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異世界で最強 ~転生と神の力~  作者: 富岡大二郎
第十二章 舞台の下準備
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正式調査団、廃村へ

 会食も無事終わって、今日やる事は全て終了。私は別館に戻り、他のみんなもそれぞれの場所へ戻った。

 その日の夜、みんな口には出さなかったけど疲れていたようで、私を含めて早めに寝付いてしまった。


 翌日。セリアが仕事をこなしつつ神力や魔力の制御訓練をスタート。セリアはやる気なさそうだったけど、側近三人組にあーだのこーだの言われ続けながらイヤイヤ励んでた。特にリリアちゃんは昨日の玉座の後ろに潜み続けたストレスを発散すると言わんばかりにセリアにうるさく言ってた。


 それと、私とノワールの王都の屋敷についてセリアから話があった。

 私やノワールがグレイシアに来るずっと前に領地を没収して処刑した貴族が所有していた王都屋敷の全面リフォームが最近完了したらしく、その二件の屋敷がそれぞれ私とノワールの王都屋敷になるんだそうな。

 思えばアストラントにいた頃は私もノワールも王都の屋敷にいたのに、こっちでの王都屋敷の事完全に忘れてた…。ノワールもシャロルも今まで何も言って来なかったって事は、おそらく私と同様に忘れてたっぽいわね。


「完全に忘れてた私も私だけど、なんで今までその事言わなかったの?」

「実は私も忘れてた。別館に住まわす事に意識が寄っちゃって。他の閣僚達とかは覚えてたらしいんだけど、アイラやノワールへは私が伝えてあると勝手に思ってたみたい」


 というわけで、セリアすら忘れてた、一切話題にすら出なかった王都の屋敷を手に入れました。屋敷がどういう感じなのかは、私もノワールも後日にまわして領地開拓に専念する事にした。


 さらに翌日。ノワールは領地開拓に関する話し合いなどのため、各省を廻って様々な人と話してる。私と違って創造魔法で何か作るとかもできないし、ノワールは他の人達と同じ方法で開拓を進めないといけない。私みたいに穏やかにしてられないわよね。

 ノワールが統治するイストワール領は国家会議で軍事中心の領になる事が発表された事から、その珍しさに注目が集まっている。現に既に多くの兵士が異動願いを出しているらしく、軍人として誇りを持っている兵士や、昇格を狙っている兵士達が多く移るだろうと言われているそうな。また、ノワールの‘剛陽の聖女’という通り名も後押しになっている様子。


 それと同じ日。ジーナが正式な使用人になるための試験に臨んだ。

 この使用人試験は、王城や貴族屋敷等、メイドや執事が大勢いる場所ならどこでも試験会場とする事が出来て、試験期間や条件等は基本的にない。試験官は試験会場となっている場所で働く使用人となっている。割とアバウトよね。なお、今回の会場はノーバイン城。

 シャロルの説明によると、試験内容は基本動作の完成度や試験官の要求にどこまで応えられるか等で審査するらしい。意地悪な使用人がいたりするとかなり無茶な要求をしてくる使用人もいたりするそうだけど、この城の使用人にはそんな人はいないってシャロルは言ってた。万が一いたら私が直々に殴りにかかるけどね。


 そんで夕方。ジーナが戻って来た。結果は見事合格。ジーナは正式な使用人として認められた。

 爺やから基礎を教わってまだ一か月半程度での合格。シャロルが言うにはもしかすると世界最速かもしれないそう。


 あと、ジーナが戻って来たタイミングでオルシズさんがやって来て、ある質問をしてきた。それは『新規側近』選びをどうするか?という内容。

 この新規側近は新たに領主が現れた際、今回の場合は私とノワールなんだけど、どんな人でも側近に採用できる新領主だけの特権の事。新しく領地を持つ事が決まった後くらいのタイミングでしか使えない特権で、どこかに属する役人や兵士、使用人などを自分の領地に側近として引き込む事ができる。平民や旅人、商人や傭兵でもオッケーらしくて、人数制限もない。


 私はオルシズさんからのこの質問を受けて、既に専属メイドとして雇っているジーナを再雇用するかたちで指名した。今まで非公認メイドだったし、改めて正式なメイドになれたんだから、問題はないはず。現にオルシズさんも特に何も言って来ないし。


「てなわけで改めてよろしくね?ジーナ」

「はい。専属の使用人として、誠心誠意ご奉仕させていただきます。よろしくお願い致します」

「ジーナさん。メイドの事もそうですが、暗殺業の事もお忘れなく」

「重々承知していますよ。シャロルさん」


 シャロルは最初あれだけ専属メイドが増えるのを嫌がってたのに、今じゃ先輩ぶってる。ようやく受け入れる気になれたかな?まぁ、二人なら仲良くできるでしょうし、気にしなくても平気か。


 オルシズさんは私に聞く前にノワールに同じ質問をしたらしいんだけど、彼女からすぐの返答は出なかったらしい。思えばノワールには側近にできそうな人が身近にいない。だから私はすごく気になったし、ノワールはまた頭を悩ませてるんじゃないかと思って試しに念話を繋いでみたんだけど…。


(一応一人だけ候補はいます。本人にお話して了承してくださればですけど)


 という返答が来た。この時私はまさかと思ったんだけど、その予想は当たりだった。

 翌日にノワールが側近として指名した人物。それはジオだった。

 ジオが指名された事は軍の関係者に大きな関心を与え、末端兵士達はかなり驚いたらしい。彼はまだ若くて立場も低く、経験も実績もない。キャリアでもないし、特別に強いわけでもない。むしろあれこれ振り回される立場のジオが既に名高い新領主に指名されたもんだから、何か特別な関係があるんじゃないかと若い兵士達は理由を探りまくってるそうな。

 しかしジオ本人はまだオッケーを出してないそう。ノワールが言うには何やら元気がないらしい。気になったノワールが他の兵士に訊ねたところ、どうも領地視察の時にドイル将軍がジオに相当厳しい言葉を浴びせたみたいで、以降ジオは自信喪失状態なんだそうな。ドイル将軍め…、余計な事を…。

 なのでノワールはジオを指名したものの、側近になるかはまだ保留とのこと。ちなみに他に側近にする予定の人はいないらしい。


 あと、オルシズさん経由でリディア公爵令嬢より手紙が届いた。兄を配達に使う妹…。

 手紙の内容は、私が治める領地に大きな音楽施設を作ってほしいという依頼。要は大型コンサートホールを建設してほしいらしい。オルシズさんが補足で言ってたんだけど、グレイシアには大規模講演ができるような施設がないんだそうな。音楽に精通しているリディア嬢にとって、音楽施設の建設は悲願なんだそう。だったら造ろう。マリーベルにでも造るか。


 それから開拓にあたり、ヘルメールさんがユートピアとイストワールを行き来しながら自然環境に関してアドバイスしてくれるそう。アプテさんいわく、ヘルメールさんは既に現地入りしてるらしい…って早っ!

 ヘーメスさんも別館に訊ねてきて、開拓に必要な物資があれば交渉すると言ってくれた。同時にヘーパトスさんからの伝言で、要望があれば優先的に道具制作してくれるらしい。今も黙々と何か作ってるのかな…。


 こんな感じでみんながいろんな事に動き出している中。私は再び荷物をまとめ…全部異空間収納の中だけど。翌日に城を出た。

 行き先はキオサさんやギルディスさん達がいる廃村。前回と異なり、今回は大勢の役人と兵士を連れて、馬車に乗って村へと向かう。以前キオサさん達に予告していた政府正式調査団を、今回現地に派遣するというわけ。

 調査団の責任者として統率するのは私。しかしもう一人、責任者代行役として同行する権力者がいる。それが貴族で子爵位を持つサウルス子爵。

 サウルス子爵はかなりご高齢の男性。しかしセリアや閣僚の貴族達が言うには、ベテラン風を吹かせてエラそうにしている時をよく見るとの事。あまり良い話は聞かないらしい。

 何故そんな人を今回の視察団に混ぜたのか。オルシズさんが言うには、私との貴族としての実力差を感じてもらってさっさと貴族界から引退させる狙いがあるそう。…って、それ私に言っちゃダメじゃない?

 セリアはサウルス子爵の同行に反対したらしいんだけど、閣僚達が押し切ったそうな。


 なお、私側に関する人員としては、同行するのがシャロル、キリカ、アテーナ、アルテ、ジーナ、ファルコ、ザッハーク。前回一緒だった爺や、オルトロス、カラス丸は別館で留守番となる。ちなみにザッハークは私の異空間収納の中。

 精霊達は姿と気配を消すことができるため、いつも通り付いて来てるし、各々いろんな所にいる神獣達もいつでも私からの呼び出しに応えられる体制を保っている。


 朝出発する直前までセリアが「私も一緒に行くんだ~!」って駄々をごねて大変だった。アリスとリリアちゃんがジタバタ暴れるセリアを何とか押さえ付け、私が説得という名の脅迫をしてやっとセリアは落ち着いてくれた。女王は女王の仕事をしてもらわないと。


 なんだかんだで出発した調査団。目指すは廃村。住人達への説明と説得はキオサさんとギルディスさんがやってくれているはず。


「アイラ侯爵殿。廃村に無断で住みつく連中への対処、どうお考えですか?」


 馬車の中で質問してくるサウルス子爵。でも私の事を「侯爵殿」とか違和感のある呼び方してくるし、廃村にいる住人への言い方もまるで罪人扱い。そして何より態度がデカイ。


「どうもしませんよ。私の指示に従ってくださればそれまでです」

「従わなければ?」

「相応の対応をとるまでです。どういう内容なのかはサウルス卿のご想像にお任せします」


 私は質問に対してさらりと返答していく。やっぱりまだこの人は廃村の住人が反抗してくると思ってるらしい。


「それと山奥に住む者を下山させると聞きましたが、どのように?」

「そこにいる私のメイドに手紙を預けて向かわせます。到着次第一緒に下山させる手筈です」


 そこにいるメイドとはジーナの事。ジーナなら道分かってるしね。


「メイドごときに役目を任せるとは。あなた様も人材不足ですかな?」


 サウルス子爵は鼻で笑ってきた。こいつが普段メイドをどういう扱いにしてるのか何となく分かった。


「彼女はとても優秀ですよ。色々訳あって地理や土地勘が良い子なんです。だから任せられるんですよ。それに私の側近は皆精鋭揃い。普段それを表に出さないだけであって、いざとなれば頼れる者達です」

「優秀ですか…。こんな小娘が…」


 おい、最後ボソッと言った発言丸聞こえなんだよ。確かに性格良くないな。


(ジーナ、ごめんね?)

(別に気にしませんよ。この程度の者相手に感情的になるような事はありません。それこそアイラ様が侮辱されない限り、怒る事はありませんよ)


 念話でジーナに謝ったら、ジーナは冷静に嬉しい言葉で返答してくれた。

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