。何に使うのよ!?。」とレンちゃん。
「業務スーパーで容器を買うんだよ。
出前みたいにまた器下げに行くの大変だろう?。」
「使い捨ての容器を使うの?。
そんなの地球に優しくないじゃない!。」
「そりゃそうだけど、わざわざ出前みたいに器下げに行く手間は俺の財布に優しくないじゃん!。
・・・まあいいや。
じゃあ、販路拡大の営業行ってくるから、みんな姿見から帰っておいて。」
アイアちゃんとレダちゃんに「道覚えてきてね、迷ったら『ヌエの翼』を使って家に戻ってくれば良いからね」と。
そして俺とレンちゃんは一足先に日本に戻った。
レンちゃんを家まで送り届けた俺は、レンちゃんから10万円借りた。
「ありがとうございます。
いつでもあなたの椅子になります。
いつでもあなたの犬になります。」俺はレンちゃんに頭を下げる。
「本当にそういうの、冗談でも止めてよね!。」
どうやら俺の冗談はレンちゃんにはお気に召さなかったようだ。
レンちゃんから借りた10万円を持って『業務スーパー』へ行く。
そして10万円ギリギリまで、色々な容器を買う。
これで準備が整った。
今から登録店第一号候補である店と交渉に入る。
「あ、もしもし俺。
稲川だよね?。
こないだ実家の『稲川飯店』で人手がなくて出前止めたって言ってたじゃん?。
それについて、話がしたいんだけど・・・。」




