都市伝説。
(うわっ)
ワタシ落ちてる。
どこだここ?
ただ、落ちてるのが分かる。
ドカンッ
「イッターーー」
落ちた衝撃で目を覚ますと、そこはいつものベッドから少し離れた床にいた。
はぁ、またあの夢だ。
(今何時だろ?)
スマホの時計を見る。
イヤだー、割れてる。
壊れてないかな?
そこには画面が割れて液晶がフリーズしたスマホがあった。
ダメだ、何やっても動かない、壊れちゃったな……
今日デートなのに連絡も何も付かないや。
お店開いたらすぐ行けばデートの時間に間に合うかな。
どうせアイツのことだから遅れてくるだろうし。
画面は
5:16
を映していた。
駅までは歩いて10分ちょっとだ。
ワタシは着替えとメイクを済ませて家を出た。
急な階段を下って商店街を抜ける。
まだ朝早いからお店はやってない。
歩きやすいなー。
朝の通勤。
商店街の人混み。
それ以外の時間はこんなに人少ないんだな。
そんなことを思い歩いてると目的のお店に着いた。
急がなきゃ。
いくらアイツ遅れるって言っても連絡も付かないと心配かけちゃうから。
すぐにスマホ売り場に行き店員さんを呼ぶ。
お待たせしました。何かお探しでしょうか?
「スマホください」
容量はどうします?
5T、10、15……
昔みたくスマホの機種選ばなくていいのは楽なんだけど、その分性能が上がり過ぎちゃって使いこなせないし、高いのよねー。
「一番小さいやつお願いします」
分かりました。こちらはどうぞー。
ここからは長い手続きだ。
この手続きだけは昔と変わらない。データ移行は一瞬で終わるようになったんだけどなー。
面倒な手続きを終えてスマホの時計を見ると
13:18
(ヤバっ!)
でも、まだ来てないか。
一応電話して今どこか聞こうかな、まだ家ならワタシが遅れたことも分からないし。
番号変わってるから出るかなー。
プルルルルル
ガチャ
「ごめーん、今どこ」
『どこじゃねーよ、今マンションの前だよ、部屋にいねーし、電話かけても繋がらないし』
「本当っ、ごめん」
「朝スマホ落としちゃってさ、壊れちゃったの、今ようやくスマホ新しいのにしたの! 今駅! これからそっちにすぐいくから」
『いいよ、迎えにいく、そっちの方が早いだろ。
それにしてもスマホ落として壊すなんてどんな落とし方したんだよ、全く』
「なんか夢見ててさー
ビルから落ちる夢! まぁ、ひとまず待ってるねー、駅着いたら電話してね!!」
うーん、なんで今日に限って少しの遅刻なんだろう。
まぁ、たまたまかな!
少し時間あるなー。
そうだ、映画のチケット買っちゃおう。
確かコーイチが見たがってた映画あったし!
****
キューーーン
キューン
キューーーン
ギューーーン
F1の甲高いエンジン音が響く。
その映画は昔のF1というカーレースの最後のレースのドキュメントだ。
これを最後にF1というカーレースはこの世から姿を消した。
51周目の大惨事。
12台が絡む大事故。
6台が炎上、6名のドライバー死亡。
このクラッシュで内燃機関のカーレースは危ないと世論が動き姿を消した。
その亡くなった6名のドキュメント。
****
『いやー、ありゃ怖いわ、あんな車が昔は堂々と走ってたんだよなー』
「あの車が普通に走ってたわけじゃないでしょー」
『そういうんじゃねーんだよ、同じ鼓動、ガソリンが爆発して車が走るんだぞ! そんな車が世界中を走ってたんだ』
『爆発してんだぞ、ガソリンが! スゲーよな、汚ねーガス撒き散らかしてよ、なんか雑でいいじゃねーか! ワクワクするじゃねーか!』
「電気の方がエコだし静かだしワタシは今の車の方が好きだな」
『だから、今の若い奴はよ、ロマンがねーんだよ』
そんな他愛ない会話をしながら二人でコーヒーを楽しんだ。
ピピッーピピッーピピッー
腕時計のアラームが鳴る。
「なにそのアラーム、もっと普通のにすれば?」
『バーカ、これがいいんだよ、今車が戻ってきたから行こうぜ』
「はーい」
歩きながらスマホでカーシェアの売り上げを確認する。
チッ、これだけか、カーシェアサブスクの基本料にもなりゃしねー。
【シェアタクシーモード
稼働時間14:30〜18:30
売り上げ2453円】
まぁ駐車場に置いておくよりマシか。
二人で車に乗り込み、俺が開く予定の店へと向かった。
店へは30分くらいだ。
俺は自動運転モードを解除して手動モードへと切り替えた。
【手動モード残り時間 30:00】
30分しか自分で運転出来ないなんて、なんでこんな法律作りやがったんだ、つまらねー。
「ちょっとコーイチ、今手動にしたでしょ」
『バレた?』
「分かるわよー、映画に影響されないでよね、安全運転お願いします」
『バーカ、自動より俺の方が安全だっつーの』
「今ある事故殆どが手動モードでの事故でしょ、絶対危ないよー」
『あんなの自動運転は安全ですアピールでそう仕組まれてるんだろきっと!』
「うーん、そんなウワサあったけど都市伝説みたいなもんでしょ、あっ、そう言えば昭和の時代もそんな都市伝説みたいな噂結構あったんだってー! 聞きたい?」
『ちょっと聞きたいかも』
「じゃあ、問題ね、ヒントはミミズ!」
『はぁ? ミミズ?』
「そう」
『ミミズがデカくなったのがナメクジとか?』
「ブブー!! あと2回ね!」
『えぇー分からねーよ、ミミズなんて、答え何なんだよ!』
「あと2回チャンスはあります」
(これは答えるまで繰り返される奴だ……)
適当に答えよう。
『ミミズは宇宙から来た!!!』
「ブッブーーー!!あと1回ね❤️」
『うーん、あと一回かーー』
『難しいなーー』
(ヤバい、なにも思い浮かばない)
『ミミズは!』
「ミミズは??」
(そんな顔やめろ!)
『ミミズは!』
「ミミズは?」
『本当は人間の先祖!!』
「ハハハハハッッーーー」
「そんな訳ないじゃん、コーイチのバカっ❤️」
『分かるわけねーだろ、しかも都市伝説なんてそんなもんだろ、教えろ!』
「しょうがないなー、なんかね、マックのハンバーガーあるでしょ、ハンバーグのお肉がミミズのお肉だ! っていう都市伝説みたいなのがあったんだって、ビックリでしょ」
『なんだそれ!! レベル低いなー。
そんなわけねーじゃんな笑。
そんなの都市伝説にもならねーだろ』
「でも、結構知られてた都市伝説なんだって、あとケンタッキーのチキンは足が4本あるとか!」
『おい! 鳥じゃねーしもう! 4本足だし! そんなバカな話ばっか流れてたんだろうな、昭和!
スマホもないしなー』
「今ならネットですぐ分かるしねー」
『でも、なんかそんなのも面白そうだけどな』
「そんなの嫌だ」
そんないつものバカ話をしていると店へと着いた。




