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第106話

 少し早めの夕食だ。

 あまり遅くなると、レンちゃんの帰るのも遅くなり両親が心配してしまう。

 時間が早いので、貸し切りにしなくても酒場は貸し切り状態だ。

 竜を売ろうと思っていたが、ギルド長に「こちらのツテで売るんで任せて欲しい」と言われた。

 皇国サイドに貴重な古代竜関連の素材を渡す訳にはいかないそうだ。

 その代わり俺らパーティメンバーは冒険者ギルドのツケでいくらでも飲み食いして良いそうだ。

 面白くない。

 俺らのパーティがギルド長と敵対したとする。

 そうしたらどうせツケはきかないのだろう。

 「竜の報酬がちゃんと欲しければ、私達の味方をしろ」とギルド長に言われているようなものだ。

 竜狩りの報酬なんてくれてやる。

 ・・・が、日本にトンヅラする前に嫌がらせに死ぬほどギルド長の金で飲み食いしてやろう!・・・と酒場に繰り出したのだ。

 しかし酒を飲まないと金額は知れてる。

 天井知らずの金額がつく酒があるのは、日本も異世界も同じらしい。

 しかしパーティ『マッドアングラー』の中で一番歳上は俺で19歳だ。

 つまり、『マッドアングラー』は未成年の集団だ。

 なので、我々は飲酒しない。

 高い順番に頼んでも大した金額にはならない。

 みんな小食すぎるのだ。


 「えー、それでは皆さん。

 竜討伐の『お疲れ様会』です。

 しばらくこの世界には戻って来れません。

 皆さん、遠慮しないで飲み食いしてください。」


 俺の挨拶で食事会は始まったが、暗い。

 まるで法要みたいだ。

 無理もない。

 異世界で俺達は大金持ちなのだ。

 節約なんて必要ない。

 欲しい物は我慢しなくて良い。

 『成功者(マッドアングラー)』とは自分達の事だ。

 だが、日本では『貧乏人(マッドアングラー)』だ。

 今でも飯は異世界へ来て食べる。

 つまり、日本には全く金がないのだ。

 日本にいては飢え死にしてしまうのだ。 


 まあ、パーティメンバー達が『最後の晩餐』って雰囲気になってしまうのも無理もない話だ。


 「皆さんが不安を抱いているであろう『日本での生活』について説明します。

 我々は日本で誰も聞いた事のない商売を始めます!。」と俺。

 「『誰も聞いた事のない商売?』」アイアちゃんが食いつく。

 「そうです。

 それは『食事の配達』です。

 出前ではありません。

 食事は一切作りません。

 つまり『肉が食べたい』って人がいたら、手数料を受け取って買ってその人に届けるシステムです。

 つまり『パシリシステム』ですね。」と俺。


 レンちゃんだけが「出前館・・・ウーバーイーツ・・・」と何かを言いたそうにしているが敢えて無視する。 

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