第100話
「確かに宮仕えは面倒臭いけれど、そんなんしょうがない話じゃんね?。
それどころか、マギーの街で冒険者やってたヤツが、皇国騎士に取り立てられた・・・なんて言ったらギルド長として、鼻が高いんじゃないの?。
まあ、医者には医者でやりたい事あったんだろうし、出仕を拒否する気持ちはわからないでもないけど。」と俺。
「確かに私が皇国に忠誠を誓う立場なら冒険者の出仕は『ギルドの誉』と喜ぶべきだろうね。
でも、セントーン皇国はかつてエルフの暮らしていた我が故郷の森と不可侵を誓っていたトペ・コンヒーロ王国を破り、故郷の森を焼き払った。
マギーの街自体、トペ・コンヒーロ王国の領地だったから、『属国の街』って扱いだよ。
だから、私はギルドから騎士として冒険者が引き抜かれる事をよしとしないのさ。
それと、医者の出仕を彼が断ったのは無関係だ。
彼には治療中の患者がこの街に多くいた。
しかも戦争で死んだ者には多く彼が治療した者もいた。
彼は不戦条約を破り、攻め込んだ皇国がどうしても許せなかった。」とギルド長。
「わかったよ。
正直、自慢したかったけど裏を返せば『自慢したかった』ってだけだからね。
デッケーカジキ釣って港でみんなの前で記念撮影したかった・・・みたいなモンだよ。
松方弘樹みたいなモンだよ。
『世界を釣る』ならぬ『異世界を狩る』ってノリだよ。
古代種の竜を狩った事は秘密にする。
・・・って言っても、これどうすんだよ?。
これ、リサイクルショップにクソ重いタンス持ってって『これ買い取り出来ないんで持って帰って下さい』って言われた時並みにどうして良いがわからんぞ。」と俺。
「『リサイクルショップ』?、そんなものがあるのか?。
お前の言う事は所々理解出来ないな。」とギルド長。
中途半端に翻訳されたものがギルド長に伝わったらしい。
最初から翻訳するな、という話だ。
「じゃあ、最初からテキトーな事言わなければ言いじゃないですか。」とアイアちゃんには言われるが、俺がテキトーな事を言うのは癖みたいなモンで死んでも治らない。
ちょっと待てよ?。
ギルド長が医者の女だとする。
医者はギルド長にも自分の秘密を言わないだろうか?。
一つも?。
「恋人に秘密は作らない」とか、そんな倫理上の話じゃない。
「実は俺はこの大陸ではない遠くから来たんだ。」これだけでもある種、少しだけでも秘密をあかした事になる。
出来る範囲で協力者には本当の事を言う。
それは危険に巻き込む協力者に対する礼儀で、本当の事をある程度言う事で『相手に信用してもらう』という事だ。
恋人であれば尚更だ。
ギルド長は医者の秘密を俺から全て引き出そうとしているように見える。
「そんな話はアムロ本人に聞いただろ?。」という話すらも。
誰かが嘘をついている。
何のために?。
今は何もわからない。




