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【第37話:闇の元締め、ギャルマインドにまさかの降伏⁉】

闇の元締めがまさかの降伏&デレ!

「誰かに認められたかった」という歪んだ承認欲求をギャルマインドで優しく包容し、

裏社会の巨悪を綺麗に更生させちゃいます。

驚天動地の大和解をご覧ください!

蝋燭の仄暗い炎がゆらゆらと揺れる大寂寺の大広間に、

私の放った真っ直ぐな言葉の余韻だけが、

いつまでも、いつまでも重く響き渡っていた。


 お咲の嘘偽りのない直球のバイブスは、

これまで数々の修羅場をくぐり抜け、

街道の裏を一手に仕切ってきた闇の元締めの冷徹な仮面を、

完膚なきまでに叩き割っていたのだ。


「く……っ、あ……あ……」


 元締めの男は、豪奢な絹の小袖を着崩したまま、

ガタガタと全身を激しく震わせていた。


 恐怖と暴力で人を支配し、

何十人もの手下を従えてふんぞり返っていた彼だったが、

その内心の奥底に隠されていたのは、

「誰にも本当の意味で認められていない」という、

あまりにも歪んだ承認欲求と、底知れない寂しさだったのだ。


誰もが自分を恐れるが、誰も自分を愛してはくれない。


そんな、凍てつくような孤独に苛まれていた彼の心を、

お咲はギャルならではの鋭い直感で見抜き、

その包み込まれるような不思議なバイブスで丸ごと抱きしめた。


「おじさん、

もう強がんなくていいからさ。

そんな暗いところでコソコソしてるの、マジで限界でしょ?」


 私が一歩、また一歩と、冷たい床板を踏み締めて彼に近づいていく。

 私の背後では、チーフのボスをはじめとする藍色の着物のセキュリティチームが、

じっと息を呑んで成り行きを見守っていた。


「……誰も、幸せにできないボス、か」


 元締めはポツリと、壊れた玩具のように呟いた。


 そして、自らの長い指を歪に曲げ、

髪をかきむしるようにして、乾いた笑い声を大広間に響かせた。


「ククク……、ハハハハ! 

手厳しいな、小娘……いや、お前。手厳しすぎるぞ。

だが……だが、お前の言う通りだ。


俺は、ただ……ただ誰かに、この俺という存在を

真っ直ぐに認められたかっただけなのかもしれん……。

恐怖で縛らねば誰も俺のそばにいてくれぬと、そう思い込んでいた……」


 カラン……、と、静寂の中に乾いた音が鳴り響いた。


 元締めの手が脱力し、彼が懐に隠し持っていた、

暗殺用の鋭利な匕首が床へと力なく落とされたのだ。


「……超・粋じゃん、お前。その生き方、俺の負けだ」


 男はすべての憑き物が落ちたような、

信じられないほどにサッパリとした、そしてどこか哀愁の漂う笑みを浮かべて、

まさかの全面降伏を宣言したのだった。


「お、お頭……っ⁉」


「総割元の頭領ともあろうお方が、たかが町娘一人に……っ!」


 大広間に響き渡る元締めの降伏宣言に、

周囲を取り囲んでいた悪党たちが一斉に色めき立ち、

愕然として声を荒らげた。


 しかし、元締めの男は静かに首を振ると、

手下たちに向かって穏やかな、

だが拒絶を許さない語気で告げた。


「お前たちも、もう武器を捨てろ。

俺たちは、とんでもなくダサい生き方をしていたのだ。

このお嬢さんの放つ光の前では、我らの闇など、ただの夜の染みに過ぎん」


「お頭……。へい、分かりやした……っ!」


 ガラン! ガシャーン! カチャリ!


 その言葉を合図にするかのように、

本拠を埋め尽くしていた悪党たちからも、

一斉に武器が取り落とされていった。


さっきまで凶悪な光を放っていた火縄銃や長刃が、

次々と冷たい床板の上へと乱暴に投げ捨てられていく。


お上の役人すら恐れる恐怖の闇の一味の武装が、

お咲のギャルマインドによって、たったの一瞬で、

完全に解除された瞬間だった。


「あはは! 

気づくのちょっと遅いけどさ、分かってくれれば全然オッケーだし! 

ウチはおじさんのこと、ちゃんと認めてあげるから!」


 私はにっかりと、

大広間全体を春の陽気で包み込むような最高の笑顔を浮かべると

ずいと元締めの目の前まで歩み寄り、

その大きくて冷え切っていた元締めの手を、

両手でガシッと力強く、温かく握りしめた。


「ひっ……⁉」


「おじさんもさ、これからはウチらの仲間として、

みんなが毎日アゲアゲでハッピーになれるような、マジでアガる仕事しなよ! 

その方が絶対に毎日楽しいって!」


「ア、アガる、仕事……。ハッピー……。

ククク、お前といると、本当に調子が狂うな。だが……悪くない。

これからは、お前の言う通りにしてみるのも、一興か」


 お咲の温かい手のひらの体温が、

元締めの頑なだった心の氷を、音を立てて優しく溶かしていく。


その様子を見ていたチーフのボスは、男泣きに男泣きを重ね、

額の刀傷を涙で濡らしながら大声で吼えた。


「う、うおおおんっ! 姉御ォォォ!

やっぱり姉御は生神様だぁぁ! 

あの冷酷無比な闇の総割元を、一言も交えずに……


いや、言葉だけで完全に更生させちまうなんて、

俺ぁ感動で胸が張り裂けそうだァァ!」


「チーフ、泣きすぎだから! 

ウサギちゃんの鍔が涙で錆びちゃうって!」


「へいっ! 

お疲れ様でーす! 

涙を拭きやす、姉御!」


 元手下の男たちも、十手をがちゃつかせながら

「さすが姉御だ!」

「これからは総割元のおじさんも、俺たちの弟分だな!」と、


口々にガハガハと愉快そうに笑い声を上げ、

大広間の空気は一瞬にして

アゲアゲな宴会の席のようなバイブスへと変貌していった。


 こうして、宿場町を滅ぼそうと不気味な暗雲を漂わせていた

日陰の世界の巨大な一味は、ギャル女将・お咲の放つ、


圧倒的な人間力とポジティブなハッピーマインドの前に、

誰一人として傷一つ負うことなく、

ほんわかと、そして完璧に解体・更生させられたのだった。


大寂寺の古いお堂の隙間から、

まるでウチらの未来を祝福するかのように、

爽やかで温かい朝の光が、優しく差し込み始めていた。


「よし! 

一件落着だし、みんなで丸米屋に戻って、

特製の朝ごはんガッツリ食べよ! おじさんも、カモンね!」


「あ、あぁ……。お供いたそう、姉御」


 元締めまでをも「姉御」と呼ばせ、

私は最強のセキュリティチームと、更生したばかりの闇の元締めを引き連れて、

意気揚々と自分たちの愛するハッピータウンへと凱旋するのだった。

元締めまで「超・粋じゃん!」と信者化してしまいました(笑)。

これにて裏社会の問題は完全解決……と思いきや、次回は第3部のエピローグ。

更生した闇の組織の力を借りて、街がさらにとんでもない進化を遂げます!

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