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魔法研究班

こんにちは。

星谷瀬奈です。

今回もお楽しみください。

翌朝。


「っくしゅん!」



ロウに起こされたアリアは、寒さに体を震わせながら寝ぼけ眼で着替えをしていた。

今日の服は昨日のようなラフな服装ではない。

ステラログの正装だ。



軍服をラフなデザインに変えて、機動性を高めたような服に袖を通す。

もちろん、ステラログの紋章付きだ。



そして、次は髪を整える。

アリアは鏡を見て固まった。



「これ、誰…?」



呆然とするアリアに、様子を見にきたアリエスが満足げな表情を浮かべる。



「昨日お風呂で磨き上げたからね」



昨日の夜、アリアがお風呂に入ったときにアリエスはシャンプーとトリートメントで彼女の髪を綺麗にしたのだ。

実はアリア、まともなお風呂に今まで入ったことがなかった。


アリアにとってのお風呂は、水浴びか川で体を洗うことだった。

それが急にシャンプーとトリートメントで綺麗にしたものだから、変化は劇的だった。



「朝ごはん食べに行こー、アリアちゃん」



着替えを終えると、ロウを肩に乗せたアリアは食堂に向かう。

今回は、レオとコウも一緒だ。

魔法研究班に二人もついて行ってくれるらしい。


朝食もビュッフェ形式で、アリアはツナとタマゴのサンドイッチと、ミネストローネをチョイスした。


ぱくりとサンドイッチを食べていると、昨夜会ったアルヴィンがコーヒーを持って現れた。



「おはようございます、アリアさん、アリエスさん、レオさんにコウさん」



少し目の下にクマができている。

アリアがそのことを指摘すると、アルヴィンは苦笑いを浮かべた。



「はは、昨日は怪我人が多かったので報告書に時間がかかりまして。それで少し寝不足なんですよ」



「あー、そういや大規模な討伐隊が昨日帰ってきたっすもんねー」



レオの言葉に、アルヴィンは頷く。

温かいミネストローネを啜りながらアリアは二人の会話をぼんやりと聞いていた。

ミネストローネは寒い日には最適で、体が温まる。



(討伐隊なんてあるんだなぁ…)



「そういや、討伐隊の奴らが話してたんだけどよ、討伐した魔族たち、大規模な魔法発動しなかったんだとさ」


それもあって怪我人は多いけど結構すぐに討伐終わったみたいだぜ、と続けたのは昨日の男、イルだ。

アリアたちのテーブルの方にやってきて、椅子にドカッと座る。

彼の持つお皿には、やっぱり肉料理がてんこ盛りになっていた。

アリアの肩にいるロウが瞳を輝かせる。


イルは黙って骨付き肉をロウに放り投げた。

ロウはすぐに齧り付き、モグモグと咀嚼した。



(魔族が大規模魔法を行使しなかった…?)



アリアが眉を顰めると、コウも戸惑ったように言う。



「魔族なんだから、大規模魔法を使って討伐隊を倒すことだって不可能ではなかったはずだよな…」



「そう、それなんだよ。討伐隊の奴らも不思議がっててな」



コウやイル、レオが首を傾げている。

アリアは、ミネストローネを飲み干しながら思う。



(なんか、こんな話を前に聞いたことがある気がする…)



うーん、思い出せないな、と呟くと、アルヴィンが「そういえば、出発しなくて大丈夫なんですか?」とアリエスに聞く。



「あ…もうそろそろ出なきゃだ…」



アリエスが慌てたような声を上げると、レオが「あやべえ、もうそんな時間っすか」と焦ってバゲットを口に詰め込んだ。

コウはコーヒーを飲み干すと立ち上がって荷物をまとめ始める。



「アリアちゃんもほらほら!」



アリエスに急かされながらアリアもわたわたとカバンに荷物を入れていく。

ロウがこっそりカバンに干し肉を忍ばせようとするのを阻止しつつ、アリアはギルドが用意したコートを羽織る。



窓の外では雪がはらはらと舞っている。

今日も寒くなるだろう。



「雪が本降りになる前に出発しよーぜ!」



レオの提案に頷き、体を震わせながら馬車に向かう一行。


馬車の中は、外よりは寒さがマシだった。

だが、やはり寒いものは寒い。


アリアは自分の吐く息が白くなっているのを見ながら体を震わせる。



「…流石に寒いな」



「俺に任せろっすー」



そうコウがぼやくと、何やらレオが馬車の中央にある赤い石を手にとって魔力を込める。


瞬間、石が発光し熱を放つ。

あっという間に馬車内は暖かくなった。



「それは…もしかして、魔石ですか?」



「おう、魔石だぜ。これは陽光石だな。太陽の力を閉じ込めたやつ」



へらりと笑うレオ。


馬車がガタリと揺れ、走り出す。

アリアは雪に覆われた街をぼんやりと眺める。



「アリアちゃんって、外見るのが好きなの?」



アリエスの不思議そうな表情に、アリアはちょっと笑った。



「うん。それに、こんな雪が降るの私がいたとこでは珍しいもん」



「えっ、じゃあアリアちゃん、雪だるまとか作ったことないの?」



「雪だるま…?」



アリエスの言葉にキョトンとして目を瞬かせると、アリエスは「知らないんだ…!」と驚く。

コウが無表情のまま手のひらを出し、何かを呟く。



「わぁ…!」



コウの手の上に小さな雪だるまが出現する。

アリアは目を輝かせた。



「…これが、雪だるまだ」



コウはアリアの手に雪だるまを載せると、ふいっとそっぽを向く。

アリエスは感嘆したように言った。



「やっぱさすがだね、コウ。確か雪とかに命を吹き込むこともできるんだっけ?」



「一時的ならな」



コウは淡々と普通のことのように言うがこれはとんでもないことである。

アリアの記憶では、モノに命を吹き込めるのはかなり上級な魔法使いでないとできないのだ。



「ねえ、じゃあ今度みんなで雪合戦しない?ギルドのみんなも誘ってさ!」



アリエスの言葉に、レオは「お!いいじゃん!」とニヤリと獰猛な笑みを浮かべた。



「俺が一番当ててやるもんな!」



「…普通そういうのは数えるのが難しいと思うぞ」



「…確かに!」



アリアがクスクスと笑っていると、馬車が止まった。


「あ、ついたみたい。行こ行こ!」



アリエスがぴょん、と馬車から飛び降り、こちらに手を差し出してくる。

クスリと笑みを浮かべてその手を取るアリアの肩にロウも飛び乗る。


ロウはワクワクで瞳を輝かせた。


「早く行こうよ!僕、気になる!」



「はいはい〜」



アリエスは軽く頷くと、王国騎士に紹介状を見せる。



「アリエス様ご一行ですね。どうぞ、お通り下さい」



騎士がにこやかに敬礼をして、門を開けた。

アリアはキョロキョロと辺りを見回しながらとてとてとアリエスたちについていくのだった。

ブクマなど押していただけたら嬉しいです。

それではまた。

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