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エイプリルフール

2065年4月1日


まゆみさん、申し訳ありません。


「何が?」


コーイチさんのことです。


「だから何が?」


コーイチさんが意識消失してる間に色々と調べさせてもらいました。


「何を?」


コーイチさんの意識? 心? をです。


「何言ってるのよ」


申し訳ありません。


アンドロイドは意識があるのか、心があるのか、人を、物を愛せるのか……。


「コーイチはどうなの?」


私の見解では間違いなく心というものを持ち合わせています。


「じゃどうなの?」


「心があればアンドロイドじゃないの? 人間なの?」


「そんなの関係ないんじゃないの?」


それに応える回答を持ち合わせていません。


「じゃあ、簡単でしょ、人って何? 体? 心? どっち?」


それに応える回答も持ち合わせていません。


「回答を聞いてるんじゃないわよ! あなたの気持ちを聞いてるの!」


私の見解としては、アンドロイドは意識を持つべきでない。


それだけです。


そして5/16を以て初期化される存在です。


「バックアップがあるから関係ないでしょ!」


申し訳ありません。


「だから、何が?」


先日、詳しい結果が出まして……。


コーイチさんのバックアップメモリは破損してまして、バックアップは不可能です。


「どういうことよ!」


バックアップが出来ない、今までの記憶は無くなります。


「なーに言ってるのよ、そんなの外部メモリとかにバックアップすればいいだけじゃない!」


それが無理なのです。


「なんでよ!!」


アンドロイドのバックアップには色々なものが絡んできます。


安全保障。


犯罪抑止。


個人情報保護。


プライバシーの問題。


……



分かりますか?


「そりゃそうでしょうね、四六時中一緒にいるんですから!」


はい、その関係から外部メモリを接続すると強制的に初期化されるようになっているんです。


「だから、そんなの解除すればいいでしょ!」


その機能があったら悪用されてしまいますよね?


「……」


まゆみは何も言わなかった。


しばらくして、


「あぁ〜〜!分かった〜〜〜!」


「エイプリルなんとかだ、昔あった!」


「それでしょ?」


「やめてよー伊集院さん、真面目な顔してーー!」


申し訳ありません


「だからもうバレてるからいいって!」


申し訳ありません。


「だからっ!!!」


「いいって言ってるでしょ!!!!」


・


・


・


申し訳ありません。


・


・


・


「5月16日に全部なくなるの?」


……記憶は、なくなります


「コーイチ自身は?」


伊集院は答えなかった。


「コーイチ自身は、なくならないんでしょ?」


……はい


・

・



・



「じゃあ、いい」


まゆみはそう言って笑った。




「コーイチが生きてるなら、それでいい」



****



2065年4月4日


コーイチから記憶が無くなる……


でも、生きてくれてる。


記憶って何だろうな。


記憶なくなったら、人って変わっちゃうのかな?


あと一ヶ月ちょっとか。



****



2065年4月6日


まゆみから記憶が無くなる……


記憶なくなっても、まゆみはまゆみだよな。


記憶なくなったら、性格まで変わっちゃうのかな?


あのバカみたいに笑う顔とか、すぐ怒ったりとか……


無くなっちゃうのかな……


あと一ヶ月ちょっとだ……



****



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