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異世界で最強 ~転生と神の力~  作者: 富岡大二郎
第十二章 舞台の下準備
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会議後の会食

 グレイシア国家会議は順調に進行していき、私とノワールの領地開拓計画の発表、私が閣僚会議で案を出したりしていた医療や道路整備の件に関する議論等が交わされた。

 同時に私の領地における『市』の制定も議論され、無事正式に可決された。良かった~…、否決されたらどうしようかと思った。


 また、セリアからも色々発言が出た。これまで鎖国状態だった国の方針を転換させて、これからは多くの国と交流していく方向に変えていくらしい。

 この内容だけなら私も何となく予想できてたんだけど、セリアは続けて複数の方針を上げてきた。

 その内容が『軍備増強』『軍の訓練内容の抜本的見直し』『国内の行政機関における人員の見直し』『国民一人辺りの年間給料取得の上昇』『現在無職になっている国民の雇用促進』『物流の大改革』というもの。


 軍備増強は、新兵器の開発や戦艦等の次世代艦開発等。

 軍の訓練見直しは、意味そのまま軍の兵士の訓練内容の見直し。

 行政機関の人員の見直しは、国内各地にいる役人の一部に対して、異動や転勤をさせて全体の人員バランスをとろうというもの。

 国民の給料アップは、行政、民間限らず、給料のアップを命じるというもの。

 雇用促進は、実はグレイシアには働けるのに働かない人が多いらしい。そういう人達をどんどん雇って人材不足を解決しようという試みのようなもの。これに関してはセリアが最後に「働かざる者、食うべからず。働く事を嫌がったり、やる気なく働くようなら強制労働も視野に入れる」って言ってたから、かなりマジになってやるつもりらしい。

 物流の大改革は、道路整備をきっかけにした新たな物流システムの構築らしい。ここでセリアは新しい乗り物の開発に着手していると発表。それがまさかの自動車とバイクと列車だった。

 これらの内容を数年から十数年かけて実現するとセリアは言い切った。どうも本気みたいだけど…。


 その後はセリアはほとんど何も言わず、私やキリカやノワールも出番なし。そのせいかセリアはやっぱり寝かけてた。その度リリアちゃんがセリアの足を突いて起こしてたけど。


「それではこれにて、グレイシア王国国家会議を閉会致します。皆様長時間お疲れ様でございました」


 オルシズさんが会議の終了を宣言した後、セリアが女王様モードで会場を後にした。他の会議参加者達も席を立って会食会場へ移動していく。


「あぅ~…」

「お疲れ様、リリアちゃん」


 リリアちゃんは玉座の後ろで完全にのびていた。私は周囲の視線を確認しつつ玉座の横に座ってリリアちゃんの頭を撫でて労った。


「私は少しここで休みます…。アイラさんは他の方々と会食会場へ…」

「そう…、解ったわ。ゆっくり休んでね」


 気にするなと気を遣ってくれたリリアちゃんだけど、表情はかなりお疲れの様子。セリアの事に対してこの子の負担大きいわね…。


 それから私はキリカと一緒に会食会場へ移動。ちなみに食事はバイキング形式。

 先に会場に入ってたノワールの姿も見かけたけど、こっちが声をかけられないくらい人が集まってて、ノワールが対応に追われてた。

 そんな彼女を傍観してたら私とキリカの周囲にも貴族やら商人やらいろんな人が集まって来て対応がメッチャ大変だった…。作り笑顔は辛い…。


 人だかりがある程度落ち着いてきた頃、私とキリカのもとにシャロルが合流。続いてアテーナとアルテ、ノワールも合流した。


「ノワール、お疲れ。お互い大変だったわねぇ…」

「そうですね…。どっと疲れました…」

「私、あそこまでの人に囲まれたの初めてです…」


 私とノワールとキリカで揃ってテンションダダ下がり。


「お三方ともお疲れ様でございました。会場でお嬢様を発見次第すぐに合流するつもりでしたが、あまりの人で上手く移動できず…」

「私とアルテもです~」

「新しい領主と他国の要人ですもんね。そりゃ集まりますよね」


 シャロルとアテーナとアルテも人混みが酷くてすぐに合流できなかったらしい。


「やあやあ、お疲れ。モテモテだねぇ~、三人とも」


 ここでセリアがメッチャ腹の立つ笑顔で声をかけてきた。


「公衆の面前でぶん殴ってあげようか?」

「なんで!?」

「リリアちゃんにあそこまで負担かけさせておいて気遣いもなく、会議で一切聞いてない内容の政策バンバン出して、挙句疲れたところにそんな腹の立つ笑顔で来られたら、そりゃ殴りたくもなるわよ」

「同じく」

「同感です」


 イラついてる理由をセリアに言ったら、ノワールとキリカも同調してきた。

 ショボーンとした表情になったセリアだけど、すぐ近くに貴族が複数いるのを察してセリアはすぐに女王様モードに近い態度になった。

 セリアの態度の変更を見て私は察したし、他のメンツも察してる様子。


「それでどうだった?初めての会議は」

「国の方針をあそこまで大々的に発表するとは思わなかったわ。いつの間にあんな話上がってたの?」

「考え自体はかなり前からあった。下準備や物の開発着手もね。でも発表するかどうかはかなり悩んでて、今日の会議直前までオルシズと議論して発表する流れになったんだ」


 発表自体はずっと迷ってたのか。土壇場で発表しちゃえ的なかたちになったのかな?


「しかし政策方針に関しては閣僚の方々も知らないご様子でしたが…?」


 ノワールの言う通り、セリアが政策方針を発表した時は、閣僚達まで驚きで戸惑っていた。話が通っていたようには思えない。


「だって言ってないもん」


 セリアはたった一言で返してきた。つまりセリアとオルシズさんだけで進んでた話か…。


「なんで言ってないのよ?」

「言ったらまた訳分かんないとか言われそうだったし…」

「なら私に言ってくれれば説得でも何でも協力したのに。親友が頼ってくれなくて悲しい…」

「むむぅ…、それはごめん…」


 セリアは素直に反省してくれた。どこか気を遣ったのかしら?


「とにかく詳細は別館で聞くわ。今日あともう少し女王様モードで頑張りなさいよ?」

「へーい。もうだいぶ疲れたけど…」

「その疲れ、出来る限り明日に残さないでよ?」

「なんで?」

「なんでって…、神力と魔力に関する特訓するのが明日だって、今日の朝話したじゃない」

「え!?言ってたっけ!?全然聞いてなかった!」


 セリアの反応にアテーナとアルテもヤレヤレと首をすくめている。今日のセリアは会議の事しか頭になかった様子ね。


 直後、セリアとノワールとキリカの三人はそれぞれ別の人から話をかけられ対応にあたる。私だけ余ったと思ったら、オルシズさんがやって来た。オルシズさんの隣には金髪のショートヘアーの美人さんがいる。


「アイラさん、会議お疲れ様でした」

「はい、オルシズさんも進行お疲れ様でした」

「初めての会議で大変でしたかと思います。今日はゆっくりお休みください。それはそうと、アイラさんに紹介します。以前別館でもお話しました、妹のリディアです」

「初めまして。リディア・エアハルトと申します。兄がお世話になっております」


 金髪美人さんはオルシズさんの妹だった。セリアからちょいちょい話を聞いてたけど、思ってた以上に美人だわ。


「初めまして、アイラ・ハミルトンと申します。兄君様からはいつも様々な助言をいただき助かっております。度々お話は伺っておりました。お会いできて光栄です。音楽にお詳しいのだとか」


 私は失礼のないように挨拶した後、そのまま話の流れを作る。

 リディア嬢はグレイシア国内の貴族令嬢達のトップ、公爵令嬢の位置に立つ人。アストラントで言うとティナがそうね。

 縁談話もいくつかあったとは聞いてるけど、全部蹴ったらしい。しかも好みじゃないとかの理由で…。

 音楽業界に精通してるらしくて、有名な音楽家やオペラ歌手、交響楽団とかにも顔が利くらしい。確か音楽の何らかの組織で理事やってるとか…。


「詳しいと申しますか、好きで探求しているうちに詳しくなってしまったという方が正しいですね。アイラさんは音楽はお好きですか?」

「私は好きではありますが詳しくはありません。楽器を少々奏でられる程度です」


 リディア嬢は今、私の事をさん付けで呼んだ。本来この世界の貴族同士において初対面であれば、まずさん付けはありえない事。場合によっては失礼にあたってしまう。

 きっとリディア嬢はこれで私がどういう反応を示してくるか試したんだと思う。貴族としての器を測るために。ま、スルーしたけどね。


「そうですか。兄から話を伺っていた時からそうでしたが、今日になってよりアイラさんに興味を持ちました。伝説との邂逅と契約、竜族との交流、医療費負担軽減案に、女王陛下が進めておられた道路整備計画の推進補助。そしてご自身の領地における市制度の導入。その若さでこれほどの才能をお持ちなのはとても素晴らしいことです」

「いえ、そんな。お褒めいただき光栄ではありますが、全ては偶然と思い付きです。偶然が偶然を呼び、それが運命や奇跡となっていく。そして良くも悪くも状況が変わっていく。私はそう思っています。大した事などした覚えもありませんよ」

「これまでの事は、全てたまたまと?」

「ええ。どれだけ未来設計を組み立てても、きっちりそのままの通りとはいきません。この世に生きる者全て、どう生きてどう最後を迎えるのかなど分からないのですから」


 ましてや神様と会って眷属になってるなんてね。


「なるほど。しかしその偶然と運命と奇跡を上手く利用したあなたの才は、やはり他の者とは異なるでしょう。今後のご活躍、大いに期待していますよ。

 もしよろしければ、いずれ公爵邸へお招きしましょう。今はまだご多忙でしょうから、落ち着いた頃に一緒に紅茶でも」

「ありがとうございます。その際は是非お邪魔させていただきます」


 こうして私はリディア嬢の誘いを受けた。思えばこうして誘いを受けた事は今までなかったわね。なんかアストラントにいた頃よりも貴族っぽい事し始めてるな。私。

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