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Kawasaki Z1100R

『次何飲みます?』


うーん、カミカゼ貰おうかな!


『永井さんほんと、好きっすねー。

飲み過ぎて奥さんに怒られないでくださいよ、最終的に俺が怒られるんだから笑』


シェイカーに氷を入れていた。


ピーピーピーピー!!


『ちょっとすみません』


俺はスマホを確認する。


【ASS緊急要請】

ターゲットからのハッキングを考慮してTYPEGのビークルを使用

武器level5所持許可


『ちょっとヤバいっすわ』


そう言いながらシェイカーを振りカミカゼを出す


『俺いくんで後お願いします!』


またかよー。

しょうがねーなー、看板しまって適当に飲んでるからな!


『全然飲み放題しちゃって下さい』


全部飲み切ってやるからな


『じゃ戻ったら明日の発注しなきゃっすね』


戻ってこいよ……


『当たり前じゃないっすかー』


『永井さん、どうせ酔い潰れてるでしょ、ちゃんと家まで送っていきますよ』


『まーた奥さんに俺が怒られるなー』


まぁ、そう言うな!


『じゃ、行ってきまーす』


おう!!


店の裏にあるガレージへと回る。


今日は堂々とこいつを使えるな。


そこにあるのは


【Kawasaki Z1100R】


今は化石と化した過去の遺物だ。

【TYPEG】のビークル。

こんな時じゃないと今の時代は動かせない。


それだけヤバい相手ってことだよな。

電子機器をほぼ使ってない車、単車。


現存するマシンは博物館に飾るクラスに珍しい。

そもそも普段走れない。

走ろうものならすぐ通報、マシン没収、下手したら懲役だ。

メンテはいつもしている。


(頼むぞ、Z……)


ブォワーーン!!


ドッドッドツドッ……


ブォワーーン!!

ブォワーーーーーーン!!!!


ドッドッドツドッ……


セルを回すとガソリンの鼓動が爆発する。


まるで生きてるみたいだ。


(俺の心臓も)


(まゆみの心臓も……)


これと、これと、

あとこれか。


電子系は必要ないよな……

今回はTYPEGモービル指定だ。

電子機器は持っていけない。


化石と化した物理武器しか使えない。


ガンホルダーにありったけの銃を入れる。

そしてリュックにも。

ナイフも二、三本は必要だ。

近接戦も想定しないと。


(よし!)


カキンッ


シュボッ



セブンスターに火をつける


ブォワーーン!!

ブォワーーーーーーン!!!!


夜の港町に、Zのエンジン音が響く。

いい音だ。


フゥゥ〜


白い煙が、夜の空気にゆっくり溶けていく。

別に意味はない。

最後の一服でもない。

落ち着かせるためでもない。

いつもの儀式みたいなもんだ。

この一服で、スイッチが入るような気がする。

煙草を口から外す。


(よし、行くか!)


俺はZ1100Rに跨る。


ブォワーーン!! 

ブォワーーーーーーン!!!!


古いエンジンが唸り、ガレージの中に響いていた音が、夜の港町へと飛び出していく。

セブンスターの煙と、Zの白煙。

二つの煙を残して、俺はバーを後にした。



****



ピコーン


【安全圏に離脱完了、各自詳細を報告】


軽いアラート音のあと画面に表示された。


離脱完了。ハッキング中止、これ以降ASSのバックアップに入る


あーぁ、またコーイチ達に出動させちゃったな。

平気かなーコーイチ……


キィィーーーッン、


(まただ、


   また、


      何これ)




キィィーーーッン……




****




こちら236、車体圏内に到着


ターゲットを捕捉して待機せよ。


了解


カンッ


シュボッ


セブンスターに火をつけて暴れてるターゲットを見る。


なんだあいつ、どうなってやがる……


そこには掃除用アンドロイドであったであろう物体が暴れている。

ただ……


(融合している?)


ありゃACSには無理だな。


俺はターゲットをライフルで捕捉しながら命令を待つ。


銃は効くのかアイツに……


ガッ・ガッ……こちら211


『あぁ、まゆみか?』


「コーイチ、気をつけて、今までの相手とは何か違う」


『見りゃ分かる』


「ハッキングコードが全て通じない」


『うん? 何もか?』


「そう、ネットワークに接続すらしてないみたい」


『じゃどうやって動いてる?』


「分からない、だからCodeE……」


『CodeEって言ったってネットワークに繋がってないなんてありかよ』


「だからバックアップもほとんど当てにしないで、気をつけて」


『初めから当てになんかしてねーよ、安心して高みの見物でもしててくれ』


「わ、わかった……」


『まゆみ?』


『おい、まゆみ?』


【配置完了、戦闘を許可する。一斉に攻撃開始】


5


4


3


2


1


俺はタバコを揉み消し照準をアイツに合わせる


ドンッッッッッ!


ドンッッッッッ!!


ドンッッッッッ!!!


各方向から的確に鉄の塊が発射される。


バフっ


ドンッ


バフっ!


アイツには当たっている、、


頭、


顔、


胸、


首、、


アンドロイドの弱点であろう部位に的確に当たった。


当たってるはずなんだ……


でも、、


止まらない。


ガッ、、


止まらない。


当たってるはずだ。


もう一発だ。


ドンッッッッッ!


ドンッッッッッ!!


ドンッッッッッ!!!


再度鉄の塊がアイツの体にめり込むはずだった。


弾を変えろ……


アイツは普通の装甲じゃない。

弄ってやがる……


(ちっ、めんどくせー)


銃弾を徹甲弾TYPEGに変える。


戦車の分厚い装甲も貫通する代物だ。

これで貫通出来ない装甲を俺は知らない。


『これ打つと肩痛くなるんだよなー』


お前はいいだろ、四十肩にはもっと辛い……


お前らうるせーよ、状況分かってんのか!


『はい、』


はい。


【全ての銃弾をTYPEGに変更しろ。ハンドガンも全てだ】


『おい、ハンドガンでこの銃弾撃つのかよ、腕折れるぞ』


死ぬよりマシだろ!


『まぁな……』


装填完了。


完了。


完了。


【今後、こちらからの指示は無視して構わない。全ての権限を現場判断に委ねる。尚、半径1キロ圏内の住民避難は完了している】


(そこまでの相手ってことか)


俺は再度セブンスターに火をつけた。


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