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各国代表団到着

 俺たちが各国合同国際武芸披露大会の説明を受けたその翌日の朝、各国の代表団が到着したようだ。

 今俺たちは正門前で彼らを迎え入れるために待機している状態だ。



 十数分ほど確認事項などを教授から伝えられながら待っていると、馬車の車輪の音が聞こえてきた。

 

「というわけで……1番初めにこの場所にこられる予定となっているのは……おっと噂をすればというやつだな。諸君、姿勢を正したまえ。今回の代表団は貴族家の関係者が多い。失礼の無いようにな」

「「はい!」」


 俺たちが返事をした後、すぐに馬車の一団が遠目に見えた。ものすごい警備に囲まれながらゆっくりと進んでくる。

 そして、5分後にようやく俺たちの場所まで辿り着いた。もっと遠くからならまだ分かるが、目に入ってからここまでくるのに長すぎだろ……貴族ってめんどくせえ。


 そして到着した代表団の中で取りまとめ役的な人が前に出てきて俺たちに一礼してきた。


「我々は氷の王国から参った一団です。この度は恒例行事のためとはいえ、お招きいただき誠に感謝いたします」


 向こうが丁寧に挨拶をしてきた。それに対して学長が、


「いえいえ、こちらこそ遠路はるばるお越しいただいて感謝しております。では早速ですが、学園内の宿泊場所にご案内いたします。大会まではまだ時間がございますので、ごゆっくりと旅の疲れを癒してくださいませ」

「感謝いたします」


 こうして氷の王国の代表団は学園の中へと入場し、学長に案内されながら歩いて行った。ここで一通りの儀礼は終了したので、俺たちは授業を受けるためにそれぞれ教室に向かう。



 その道中、


「それにしても、氷の王国の代表団の人たちは物静かだったね〜」


 アニエスがそんなことを言い出した。それに対して平民で今回の選抜に加わったベアトリスという女の子が、


「そう言えば昔、母に聞いたことがあるの。氷の王国では落ち着いていることが良しとされていて、あまりはしゃいだり、感情を表に出すような人は微妙って評価を下されるみたい。もちろん全ての人がそうだとは限らないだろうけど」


 そんなふうに情報を教えてくれた。これはアランたち貴族も当たり前のように知っていたみたいで、うんうんと頷いている。


「そうなのか〜。国によって人の在り方ってのも変わるのかもな」

「そうかもね〜」


 俺の言葉に本当にその通りだ、みたいな感じでベアトリスが同意を示す。その後はみんな別れて自分の授業がある教室に向かい、必修の授業はまたみんなで集まって一緒に受けてといった感じで過ごし、その日は寮に戻ることとなった。




 1週間後、いよいよ大会が開催される日となった。1週間前の氷の王国の代表団の到着の後も、それ以外の6カ国の出迎えをした。

 いろんな風貌、いろんな立ち居振る舞い、いろんな話し方。そう言ったたくさんのものを目にする機会に恵まれた。

 疲れはしたけど、俺としては良い経験だったように思う。


 そして今日、出会ったたくさんの諸外国の代表たちと武芸において競うこととなる。

 今回のこの"武芸"は、戦うわけではない。与えられたお題を条件に合わせて達成していくものだ。

 例えば大きな的があるのでそれを破壊せよ! より大きく破壊できた方の勝ち、というような感じだ。


 なので直接的に相手に対して武力をぶつけ合う序列決闘とは少し違っている。理由は至ってシンプルだ。決闘ってのは殺しはしないが、相手を潰す勢いで戦うからだ。

 殺すつもりがなくても万が一のことだってあり得る。闘技場の外にある魔導具は生きていれば治せるが、死ねば終わりだ。なので諸外国の優秀な金の卵たちに何かあっては取り返しがつかない。

 そういう理由から国際問題を事前に回避するために、このような制度がとられている。


「さあ皆さん! 今年もやってまいりました、各国合同国際武芸披露大会! 毎年色んな国々の要人の方々も足を運ばれるこの大会、決して目を離せるものではありませんね! それでは早速各国の代表団の生徒達に入場してもらいましょう! 皆様、盛大な拍手を!」


 パチパチパチパチパチッ!


 水の王国専用の控室にいる俺たちにもはっきりとアナウンスの声が聞こえてきた。

 いよいよだな。気を引き締めていこう。そう考えていると、


「ねえねえセドリック! 初めは何の種目かな! 楽しみだね!」


 子供のように目をキラキラとさせたアランが(いやまあ、子供なのは間違いないが、俺は精神年齢がアレなので彼がだいぶ幼く見える)言ってくる。


「さあな。それは大会が始まってからのお楽しみってやつだな」

「そりゃそうだけど、今回は無闇に相手を傷つける必要もないから思う存分やれるから楽しみだったんだよね。お楽しみなのは仕方ないけど、早く始まんないかな〜」

「お前には緊張感ってものはねえのかよ……」

「ん? なんか言った?」

「いんや、なんでも」


 アランがあんまりにも緊張感のないやつなので、思わず小声で愚痴ってしまった。俺もそのポジティブさは見習いたいよ。今回この場に集まるのは各国の学園が誇る最高峰の生徒達。一人一人が実力者であろうことは言うまでもない。

 それなのにアランのこの前向きで恐れ知らずな性格は素直にすごいと尊敬してしまう。

 俺にはそんなふうに考えるのは無理だろうから。まずはどんな競技が来るだろうか? 来年の競技種目から予測して、こんな競技が来たらこう動こうかな? とか始まってもいないのに色々と思案を巡らせてしまう。


 まあ、結局のところ考え方は人それぞれってことだろうし、こういう局面でも緊張しない奴はしないし、する奴はするんだろう。

 そうシンプルに考えることにした。


 


 そんな感じで色々大会について考えながら待ち時間を過ごしていると、係員の人が来て僕たちを闘技場に案内し始めた。


 そして闘技場に着くと、そこには巨大な岩が2つあった。

 これはつまり、


「ただ今より! この大岩をどちらが早く木っ端微塵にできるかの勝負をしてもらいます! まず初めに2つの国をくじ引きで選んでその2国で争ってもらいます。決着がつけば、大岩をまた用意する。そして再び2つ国を選んで対決してもらう、こう言った流れで試合を進めていきたいと思っております。大地の皇国の関係者の皆様、会場設営にご尽力頂き誠にありがとうございました! それでは始めてまいりましょう!」


 司会がルールを説明し、その際にこの会場設営に協力してくれた大地の皇国の人達に感謝を述べた。

 その時に相手方の代表団は綺麗なお辞儀で返事とした。

 その程度はお安い御用って感じだな。これは頼もしい。ジャンジャン壊せそうだ。見たところ大した硬さじゃなさそうだし、油断なく徹底的に潰す気でいけば多分問題なく壊せると思う。


 そんなふうに考えていると、早速くじ引きが行われたようだ。そして、


「初めの対戦は風の連邦帝国の代表団と、炎の王国の代表団です! では選ばれた国の生徒の皆さんは闘技場中央に集まってください」


 呼ばれた国の生徒達は手早く準備を整えて闘技場の真ん中に集合した。そして互いに用意された大岩の前に整列する。

 ようやく始まるな。


 


 こうして新たな戦いが幕を開けたのだった。

 

 

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