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9/10

食堂での出会い

こんにちは。

星谷瀬奈です。

今回もお楽しみください。

「アリアちゃーんっ!」


食堂に入ると、アリエスの弾んだ声がアリアに飛び込んできた。

視線を向けると、ステラログの紋章が入ったTシャツにショートパンツというラフな姿のアリエスがぶんぶんとこちらに手を振っている。



アリアが駆け寄ると、アリエスはアリアをじっと見て「服だけでもこんなに変わるんだ…」とぼそりと呟く。



「え、何か言った?」



「あ、ううん、なんでもない。さ、食事取ろっか」



慌てて取り繕うアリエスに首を傾げる。


(どうしたんだろ…?)


首を傾げつつもアリエスの言葉に頷いて着いていくと、アリアに信じがたい光景が目に飛び込んできた。



「びゅ、ビュッフェ…!?」



ビュッフェだ。

サラダや肉料理、果てはデザート類まで並んでいる。


(イングラシア王国のギルドって、食事がビュッフェ形式なの…!?)


唖然としているアリアを、ロウがツンツンとつつく。


「なにぼーっとしてるの、アリア?早く食事食べよう?」



「そ、そうね」


アリアはひとまず、ビュッフェにある料理を見ながら気になる料理があったら取ることにした。



「アリアちゃん何取ったの〜?」



先に席について待っててくれていたアリエスに聞かれて、そっとお皿を見せる。

アリアのお皿には、キノコのパスタ、サーモンのマリネ、ローストビーフにサラダなどが並んでいた。



「アリアちゃん、栄養バランスいいね…」



感心したように言うアリエスに首を傾げる。


(栄養バランスに気をつけるのって、基本じゃないのかな…?)


アリエスはそんなアリアを見て苦笑いをして、他の冒険者の皿を指差した。



「ああやって、お肉しか取らない人もいるのよ」



確かに、指された男の皿には肉料理しか載っていない。

アリアの目が点になる。



指を指された筋骨隆々の男は、バツが悪そうに顔を顰めた。



「しょうがねえだろ、アリエスちゃんよ。野菜は苦手なんだ」



アリアはクスリと笑った。

向かうところ敵なしに見える男が、野菜が苦手だとは思わなかった。



男は、アリアをじろりと見てから、「ああ」と言った。



「あんたが、アリアか。アリエスの奴を助けたっていう」



戸惑うアリアに、アリエスがこしょこしょと耳打ちする。



「ギルドの人たちには、アリアちゃんが私たちを助けてくれたってだけ言ってあるよ。アリアちゃんのご家庭のことは言ってないから、安心してね」



アリアが驚いてアリエスを見ると、アリエスは悪戯っぽくパチンとウインクをした。

アリエスはアリアに配慮して家のことを言わないでいてくれたのだ。



「ありがとう」と心の中で呟くと男に向き直る。



「はい、アリアと言います」



「やっぱりか。アリエスを助けてくれてありがとな。俺はイルだ」



「イルさんですね。よろしくお願いします」



ぺこりとお辞儀をすると、イルは「ま、まあよろしくな」と居心地が悪そうにそっぽを向いた。


アリアはキノコのパスタにフォークを伸ばす。

口へ運ぶと、アリアの口の中にキノコの旨みの大洪水が発生した。


濃くもくどくない味付けに、時折現れるピリッとした辛味。

美味しくて、フォークが止まらなくなるほどだ。



夢中で食べているアリアの前に、すとんと誰かが腰掛けた。

顔を上げると、優しそうな顔と目が合う。



「あっ、アルヴィンさん」



隣のアリエスが声を上げた。



「アリエスさん、こんにちは」



そう言って微笑んだ、白衣を着た眼鏡の男性はアルヴィンという名前らしい。

アリアがキョトンとしていると、アルヴィンがこちらに視線を向けた。



「すみません、名乗っていませんでしたね。私はアルヴィンといいます。このギルドの、ギルドドクターです」



「ギルドドクターっていうのは、ギルドお抱えのお医者さんのことだよ!」



アリエスに補足をしてもらいながら、アリアはへえ、と呟く。


(ギルドって、お抱えのお医者さんまでいるの…!?)


驚きながら、アリアはローストビーフを載せたバゲットを齧った。

あまりの美味しさに目を輝かせると、アリエスとアルヴィンがクスクスと笑う。



「アリアちゃんって、小動物みたいだよね」



「私もそう思いました。例えるなら、リスかハムスターでしょうか」



アリアはバゲットを思わず落としかけた。

とんでもない発言に、驚きが隠せない。



(わ、私って小動物に見えてるの…!?)



若干のショックを受けていると、それまで夢中でマリネを食べていたロウが「確かに」と狼の尻尾を振りながら同意する。



「ろ、ロウまでぇ…」



およよ、とアリアはしょぼくれる。



「あ、いや、小動物みたいっていうのは、小動物みたいに可愛い、ってことですよ?誤解させてしまいすみません、アリアさん…」



「う、うん…なんかごめんね…!」



かなりのショックを受けたアリアをオロオロと見つめるアルヴィンとアリエス。

アリアは空になったお皿を片付けると、ゴン!とテーブルに突っ伏した。



テーブルでいじけていると、だんだん眠気が襲ってきて半分寝ている状態に。


それもそうだ。

追放された上に、魔族を初めての戦闘で倒したのだから。

極度の疲労と緊張で、アリアは眠気が限界だった。


最初はアリアを起こそうとしていたアルヴィンは諦めたのか、「仕事があるので、すみませんが戻りますね」と言って医務室に戻って行った。

そんなときにアリエスがやってきてお風呂に連行され、ほぼ寝た状態だったがお風呂に入れられた。



そしてそのまま、アリアはパタリと床の上で泥のように眠ってしまうのだった。


そんなアリアをロウがふわふわのベッドまでお姫様抱っこで運んだのは、また別のお話。

ブクマなど押していただけたら嬉しいです。

それではまた。

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― 新着の感想 ―
 ギルドの医者って、専属医師とか、かかりつけの主治医とかって言い方はよく見かけますが、ギルドドクターって名称は初めて見ました。これは多分珍しい名称。  アリアの場合の小動物感って、リスとかハムスター…
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