第二話「道路ですわよね?おほほほほ」
ハルカ率いる測量隊一行は、谷底のガスに足止めをされていた。
宿場町全体が既に硫黄臭い。
「卵が腐ったような」と言われる匂いである。
「火山だらけの国でガス、といえば硫化水素ですわね…。
卵を腐らせるなんて勿体無いことしたことがないけど…。
あれ、いつだったかフサさんが腐らせていましたっけ?」
暇なのでしばらく宿場町を散策していたハルカは、街道とは別に山の中に入っていく道を見つけた。
標高はだいたい一定で、山の中腹を通っている。
「ちょっと行ってみますわ、おほほほほ」
魔道荷馬車(馬はいない)にガイドを乗せて走り出す。
「途中、この荷車、通れない」
「なぜですの?」
「言葉、難しい、説明、不可能」
その道は魔道荷馬車(馬はいない)が1台通れるくらいの幅である。
それくらいの幅を、無理して花崗岩質の地面を削って平場にして、道路にしている。
なぜこちらを「街道」と呼ばないのか、全く理解ができない。
それくらい整備に労力がかけられていた。
しかしすぐに違和感に気づく。
「おほほほほ、転回できる場所が無いと帰りがきついですわね」
「狭い、すれ違い、無理。
上り下り、ある。
設計、歩き、だけ」
そして最大の問題点が目の前に立ちはだかった。
「この道、役人、谷底、予備。
休憩、必要、ここ」
「…おほほほほ??
理解はしましたわ…。
ですけど普通、道路という平場を使って小屋を建てますの?」
小屋の通路の中を徒歩で通過しないと通れない構造であった。
魔道荷馬車(馬はいない)から降りて中を見た。
便所と、隣の小屋は保存食が置いてあり、その手前に鉄製の代金箱が配置されていた。
「路上サービスエリアですわ…?」
ハルカは引き返した。
数キロ、谷底への転落リスクと格闘のバック運転だった。
便所国道
国道140号の雁坂トンネル開通前、点線国道が通っていたと思しき雁坂峠の道に、道の平場を使って建てられている便所小屋がある。
実際の国道指定であったかどうかは諸説あるが、ネット上で「酷道」が話題になると「便所国道」という呼ばれ方をするようになった。




