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14.魔導書7

本日二度目の投稿です。

 アタシがリディアと出会ったのは十一歳のころだから、もう四年も経ったのね。早いものね。


 リディアもずいぶん変わったわよ。びっくりするくらいきれいになったわ。そして、心根もとってもやさしいわ。

 でもねえ、こう、避けられ続けるって自己評価を低くしちゃうのよね。

 ホラ、変だと思っていても、その環境の中にずっといたらそれが当たり前になっちゃうようにさ。


 しかもさ、あれもこれもって望むのは、我がままではないかって悩んでいるみたい。

 アタシが最初に我がまま言ったらパパに嫌われちゃうわよって言ったのが後々までキいているのかしら。

 ヤダ、責任感じちゃうわ。


 そうなのよ。アドバイスも加減を見ながらやらないとね。

 だから、事あるごとにそんなことないわよ、って言っているんだけれど、周囲が聖女だって勝手に盛り上がってどんどん加熱していっちゃうと、腰が引けちゃうわよね。


 ほら、貴族のお嬢サマってお家存続のために結婚するのが最大の使命でしょう?

 真面目なセシリアの娘ちゃんのリディアも、それでいろいろ悩んでいるのよね。


 それにしても、王女サマ、取り巻きといっしょにリディアを囲むなんて、エゲツないことするわねえ。

 んもう! アタシがその場にいたら、けちょんけちょんに口撃してやるのに!

 ライオネル(※王太子)があれこれ手を回したみたいだけれど、王サマも相当、ジェイラスやらギルバートやらを怖がっているわね。まあね、聖獣はおろか神殿ですらも敵に回したくはないわよね。


 ゲームでもそうだったから文房具隠しやら壊しやらの首謀者は王女サマよ! ほかの貴族の子女たちにやらせているの。

 アタシがギルバートに知らせておいたから、対応はしているわよ。


 高位貴族の子弟には学院生活の中でも従者が控えているの。学生らしからぬカンジよね。

 でもね。考えてもみて?

 ジェイラスとギルバートがリディアをひとりで送り出すはずがないのよ。もし仮に、学院で従者が認められてなかったとしても、アイツらなら、認めさせるわよ。そりゃあ、もう、ゴリ押しするわよ。ゴッリゴリよ。んでもって、学院側の人間の精神もゴッリゴリに削られるわよ。アタシ、確信しているわ。


 でね、その従者が文房具が壊される端から渡していくのよ。

 ね? ワンコそば、文房具バージョンのできあがりよ。


 これにはね、ブレンダちゃん(※コフィ伯爵夫人)も関わっているの。

 ほら、コフィ伯爵家っておカネモチじゃない? 

 リディアが学院で文房具を立て続けに壊されているって聞いて、どんどんプレゼントしたらしいわ。


 もちろん、リディアにブレンダちゃんからのプレゼントだって言って、壊されたら悲しむじゃない? 

 だからね、ジェイラスとこっそり取り決めしたところ、リディアにはナイショで従者がどんどん渡していくスタンスになったらしいわ。


 当然、学院や王室にもフェアクロフ公爵家からきつく問いただしているわよ? 

 でもね、首謀者と実行犯はベツなのよ。のらくらトボけているみたいなの。でもって、こういうのって、コトが収束するまで時間がかかっちゃうじゃない? 

 だから、さしあたり、壊されたらどんどん新しいのを使っていこうってことになったってワケ。


 エゲツないのはね、相当お高い文房具をじゃんじゃん使っているらしいのよ。んでもって、壊されたら実行犯を突き止めて、そのお家に賠償請求しているらしいのよ。


 あのね、ブレンダちゃんのお家ってガチでおカネモチなのよ。財力の圧勝よ。一般の貴族の子女たちが使う文房具の一桁違うのかしら、と思っていたらね、ギルバートが「ゼロがふたつ違います」って言っていたのよ! わーお! 壊したらその分、請求されるのよ。初めのころはジェイラスが用意したのを使っていたらしいんだけれど、それも似たり寄ったりのお値段じゃないかしら。いやね、いるところにはいるのね、おカネモチ。


 モチロン、これらは腹黒次期宰相ギルバートの発案よ。ジェイラスとブレンダちゃんとそんでもってアレクシアちゃん(※エヴァレット公爵夫人)と密談したらしいわ。ミツダンなんて、アヤシイ響きよね。


 ちなみに、その密談にセシリアを加えるかどうかというのについて、喧々諤(ケンケンガクガク)々やりあったそうなの。ケンケンガクガクってのは犬が震えているんじゃないのよ。みんながてんでばらばらの意見を言っているってことなの。って言ってもね、ジェイラスとギルバートが「心配かけたくないから黙っておこう」派で、アレクシアちゃんとブレンダちゃんは「こういうのはちゃんと知らせておくべきだ」派で、ふたつに分かれただけなんだけれどね。


 予想はつくと思うけれど、アレクシアちゃんがぶっちぎりで勝ったわ。あらやだ、コレって勝ち負けなの?


 セシリアは驚いてはいたけれど、貴族社会ではこういうのってよくあることみたいだから、それなりに心配しつつもそれなりに冷静みたいだわ。まあ、後でアタシにいろいろこぼしたから、きっちり励まして軽快なトークで笑わせておいたわよ。


 それとね、ワンコ文房具作戦は実はまだ先があるのよ。

 さらにエゲツないの。

 アレクシアちゃんが探して来たお抱え細工師が手掛けた逸品の文房具なのよ。つまりは他では手に入らないの。ゼロがふたつ違っちゃうはずよね。ブレンダちゃんは新作が出る端から買ってリディアの従者に渡していたけれどね。

 でもって、賠償請求のときに、現物を要求したのよ。うん、手に入らないものを返せって言ったのね。


 もうね、実行犯たちの親御さんたちは青ざめるどころじゃないわよ。氷の公爵ジェイラスと女傑と名高いアレクシアちゃん、おカネモチのブレンダちゃん、そしてなにより腹黒次期宰相ギルバートを敵に回してカンタンに済むはずはないのよ。


 もちろん、従者はナニやってんのって思うわよね。従者が逐一回収すれば壊されないじゃんって思うわよね。

 アタシ、エゲツないって言ったじゃない?

 従者はね、目撃者なの。証人なの。

 そうなのよ、つまり、犯罪を止めはしないけれど、やったら責任追及しますよっていう役回りなのよ。あとはリディアが困らないように次々に文房具を渡すの。


 腹漆黒の宰相補佐が考えそうなことよね。

 じゃんじゃん壊されるリディアの身にもなってみろっつうのよね。

 そっちの心のケアはアタシとセシリアに任されたのよ。

「姉上にもリディアにも心労をおかけすることとなりますが」

 なんつってたわ! アノ腹黒は!

 アタシのことも入れなさいよ! アタシだって心配しているわよ!


 そんなことを知らないリディアは差し出されるままに、書き味を試していたわ。気に入ったやつはまた作ってもらうみたい。

 やあね、溺愛極まれりよね。ルーファスもこんくらいのレベルになるのかしら。なっちゃいそうよね。


 なんてったって、妖精のような子供のころから可愛がっているからね。そんなコから、「絵本に出てきた妖精のようですわ」とか「(年齢に関係なく)自慢の叔母上ですわ」なあんて言われちゃっていたんだもの!


 アタシの策も後々にまでちゃあんとキいているのよ! 策士はわずかな動作で最大限の効果を得るものなのよ。ほら、アタシ、本だからさ、自分では動けないから。コスパって大事なのよ。


 もちろん、リディアが素直で可愛かったからこそよ。んでもって、アタシのアドバイスを受け入れて自分で動いたからよ。





そうなのよ、みんな頑張っているのよ。

リディアのバックはオソロシイのよ。

腹漆黒なんて言葉はあるかどうかわからないわ。でも、アイツにぴったりじゃない?


腹ドス黒にもめげずに頑張るアタシを、ブクマや☆☆☆☆☆で応援してちょうだいね。



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