白髪の男…
(そろそろ戻るか……)
少し遠回りして戻るとバーはいつもと同じ佇まいだった
(店長いないのにな……)
Zをガレージに入れて乱暴に武器を置く。
そして、バーに回る。
(誰?)
そこには見知らぬスーツ姿の白髪の男が座っていた。
任務お疲れ様。
『は、はい。』
誰もいなかったから中で待たせてもらったよ。
『はぁー』
おっと、悪い、初めましてだったね、私はこういう者です。
【AWA統括本部長 伊集院 尊】
その名刺にはそう書いてあった。
『AWA?』
『ACSとかASSの関係の方ですか?』
Android World Authority
の略でAWAだよ。
簡単に言うと世界のアンドロイドを見張ってる、とでも言うのかな。
ACS、ASSの上部組織だな。
『それが何で?』
簡潔に話そう。
まゆみ君は今こちらで保護している。
『まゆみになんかあったのか?』
『おい!』
落ち着きなさい。
何もない、今のところはな。
ただ。
『ただ、何だよ!!!』
気づき始めている違和感に。
『なんで?』
それは今日君らが処理したあのアンドロイドと関係しているのかもしれない。
ただ、暫くは任務から外れてもらう。
今話せるのはここまでだ。
『まゆみはどうなる?』
今のところは、何もしない。
『アイツは、まゆみは人間なんだ、』
分かっている、意思があることは…。
『意思があるってことは心があるってことだろーが!!』
『心があるってことは生きてるってことだ!』
『AWAだかなんだか知らねーけどまゆみに何かしやがったら許さねーからな』
まぁ、落ち着きなさい。
ひとまずまゆみ君は安全に保護下にあるとだけ覚えといてくれたまえ。
あと、このことは他言無用だ。
これは特殊守秘項目に当たる。
他言した場合、キミの安全もまゆみ君の安全も保証できない。
私がキミにこのことを話した。それを汲んでくれ。
……
『分かった』
****
「ここは? どこ?」
安心して。
ここは病院です。あなた任務中に倒れてここに運ばれてきたの。
あっ、そう言えばあの屋上で頭痛がして……
その後の記憶が。
「そう言えば、アイツは、アイツは処理出来たの?」
無事処理しました。
「被害は?」
物理的な被害はありますが人損はゼロです。
「じゃ、コーイチも無事なのね、良かった」
彼は元気なもんでしたよ笑。
「さすがコーイチね!」
ふとスマホを取ろうとして腕を動かすと、腕にチューブがいくつも付いている。
「何これ?」
単なる点滴ですよ、栄養補給みたいなもんです。
あれから三日たってるもので。
「三日? 三日間ワタシは寝てたの?」
そうです。
コーイチ心配してるな、連絡しなきゃ、
コーイチさんには伝えてありますよ。病院で療養しているって。
良かったー、ああ見えてコーイチ
心配性?
過保護?
愛されてる?笑
「やっほー! まゆみ復活(^^)v」
スマホを取ってLINEを送った。
【まゆみ復活(^^)v】
じゃねーよ! 心配かけやがって!
異常はないって聞いたぞ! 良かったな!
落ち着いたら面会行くからよ! お見舞い何がいいか考えとけ!
【Pan Con Lechón】
のキューバサンド食べたーい!
あと、美味しいカフェオレ!
待ってまーーす❤️
分かったよ、待ってろ!
気が向いたら買ってってやるからよ!!
その返事を送って俺はすぐに家を出た。
【Pan Con Lechón】
に向かうために。
今日は車だな、Zは暫く乗れねー
またTYPEGビークル指定の指令でも出れば別だけどな!
出て欲しいような欲しくないような……
そんなことを考えてると自動運転の車はいつのまにか到着した。
うーん、やっぱ楽だな!!
店へと入り前にまゆみが注文したキューバサンドをテイクアウトで注文する。
カフェオレはどうするかなー
せっかくだからまゆみの好きなスタバにしてやるか!
ちょうどまゆみのいる施設に行くまでの間にスタバがある。
モバイルオーダーで注文を済ませてキューバサンドを待つ。
確かまゆみが前に食べて喜んでた・・・
名前なんだっけ??
(まぁ、いいか)
すみませーん、このドーナツみたいなケーキみたいなやつ下さい!
その二つを受け取りスタバのドライブスルーに入る。
カフェオレと俺のブラックコーヒーを受け取り、まゆみの元へと向かった。
施設に着きまゆみの部屋の前までいくと、
「っな訳ないでしょ! いい加減にして!!」
「だから、違うって言ってるでしょ!
バカじゃないのアンタ!」
「だったら何よ? それじゃダメなの?」
「みんな一緒でしょ!」
「出て行って!!!」
・
・
・
・
引き戸が開き人影が出てくる。
伊集院だ
『テメーー!』
ちょっと、待って下さい。
伊集院は両手を肩の位置に上げてちょっとちょっとポーズをしている。
『なんだぁ?』
あなたは気づいているんですよね?
『だからなにがだ?』
普通が儚く脆いことに?
『何言ってんだテメー?』
失礼しました。AWAの現在の見解としては意思を持ったアンドロイドはとても危険視されています。
『何が言いてーんだテメーー』
一つだけ、覚えといて下さい。私はあなた達の味方です。
いいですか、大事なことです。
私は味方だ。
『うるせーな、訳わからないこと言ってるんじゃねーわ!
行け!!!』
忘れないで下さい。私はどうにかしたいんだ。
伊集院はそう言って背を向けた。歩き去るその足取りは、思っていたより重い。
(意思を持つことは、罪ではない。
ただ、それを認められない世界がある。それだけのことだ。)
胸の内でそうつぶやいたところで、何も変わらない。
分かっている。
それでも、そう思わずにはいられなかった。
****
(ふんっっ!)
俺は伊集院のことはいなかったことにして病室のドアを開けた。
そこには少しプクッとしてるまゆみがいた
『おーい、生きてるかー?』
「コーイチ!!」
プクッと顔が満面の笑みに変わる
ガキじゃねーんだからよ笑
『買ってきたぞーー』
「やったーーー!!!」
感情を素直に現すってのは多分スゲー大事なんだ
まずは飲み物を渡す
「スタバのじゃん、行ってくれたんだぁ、嬉しっ」
『俺がスタバのコーヒー飲みたかったからついでにな』
『あと、注文のこれだ』
「イヤッター! キューバサンド❤️ あぁーーー、デザートもあるじゃん」
『ついでに、な、ドーナツみたいなケーキ』
「なにそれ!ドーナツみたいなケーキって笑」
『前食べて美味しいって言ってただろ……』
「で、ワタシが言ってたからこれを、買ってきてくれた、の?」
『ついでだからよ』
「なんて言って買ったの?
あのお店メニューに写真なかったよね。このケーキの名前知ってる?」
『だからぁ、ドーナツみたいなケーキって・・・』
「えっ?」
『だからぁ、ドーナツみたいなケーキ下さいって!
文句あんのか! 文句言うなら返せ!!!』
「ごめん、ごめん、でも……
お腹痛い、、、、
ハッハハハハ!!
ドーナツみたいなケーキって注文したんでしょ?」
『うるせー。
買えたんだから良いだろ!』
「ごめん、ごめん、こーちゃんは優しいでちゅねー❤️
ドーナツみたいなケーキ買って来てくれて❤️」
『テメー、バカにしてんだろ!
二度と買ってこねーからな!!!』
「ごめんなさいm(_ _)m
ありがとうm(_ _)m」
この子はこう言う子だ。
『ごめんなさい』
『ありがとう』
を、真正面から言ってくる
『いや、そこまで言ってないけどよ』
「イヤッターー、また買って来てね❤️」
『まぁ、いいけどよ、
次は名前……』
「うん?」
『名前教えろよ!』
「なんの?」
『ドーナツみたいなケーキの名前。買うの恥ずかしいからよ……』
「可愛い〜❤️ そういうところ好きだぞ!!」
『うるせーんだよ、お前はいちいち!!』
ピーピーピーピー
二人のスマホが一斉に通知を受け取る。




