↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンシング・ヘルシング  作者: 逸見 秋仁
第一章 忍者とアイドル
PR
20/61

第十九話 辛い思い出?

「少しは分かったか?すももが巫女に選ばれた理由が……」

 彼女は絆(ばん)に頷くと、暗い雰囲気を変えるように明るく振る舞った。

「何となく。それで、巫女って具体的に何をするの点点(てんてん)?アイドルと両立できるかなぁ?」


「多分、大丈夫じゃろう」点点は尻尾を左右に振った。「天巫女は里の外部の人間を使う代わりに、業務はあまり多くないのじゃ。年に何回か、忍者の里に行ってもらい、神楽(かぐら)を奉納してもらうことにはなるが……」

「神社に行った時に観たことある。巫女さんが舞台の上でやる踊りね」


 神楽は神事において、神に奉納される舞いのことだ。

 古代から行われている神道の伝統であるが、すももが言っているように一般的な神社でも普通に観れる。


「すももはダンスをやっておるから、そういうのは得意なんじゃないか?」

 点点が適当にそんなことを言うと、すももは苦笑して首を横に振った。

「点点、アイドルのやる踊りと巫女さんがやる踊りは全然違うと思う。あたし、日本舞踊とか全然経験ないもの……」

「違うのか?」と点点はしょんぼりする。「では、特訓が必要かもしれんのう。できれば、夏までには基本的な型は習得してもらわんと……」


「よかった」すももはほっと息をつく。「すぐにやるってわけじゃないのね。それなら、何とかなるかも……。でも、忍者の里かぁ……。どんなところなの?」

「俺が所属しているのは義賀(ぎが)っていう所」と絆は答える。「忍者の里といっても割と普通だぞ。山奥にある田舎町だな。俺はそこの忍者塾っていう学校で、今年の春まで忍術を学んでいたんだ」

「ふ~ん……忍者の学校って楽しそう……」とすももは何気なく言った。


「いや……別に楽しくは……」

 絆は露骨に嫌そうな顔をするが、点点は心配するでないと、すももに言った。

「義賀の里はよきところじゃぞ。東京にはない魅力がある。異国情緒(じょうちょ)の漂う不思議な場所じゃ。行けばきっと気に入るはず。まあ、有島(ありしま)絆には辛い思い出があるようじゃが……」


「異国情緒?」とすももは首を傾げる。「日本にあるんでしょ?」

「もちろん。じゃが、一般人は立ち寄り禁止の場所ゆえ、独特の雰囲気がある。異国情緒とはそういう意味じゃ。まあ、行けば分かるじゃろ」

「うん。楽しみにしとくね。あたしが行った時は、里を案内してよね絆君?」

 すももはにっこりとほほ笑んだが、絆はまだ顔をしかめている。

「俺が?里のくノ一(くのいち)にでも案内してもらえよ。俺、休日は学校の寮に引きこもってたから、あんまり里の地理には詳しくないんだよな……」


「そうなの?」とすももは呆れたように苦笑した。「くノ一って女の忍者のことだよね?絆君、モテなかったんじゃない?」

「ほっとけよ」とぶっきらぼうに返す絆の脳裏に、なぜか同級生のゆかりの顔が浮かんだ。

 そんなことなどつゆ知らず、すももはご機嫌な様子で、絆の肩を叩いた。

「まあ、とにかく案内よろしく」


 ついさっきまでヴァンパイアに怯えていた彼女はどこへやら、すももはまだ見ぬ忍者の里に思いをはせていた。

 彼女を里へ連れて行くのは、しばらく先になりそうであるが、その時のために、ある程度のプランくらい考えておいた方がいいのかもしれない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。