第102話
「君らには我々の仲間になってもらいたいんだ。」とギルド長。
「そんな事言われなくても、俺達はもう冒険者仲間だぜ?。」俺は大体の話を理解しつつも、わざと惚けた。
「俺達は『反皇国』のレジスタンスなんだよ。
そこに君らを歓迎したいんだ。」
出来るだけ感情に表さないようにしているが、ギルド長は緊張のせいか声が少し上擦っている。
ムリもない。
レジスタンスの立場を明かすなんて本当は正気の沙汰じゃない。
ただ、絶対的に不利な状況で少しでも勝ち目を増やそうとしたら、『一国の軍隊より強い』と言われる古代種の竜を討伐した者達を仲間にするしかない。
そして、今がその者達を仲間にする二度とないチャンスなのだ。
正直に言ってギルド長は敵だ。
しかも異世界で唯一の明確な敵だ。
異世界にパーティメンバーと鍵屋の従業員と孤児院にいる神父と子供達以外で『味方』『協力者』と言ったら医者しかいない。
その医者を拉致して洗脳したヤツを敵として見ないで誰を敵として見る?。
事情はあるのだろう。
故郷が滅ぼされたのも、小さくないレジスタンス結成の理由の一つだろう。
しかし拐った医者にも診察途中だった者がいて、おそらく治療が受けれず何人かは命を落としたはずだ。
国民は国の存続を信じて年貢を支払い、大事な跡継ぎを兵役に出す。
国が負けるという事、滅亡するという事は国民に対する重大な裏切りだ。
虐殺、領土侵犯、停戦無視など、どう考えても正義のない行動でも『負けないため』に取った行動であれば、ある程度は許される。
それらが裁かれるのは、敗戦後の軍事裁判でだ。
つまり、負けない限り裁かれる事はないのだ。
敵対している二つの組織があったとして『どちらが正しいか』などは立場によって変わるだろう。
ただ一つ『悪』があるとしたら『負ける事』だろう。
倫理的に『正しい』国が戦争で勝つ事など、どれほどあるだろうか?。
負けた国に協力していたエルフの森が戦勝国により焼き払われた。
気の毒ではある。
だが、悪いのは『負け馬に乗ったエルフの森』だ。
しかも、ギルド長は医者を人質にしている。
何で俺達がエルフの仇のために立ち上がらなきゃいけないのか?。
しかし、医者は人質に取られている。
医者見捨てたろうか?。
勝手に身内だと思って、切り札みたいな扱いにしてるみたいだけど、俺は本来イケメンが嫌いなんだ!。
イケメンの上にエリートとかマジで救いたくねー!。
このまま、ギルド長に殴りかかってやろうか?・・・とも思ったが、よく考えたら俺、人を殺した事ないや。
「わかった。
仮入部って事で、レジスタンス入るわ。」




