モトコンポ!
ピーピーピーピー
うーーん、今何時だろ?
(朝から、もーーーっう!)
【βアンドロイド案件
ACS、ASS共に現場に急行せよ
ACS、ASS共にタイプGビークル使用】
うん? 共に?
(なんでだろ?)
メイクもしてないよー
コーイチも来るのにーーー
でも、行かなきゃ……
タイプGって、
(あれでいいのかな?)
ワタシあれしか持ってないし。
****
ピーピーピーピー
(っだよ、朝から!)
【βアンドロイド案件
ACS、ASS共に現場に急行せよ
ACS、ASS共にタイプGビークル使用】
なんだぁ?
合同? どういうことだ?
しかもタイプGビークル使用?
(どういうことだ?)
俺はすぐさまガレージに回る。
ダッジに火をつける。
ブォンッ!!
ズドドドドドドドッ……
V8の咆哮が朝の静寂を切り裂く。
カキンッ
シュボッ
俺はセブンスターにも火をつけた。
フゥゥ〜
まゆみも来る……か
(心配すんな、何もねーよ、俺が守ってやるからな)
おれはありったけの銃にTYPE-Gの弾丸を込める。
ボディハーネスをして……
腕が引きちぎれてもう打ち続けてやる。
ヴォンッ、ヴォンッ!
ズドドドドドドドドドッ!!
ヴォォォォォンッ!!!
ドロロロロロロローーーン!!!
****
指定された場所へと到着する。
そこにはACS、ASSの隊員達が既に揃っている。
まゆみがいない。
(まだか?)
プロロロロ〜〜〜
(うん?)
まゆみ?
「ごっめーーーん、」
お前、
そのTYPEGビークル、
【モトコンポ】じゃねーかよ!
『まゆみ! それはないだろ!』
「だってこれしか無いんだもん… でも立派なTYPEGビークルでしょ!」
(そりゃそうだが……)
【TYPEGビークル】
・電子制御不可
・外部通信不可
これが条件だ。
要するにハッキングされない乗り物。
だから確かにまゆみの乗ってきた物は間違ってはいない……
可愛い〜❤️
「でしょー。
ワタシのお気に入りなの❤️」
そりゃ、モトコンポは可愛いわ!
可愛いけどよ……
ピーピーピー
【ACS、ASS共に配置につけ。
ACSターゲットから300mを維持。ASSはターゲットから100mの位置で待機】
全員に緊張感が走る。
それぞれが指定された位置へ散っていく。
遠くにターゲットが見える。
カキンッ
シュボッ
(やるか……)
俺はスコープを覗き込む。
配置完了
完了
完了!
全員が持ち場につく。
【ACSハッキング開始、ASSターゲットを捕捉して待機】
ACSが一斉にハッキングを開始する。
キーーーーーッン!
(イッタ、まただ、こんな時に…….)
キーーーーーッン。
(ふざけんな、やめろ)
****
【ハッキング完了、停止確認しました】
えっ?
完了?
俺はスコープを覗く。
いや、動いてるぞ。
『ちょっとまて』
無線で飛ばす。
『ACS、ハッキング終わってない。続けろ』
何言ってるの、終わったわよ
『ACS全員、PC画面じゃなくスコープでターゲットを直接目視しろ』
【何あれ、本当だ……】
ターゲットの周囲にある電子機器が、まるで吸い寄せられるようにその身体へ集まっている。
動きは遅い。
だが、確実に変化している。
『ここから話すことは憶測だ。いいか、多分だ。合体、融合? している。そこら中の電子機器とな……』
誰も答えない。
無線の向こうから、ターゲットを見ている息遣いだけが聞こえる。
『ただ、スピードは遅い。再構築してるとでも言うのか。多分ハッキングしても、システムも融合の度にアップデートされてる。だからPC上ではハッキング完了したかのように映るんだ』
『そのスピードを少しでも遅くしてくれACS……』
おい、永井、アラート課ならそっちにいて聞いてるんだろ。TYPE-X武器及び銃弾の使用の許可申請を要請する
聞いてるぞ。画像は何故か見えないけどな。たぶんβアンドロイドにこっちもハッキングされてる
俺はスコープを覗く。
さっきまでの姿とは、もう違っていた。
周囲にあった電子機器が次々と身体に取り込まれている。
形が変わっていく。
まるで、いくつもの部品を組み合わせているみたいだ。
『だろうな。まぁ、化け物が少しずつ出来上がってる感じだよ、LEGOみたいにな笑』
おぉー、コーイチ! うまいこと言うなー! ありゃLEGOだ、LEGO合体だ!
『笑ってる場合じゃねーだろ』
でも、確かにそう見える。
『許可取ると同時にASS隊員の一時離脱も認めてくれ。許可取れたら俺がすぐに武器、銃弾を取りに行く』
本部から届けるぞ
『多分、それじゃ遅い。ダッジで来てる、俺が動いた方が早い』
その瞬間、ターゲットの身体がまた変形する。
【 ガチャッ。 】
何かが組み合わさる音がした。
俺はスコープから目を離さない。
本部から使用許可が下りた。
同時にASS隊員の離脱を許可。
また、これより住民避難の範囲を1kmから3kmに広げる。
作戦の権限は本部を離れACS、ASSの個人の判断に委ねられる
『アキラ、ユウイチさん、俺は離脱する。離脱する前にTYPE-G試しとくか?』
いや、すぐに取りに向かってくれ。TYPE-Gで……
「コーイチ、コーイチ」
『なんだ?』
「ワタシよく分からないけど、合体? LEGOなんでしょ?」
『例えばの話だ!』
「TYPE-Gでターゲットに効かなくても、周りのLEGO破壊すれば合体出来なくなるんじゃ無い?」
一瞬、無線が静かになった。
『まゆみ〜❤️ 天才かお前は!』
『ユウイチさん、アキラ、聞いてたか?』
聞いてた。憶測だけど、やってみる価値はあるよな
だよな
『俺まずぶっ放すわ! ぶっ放すだけぶっ放したらダッジちゃんで取りに行く』
『最終確認だ。ACS、ASS共に対角線上にはいないか? 再度確認よろしく!』
いる訳ねーだろ
いないわよ
平気だ
平気
『よし!』
カキンッ
シュボッ
煙を吸い込み、ゆっくり吐き出す。
フゥゥ〜〜〜
目の前には、もはや最初のβアンドロイドの姿はなかった。
周囲にあった電子機器が次々と身体へ取り込まれ、金属や配線、機械の部品が複雑に絡み合っている。
まるで巨大なLEGOだ。
だが、そんな可愛いもんじゃねぇ。
(行くぜ)
ズドドドドドドドドドッ!!
ドドドドドドドドドドドドッ!!
銃声が、朝の空気を叩き潰す。
火花が飛び散る。
金属片が弾け、地面を転がる。
おい、コーイチやめろ
俺は引き金を離さない。
コーイチ! 20秒経ってる、体が持たないぞ
シーーン
一瞬だけ銃声が途切れる。
俺の肩が大きく上下する。
腕が重い。
指先が痺れている。
コーイチ、10秒は守れ! 体ぶっ壊れるぞ
『いや、全弾ぶっ放してから取りに行くわ!』
俺は銃を握り直す。
また引き金を引く。
ズドドドドドドドドドッ!!
・
・
ズドドドドドドドドドッ!!
一発。
また一発。
周囲の機械が吹き飛ぶ。
だが、その破片すらターゲットへ吸い寄せられていく。
(くそっ……)
破片ごと消し去る!
俺は息を整える暇もなく、次の銃を取る。
ズドドドドドドドドドッ!!
ドドドドドドドドドドドドッ!!
はぁ、はぁ、はぁ……
肺が焼ける。
肩が痛い。
腕が上がらない。
それでも撃つ。
ズドドドドドドドドドッ!!
ドドドドドドドドドドドドッ!!
( ちっくしょー……肩が、体が…… )
それでも引き金を離さない。
ズドドドドドドドドドッ!!
・
・
・
ドガっ!!
俺は最後の銃を乱暴に地面へ投げ捨てる。
荒い呼吸を整える。
カキンッ
シュボッ
フゥゥ〜
『10分、いや、8分で帰ってくる』
ヴォンッ、ヴォンッ!
ズドドドドドドドドドッ!!
アクセルを踏み込む。
ヴォォォォォンッ!!!
ドロロロロロロローーーン!!!
V8の咆哮が響き渡る。
ダッジは一気に加速し、コーイチを乗せてその場から飛び出していった。




