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各国合同国際武芸披露大会

 フランツとの序列決闘から早2ヶ月が過ぎた。そろそろ夏に入ってきて、結構暑くなり始めた。

 俺達は今バスチアン教授から重要な事項を伝えられている。

 それは何かというと、各国合同国際武芸披露大会についてだ。

 いよいよ1週間後に迫っていて、もうじき各国の学園のトップの生徒達が入国してくる頃らしい。

 1週間のうち、初めの数日は観光やこの国に慣れるための期間らしい。

 その後残りの数日を使って最終調整をし、大会に臨むんだそうだ。

 俺の隣でアランがワクワクした顔で話を聞いている。アニエスはぶっちゃけどうでも良いですみたいな顔をしている。

 まあ、元々戦いは好きじゃないもんな。仕方ないだろ。


「今年は我が国での開催だ。自分達のよく知る闘技場で自分達の見慣れていて安心できる環境での戦いだ。出場者にはなるべく多く勝ちを拾ってもらわねば困る。というよりこれは君たち自身の沽券にも関わることだ。と言ってもあと1週間しかないので、できることは多くないだろうがしっかりと準備をして最善を尽くせるようにしてから大会に臨むように。以上! 解散!」


 教授の説明が終わり、今日の授業は終了なのでみんな足早に寮に戻っていく。

 そんな中バスチアン教授から何名かが呼び出しを受けた。俺もそのうちの1人だ。

 なんだろうと思っていると、教授が口を開いた。


「諸君、早く戻りたいだろうに集まってもらってすまない。だがこれから伝えることは非常に重要なことなので後回しにするわけにもいかない。というわけで手短に済ませる。集まってもらった理由を早速説明するが、まあ要は君たちが今回の大会に出場する予定の生徒だということだ。頑張ってくれよ」


 と、いきなり言われた。ああ、なるほどね。言われてみれば、ここに集まってるのはこの教室で上位に入ってる奴らばっかだわ。俺、アラン、あの面倒な貴族嫡子などなど。

 まあ、最近は俺にちょっかい出してもどうせ周りの平民の子や、アランを含めた俺のことを認めてくれ始めた貴族の子供達から白い目を向けられるのがわかっているからか、あまり余計な真似はしてこなくなった。

 おっと、話がそれた。それよりもだ。やっぱり各国がトップクラスの生徒しか連れてこないって言っていたからなんとなく分かってはいたけど、こっちも出場選手は上位のみなんだな。

 それならかなりタフな戦いになりそうだな。俺も結構ワクワクしてきた。

 何せ、新しい魔法作りのヒントを得られるかもしれないしな。


 そんなことを考えていると、アランが声をかけてきた。


「楽しみだね、セドリック! 僕はもう今から待ちきれないよ!」

「ははは、楽しそうだな。まあ、俺もだ。お互い頑張ろうぜ? 今回は団体戦で1人出して負けたら次に交代、勝ったら継戦って感じなんだろう? この間は敵同士だったが、今回は仲間だ。宜しく頼む」

「ああ、こちらこそ。君が仲間だからね、とても心強いよ!」


 そんな感じで話してると他の子達も会話に入ってきた。


「確かにな。セドリックがいるのといないのでは団体戦においてかなり違ってくるだろうな。なんせ剣術も魔法も高度に修めている者などそういないしな。序列戦では戦うことはなかったが、強さは聞いている。お互い頑張ろう」

「ええ、よろしくお願いします」


 今の会話でわかると思うが、話していたのは貴族嫡子だ。この男子がさっき言った認めてくれてる貴族の内の1人だ。

 名前はオーレリアン・バラデュール。しかも凄い事にコイツの親は伯爵なんだ。そして彼の父親は属性はどうでも良いタイプみたいだ。

 俺1人に対しての考え方ではないのは理解しているけど、それでもありがたい話だ。虎の威を借る狐になるつもりはないが、それでも強い人が力になってくれるなら俺は変な意地を張らず助けてもらう。世の中うまいこと立ち回ったやつが生き残っていくからな。


 さてと、他のメンバーとも軽く挨拶しとくか。この学園は一つの教室に100人くらいいるからな。まあ、正確には多少前後するが、概ね100人だ。

 そういうわけだからよく知らない、あまり喋らないって子も結構いるんだよな。

 なので一人一人談笑しながら言葉を交わしていった。


 その時に一つ、ずっと気になっていたことをみんなに聞いた。何故この学園はこんなにも武力に重きを置いた教育をするのかという事だ。

 その質問に対し、平民の子たちは確かにそれ気になってた! みたいな感じで反応したのだが、貴族の嫡子連中は困ったな、と言った顔をした。

 何故かな? と疑問に思っていると、1人が答え出した。オーレリアンだ。


「それは確かにあまり国民一人一人には周知されていない情報だな。そうだな、実を言えば簡単な話なんだ。お前達もこの国の魔法使い達の質が下がりつつあるのは知っているな?」


 その質問に俺達は全員迷いなく頷く。


「よし。ではその事実を知って得をするのはどこの誰だと思う?」


 他のみんなはこの質問にさっぱりと言った感じだったが、俺は前世の頃から世界史や国家間情勢などを学ぶのが好きだったので、すぐにピンときた。


「ああ、なるほど。国の守りの要の人たちの質が低下しているということは、他国の特に帝国と名がつく国に攻められる可能性が出てくるって事ですか?」

「!!?」


 さすがに答えられる質問とは思っていなかったようで、オーレリアンはびっくりした顔をしている。


「文武共にずば抜けていると前々から思っていたが、頭の柔軟さもピカイチとは……恐れ入るな」

「いえ、そんなことは」

「いやいや、お前は政治家向きだよ。凄いな。おっと話がそれた。とにかく、今セドリックが言ったことが全てだ。魔法使いの質の低下は軍の質の低下そのものと言って良い。よって他国からの侵略の可能性が出てくる」

 

 オーレリアンの断言するような物言いに平民の子たちは、特に女の子連中がビクついている。

 流石に戦争という国家規模の大事に発展するほどの案件だとは思わなかったようだ。


「落ち着けお前たち。あくまでこれは可能性の話だ。だが、そのせいで我々への武力方面においての教育が厳格化しているのは事実だ。ただ、さっきも言ったが最悪の事態に備えているだけだ」

「教えてくださってありがとうございます」


 俺はオーレリアンにお礼を言っておいた。

 すると今度はアランが言葉を発した。


「さ! みんな。今日はもう帰ろう。明日からは大会への調整とかもあるだろうし、寮に戻ってゆっくり休もう」


 その言葉にみんな授業でくたくたに疲れているのを思い出したらしく、急に死人のような顔になって寮への帰路についた。


 そして俺たちはいつも通り3人で帰る。呼ばれてはいなかったが、アニエスは俺たちのことを待ってくれていたようだし。


「よし、じゃあ帰るか」

「うんそうだね。アニエスのこともまたせてしまっているしね」


 そうして俺たちは教室の隅で待っているアニエスの方に歩き出していったのだった。

 

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