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序列決定後の生活

遅くなりました! ごめんなさい!

 序列が決まってから2週間が経った。俺は今、1人で学園内の中庭のようなところで寛いでいる。授業がさっき終わって、今は休憩時間の真っ最中だからだ。凄く平和で快適な時間だ。

 だけどもうすぐ定期試験も始まるし、今授業でやってる範囲の復習しないとなぁとか思っていると、声をかけられた。


「やっと見つけた! 俺は二級教室のフランツだ! セドリック! お前に序列決闘を申し込む!」


 ただでさえ首席の座を維持するために勉強大変で毎日勉強漬けで疲れてるのに、休憩時間に休む暇もくれないのかよ……。勉強の内容自体は授業をちゃんと聞いてれば、そんなに難しくないけど、全科目を満遍なく高得点取ろうと思ったらそれなりの勉強はいるのだ。

 

「えぇ、やだよめんどい。また今度にしてくれよ」

「はぁ? 何言ってるんだ! 決闘を申し込まれたんだぞ! 受けるべきだろう!」

「いや今休憩中だから。空気読めよ」

「知るかそんなこと! 決闘は申し込まれた時点で上位者側は拒否できない規則がある!」

「ああ、分かった分かった。ただ、今はさっきも言ったけど休憩中なんだ。俺は休む時は休むって決めてんの。だから放課後とか時間のある時にしてくれ」

「放課後だな! 夕方に闘技場で待っているぞ! じゃあな」



 そんな感じでフランツのやつは嵐のように現れて嵐のようにさっていったよ。

 ホントああいうの苦手なタイプだわ〜。前世からああいう暑苦しいの嫌いだったもんな〜。

 まあでもこれは俺だけじゃなくてあいつの成績にも関わることなんだよな。真剣に受けて立たないといけない。

 上に立つってこういう責任あることにも耐える忍耐力もいるんだな。ここ最近ちょくちょく決闘を申し込まれて漸く気づいたよ。

 ちなみに全戦全勝な。最近ではめっきり挑戦者が減っていたから平和だと思ってたのに。

 アラン曰く、『普通に考えれば、決闘で負けたばかりの実力で挑んでも勝てないのは明白なのに、挑む理由は自分には理解できないが、彼ら下位の序列の者達は大会後の成績が大きく序列頼りになってしまうところが大きいからなるべく早く順位を上げたいのだろうと思う』 だそうだ。

 確かに言われてみれば、学園全体の成績で上位に上がれるのならば既にズンズンと順位を上げてきているだろうから。

 小試験とかはちょくちょくやるので、それらも席次に反映される。つまり定期試験だけ頑張って終わりじゃないってことだ。

 定期試験で一旦順位を固定して、その順位や総合成績の状態からどれだけ小試験や訓練を頑張れるかで席次もコロコロ変動する。気を抜いているといつの間にか席次が100位も落ちていた、なんて先輩も過去にいたらしい。バスチアン教授から聞いた話だ。


 

 とまあ、そんなわけでこっちの世界の学園は普通に前世での席次決定基準よりもはるかに厳しい世界だ。

 なのでみんな序列を上げるのに必死なのだ。かくいう俺もなんだかんだ必死に序列をキープしてる。アランやアニエスは今の時点で俺に挑戦しても、勝てる見込みはないからもう少し修行を積むと言って決闘を申し込んでくることはない。

 まあ取り敢えず今はフランツって言ったっけ? 苦手なタイプだから既に名前を忘れかけてる……、とにかく彼との決闘だな。

 授業は後二つあるからそれが終わったら闘技場だ。




 午後の授業も終わって、約束の決闘の放課後となった。アランやアニエスには先に帰ってもらうように言ってある。

 

 少し早足で闘技場に向かう。

 既にフランツも立会人の教授も来ていたようで、早速準備に取り掛かる。


「約束通り来たようだな」

「まあな。俺は別に決闘自体は嫌いって訳じゃないし」

「そうなのか? さっきは嫌がっていたので、てっきり面倒なのかと思っていたが?」

「あれは休憩時間だったしな。それに主席の座を維持するために勉強も手を抜けないしな。結構しんどいんだよ」

「その割には楽しそうだが? それにふむ、言われてみれば勉強も確かに大事だな。俺はあまり得意ではないからな。もっと精進せねば」

「あぁ、そう」


 ははは、愉快なやつだ。二級にいるやつが勉強を頑張ってない訳ないのに。この学園で、1学年一体何人の生徒がいると思ってんだよ。1200人だぞ。

 教室の数だって当たり前のように13ぐらいあったはずだ。そんな中で二級教室に入れるくらい努力してるんだ。世間一般からすれば、フランツは十分すぎるぐらい頑張ってるんだけどな。まだやり足りないのか……ホント、厳しい世界だよな〜ここは。


 そんなことを考えていると、


「2人とも、準備は整ったようだな。では始めるとしよう!」

「「はい!!」」


 返事をしたあと、俺たちはそれぞれ距離をとって闘技場のど真ん中に立った。

 

「勝負は一本! 先に戦場においても有効打で相手に致命傷を与えうるだろうと思われるような攻撃を当てた方が勝利とする。では、2人とも正々堂々と己が力を発揮せよ! 始め!」

「おりゃぁぁぁ!」


 バスチアン教授の開始の合図と共に、フランツはいきなり突っ込んできた。

 彼は装備から見てわかるが、戦士の戦法を重点に置いた戦い方をするのだろう。

 現に今、突っ込んできながら剣を振り下ろそうとしてる。


 それに対して俺はサラリとサイドステップの要領で避けていく。そんな簡単に避けられるとは思っていなかったのだろう。彼は驚いた顔の後に、少しムキになった顔をして、


「ならば! 水槍(すいそう)!」


 いきなり魔法を使って牽制してきた。そしてそれはかなり良い手だった。なんせいくら俺の方が魔法が得意だからってそれを塞がなければ大怪我だ。

 なので水魔法を防ぐ体勢に入る。だけどフランツはそれを見計らっていたかのように鋭い剣撃を打ち込んできた。


「チッ!」


 俺は直ぐに魔法を魔法で防ぐのを諦めて、回避行動をとった。だけどそれすらも彼の作戦内だったようでズンズンと攻め入ってくる。

 だけど俺は剣術も満点プラスの点数で入学しているんだ。そう舐めてもらっては困る。

 と言うわけでフランツが踏み込んで片足が上がったその瞬間を狙って屈み込み、


「スキありだ!」


 後ろ回し蹴りの要領で足払いを行った。そして見事に引っかかってくれたようで体が横向きで宙を浮いている。

 そこで俺は更に掌に魔力熱を溜めて掌底を鳩尾めがけて叩き込んだ。すると、


「グボッ!」


 と言う鈍い悲鳴と共に物が飛んでいくようにドカドカと跳ねていく。そして三回転ぐらいしてようやく転がる勢いが収まった。

 最近こうやって体に魔法そのものを発動せず、炎の魔力だけを纏わせて扱うことができるようになってきた。

 身体能力も魔力補強で上がるようだし、かなり便利で愛用している。


「フランツ戦闘不能! セドリックの勝ち! よってセドリックの序列は維持、フランツの序列も変わらぬものとする!」


 フランツはさっきのがよっぽど効いたようで、全く起き上がってくる気配がない。

 先生が介抱しながから医務室に連れていくようだ。


「セドリック、今日はもう早く戻って休みなさい」

「ではお言葉に甘えて遠慮なく」


 そう言って帰ろうとした俺に教授は再び話しかけてきた。


「さっきあまり見かけない戦い方をしていたが、あれはどう言った原理なんだ?」

「あれは魔法自体を発動させずに、属性魔力を体に纏うことで身体能力を底上げしたんですよ」

「なんと!? お前は既に身体強化理論を理解していると言うのか!? あれは3年生で習う内容だぞ?」

「そうなんですか?」

「色々聞きたいことはあるが、今はいい。とにかく体を休めなさい」

「はい……あ、いやバスチアン教授!」

「ん?」


 会話が終わりそうだったので俺はこの際だからと教授に聞いてみたかったことを聞いてみた。


「教授は俺のこと変わり者だとか異端者だとか思わないんですか?」


 俺がそう聞くと、教授は一瞬キョトンとした顔をした後に、


「あははは! あ、いや悪い。馬鹿にしたわけではないんだ。お前があまりにも今更なことを聞いてくるので、ついおかしくなってしまった」

「は、はぁ」

「質問の答えだがな、否だ。私は名前から分かる通り、平民だ。貴族様のような属性が水でないといけない! みたいな考えは持っちゃいない。むしろ馬鹿馬鹿しいとさえ感じているのだよ。お前を疎ましく思う輩もいるのだろうが、お前にいつでも味方してくれる人物がいると言うのも忘れないでおいてくれよ。お前は胸を張っていればいい。何せこの学園で最強、最高の名をほしいままにしている逸材なんだからな」

「は、はい」

「うむ、良い返事だ! それではな!」


 と言った具合に激励の言葉を残して教授は去っていった。

 よーし、教授も帰ったことだし、俺ももう帰るか。明日に備えて寝ないとな。


 

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