↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女はみんな俺に惚れている? そう思っているのはあなただけです  作者: 青空一夏


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/17

第12話 公爵令嬢の決意

 ジークとは幼い頃からの婚約者であり、ドジソン侯爵家との婚約は両家にとって重要な取り決めだとコルデリアは思っていた。だから多少の欠点には目をつぶり、結婚するつもりでいたのだ。

 だが今までのジークの言動で、その考えは完全に変わった。

 相手の言葉を聞こうともせず、何もかも自分に都合よく解釈する。そんな男と、この先何十年も夫婦として暮らしていくなど、考えるだけでうんざりだった。

(……もう無理だわ。この人とは絶対に結婚したくない)

 コルデリアの中で、ジークとの婚約を解消する決意が完璧に固まった。

「ジーク、あなたがどういうお考えなのか、よくわかりましたわ」

「そうか! ようやくわかってくれたか」

 ジークは満足そうに笑った。コルデリアが自分の主張を理解し、反省してくれたのだと思ったのだ。

「それでは、今日はもうお引き取りくださいませ。ベラのことはお父様と相談いたします」

「ああ、そうしてくれ。やっと反省してくれたんだな」

 ジークは機嫌よく立ち上がると、ベラにも声をかける。

「ベラ、安心しろ。お前のことは俺がちゃんと面倒を見てやるからな」

「……はあ」

 ベラは困惑したまま曖昧に返事をしたが、ジークはそれにも満足そうに頷き、サロンをあとにした。

 扉が閉まると、コルデリアは深いため息をついた。

「……あの人、本当に何もわかっていないのね」

「あの、コルデリア様。あたしのせいで、またご迷惑をおかけしてしまって……」

「ベラが謝ることではないわ。むしろ、今回のことでわたくしも決心がついたのよ」

「え?」

 ベラが不思議そうに首をかしげると、コルデリアは微笑んだ。

「それより、ベラ。あなたを正式にバクスター公爵家へ迎えて、わたくしの専属騎士にしたいと思っているの」

「……あたしを、ですか?」

 突然の申し出に、ベラは驚いて目を見開いた。

「ええ。今は騎士団から派遣されている立場だけれど、正式に公爵家へ仕えてもらえれば、もうジークの下へ戻る必要もなくなるでしょう?」

「そ、それはすごく嬉しいです! でも、あたしみたいな平民が、コルデリア様の専属騎士だなんて……」

「何を言っているの。あなたはわたくしの命を救ってくれた騎士なのよ。身分なんて関係ないわ。それに、わたくしはあなたほど信頼できる騎士をほかに知らないもの」

 コルデリアの言葉に、ベラは照れくさそうに笑った。

「……ありがとうございます! あたし、精いっぱい頑張ります!」

「ふふっ。頼りにしているわ」

 嬉しそうに顔を輝かせるベラを見て、コルデリアも笑みを浮かべた。

 ベラを正式に専属騎士として迎えるには、バクスター公爵の了承を得て、王立騎士団との手続きを進める必要がある。だが、筆頭公爵家が優秀な騎士を引き抜くことは珍しくなく、娘を大切にしている公爵が反対する可能性も低い。

 そして、コルデリアが父親に相談しようとしているのは、ベラのことだけではなかった。

 ジークとの婚約解消である。

 (お父様に、早速お話ししなくてはね)

 コルデリアはそう決意した。


 一方、公爵邸をあとにしたジークは、馬車の中で上機嫌だった。

(やれやれ、ようやくコルデリアもわかってくれたか。これでベラも安心して騎士団に戻ってこられるな)

 嫉妬深い婚約者を諭し、困っている部下を助けてやった。ジークは、自分が実に立派な上官であり、思いやりのある男だと信じて疑わなかった。

(まったく、俺って英雄だな。弱気を助け強きをくじく。まさに俺のことじゃないか)

 ジークは満足げに微笑んだ。

 まさかコルデリアが自分との婚約解消の決意をすっかり固めたことなど、ジークは夢にも思っていなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。