ダッジ湘南大暴走!
『よし、行くかー、海』
「しゅっーぱーーーつ!!!」
ヴォォーーッン!!
ヴォォォォォン……!!
ズドドドドドドドドドッ!!
ヴォォォォォーーーン!!
ダッヂが走り出す。
「あ、案外助手席は座り心地がいいんだね、この車。室内は音もそんなに煩くないし!」
『一応ギヤ上げ目にして、目立たないよう走るな! 海の前に警察に目つけられたら嫌だからな笑』
「そうだねー。海には無事に着きたいよね!」
今日ここに来る前に、少しだけ警察のシステムに侵入しちゃった!
コーイチとワタシのデート、邪魔されたくないからね!
こんな車乗ってたら、音とかそういうのの前に無理なのに……
何でそんなことも分からないのかなー…
バカなんだから……
カキンッ
シュボッ
セブンスターの煙が、車内にゆっくり広がる。
アイスコーヒーを飲みながら、セブンスターを吸うコーイチの横顔が好きなんだよな。
ヴォォーーーッン!
『おいおい、案外平気だな! 警察は何やってんだよな、全く!』
コーイチは運転席の窓を開ける。
『お巡りさーーーーん!!』
『ここにどっからどう見ても違法な車が走ってますよーー!』
ほんっとにバカ。
でも、バカって幸せ。
ワタシがハッキングしてなかったら、多分今頃とっくに捕まってる。
「今日、お巡りさん休みなんじゃない?」
『バーカ。そんなことある訳ないだろー』
『でも、それならラッキーだな!!』
「うん❤️」
くだらない会話。
他愛ない会話。
ダッジの音。
セブンスターの匂い。
窓の外を流れていく景色。
ワタシは助手席で、コーイチの横顔を見ていた。
「……」
明日も。
明後日も。
こんな日が続けばいいのにな。
****
「ちょっと、平気ーー?」
『平気だろ! なんせパワーが違う!』
コーイチは、そのまま車で海岸に入っていく。
「どうなっても知らないよーー」
レジャーシートを広げて、ちょっとしたピクニックだ。
二人で座って、ただ海を見る。
それだけだ。
『腹減ったなー。食べようぜ!』
「食べようぜ!」
ワタシたちはキューバサンドにかぶりつく。
「ほんと、ここのサンドイッチ美味しいよね❤️」
『だな! パンのサンドイッチ、美味いよな! 俺も好きだ!』
「いい加減、名前覚えなよーー」
『読めねーんだもん! パンはパンだ』
すみませーーん
『なんすかー?』
ちょっと車の写真撮らせてもらって良いですか?
『車の?』
はい! これ、カッコいいっすね! 俺もこんな車乗ってみたいです!
せめて写真だけでもm(_ _)m
『いいですよー』
若者はキラキラした目で、何枚も写真を撮っている。
『そんな好き?』
いや、マジでカッコいいっす!
男のロマンが詰まってます!
『分かるか? そうかーー!!』
『ちょっとエンジン音、聞いてみる?』
いいんすか? 聞きたいです!
『いいに決まってるだろ〜。男のロマンなんて言われたらよーーー』
キュルキュル〜〜〜
ヴォォーーッン!
ヴォォーーッン!!
ヴォォォォォン……!!!!
スゲーーーーー!!! なんだこの重低音!
えっ、これってまさか本物?
『シーーーー! 絶対に言うなよ』
マジっすか?
『本物だ。本物のガソリンエンジンだ……』
『内緒にしとけよ…』
コーイチは若者の耳元で話している。
こんな馬鹿でかいエンジンを響かせてるんだから、ヒソヒソ話なんて何の意味もないのにな。
やっべーー!!
それに興奮した若者は、また写真を撮り始めた。
なんかコーイチもポーズ決めちゃってるし。
嫌だなー。
絶対にくるなーー。
『まゆみーーー』
ほら、きた。
『まゆみも写真撮ろうぜーーー』
しょうがないから付き合うか❤️
「こっちでも撮ってもらおうよー」
『だな! おーーい、こっちのスマホでも撮ってくれ!』
二人とダッジの写真を撮ってもらった。
いい思い出が出来た……
ありがとうございます。今日のことは一生忘れません
『多分、こんな車で走るバカ、一生出会えないだろうからな! 貴重な経験だな!!』
若者は満足そうに帰って行った。
****
ヴォォーーッン!
ヴォォーーッン!!
ウィッーーーーーン、
ウィッーーーーーン、
ウィッーーーーーン、
『ダメだ……完全に埋まった…』
「なんせパワーが違う」
「とかなんか言ってませんでしたっけ??」
『言いました……』
「ですよねー、で?」
『埋まりました……』
「どうするんですか?」
『どうしましょう…』
・
・
・
平気っすかーーー?
(あの若者だ!!)
神は俺を見捨てなかった!!!
『埋まっちゃった。』
若者は友達を大勢連れてきていた
うぉーーーなんだこの車!
カッケーーわー!
『押して下さいm(_ _)m』
お安いご用っす
結構みんなハマっちゃうんですよね。
止まっちゃうとダメなんすよー
特にパワーがあると!
そーっとまゆみの顔を見る
………真顔…
冷めた目でこっちを見ている……
ですよねー。
おーい、みんなで押してあげようぜ!
ただ、スゲー爆音だからな!
でも、それがカッケーんだ!
せーーーーのーーー!!!
ヴォォーーッン!
ヴォォーーッン!!
ヴォォーーッン!
ヴォォーーッン!!
ズドドドドドドドドドッ!!
(抜けれた!!!)
再度止まらないように安全なところまで一気にいく!
後ろを見ると若者たちが止まらず行け行けと手を振っている。
ありがとう若者よ!
また、ダッジで来るぜ!
その時は乗せてやる!!!




