336、今日の海は魔物と共に
「ひゃっほーーーー!!!」
ドッボーンッ
コポコポコポッッ……ぷはぁ!
「リオー、どうですか?」
「良い!良いよ!最っ高ー!!」
海に着くと、「クレイ、せっかく死霊召喚出来るようになったんだからなにか出してよ!」と、召喚してもらったのはシーサーペントだ。
長いから滑り台に出来そう!と、頭のてっぺんまで登り、今滑り降りて来たところだ。
シーサーペントの背骨は大きく、大きなヘビの骨のような形だった。腹側は肋骨があり、背中側は骨の真ん中が出っ張っている。だがサイズは滑り降りることが出来るほどのサイズだ。少し体を傾けて貰うと、背中の出っ張った骨と肋骨の間を滑ることが出来そうだったので試して見たのだ。あまりボコボコもしていないので、角度をつけて起き上がって貰うとスルーっと滑ることが出来た。
それを見てみんな自分達もやりたいと目を輝かせている。
「リオ!1人だけ遊んでないでエアロ作ってよー!」
「え?エアロ?何それ??」
「……え??!」
今、ロキが言っていたエアロとは、水中で呼吸が出来るようにするネックレスの事のようだ。名前が長いからと、サンちゃんとランちゃんに名前を付けて貰って、今はエアロやエアロネックレスという名で販売されているそうだ。
前に海に来た人はみんな持っているが、海にまだ来た事の無い人は持っていない。なのでロキ達はエアロを持っている子供達に話を聞いて作ってくれと言ってきたようだ。
「作りたいのは山々なんだけど、魔石がないんだよね……」
「「「「「ええぇぇえ???!!!!」」」」」
「そんなぁ……」
「泳げないのに……」
「俺も泳いだことない……」
「遊べないよぉ……」
と、エアロを持っていない子供達や大人達から大ブーイングだ。
そんな事言われても、海に来るのが急に決まったから仕方ない……
どうしようか……と悩んでいると、サンちゃんが、アレ作れないのか?と尋ねてきた。
「アレってなに??」
「人口魔石?だっけ?バリカンに入ってたやつ」
「……あー!!そんなのあったね!」
「作れるか試してみるとか言ってたけど、作ってみてないのか?」
「うん、すっかり忘れてたよ」
「作れたら、それでエアロも作れそうだけどな?」
「うん!ちょっと試してみるから待って」
「うん、頑張れ!」
「え?手伝ってくれないの?」
「……え、俺もするのか?」
「うん!!」当然だろとでも言いたげに、サンに返事を返すと、クレイや子供達には今あるのを順番に使って遊ぶように伝え屋台を置いている方へ移動する事になった。
大人達で持っている人が子供達が優先的に遊べるように貸してあげてくれているようだ。
怪我などしないように見ていてもくれるようなのでこちらは任せて大丈夫そうだ。
ゼンにも人口魔石を作るのを手伝って貰えないか聞こうと思ったのだが……あー……あれは手伝ってなんて言えないな……
ゼンはそれはもう楽しそうに、いそいそと魔物を召喚している。
何体いるのか……昨日のスカイシャークをはじめ、よく手伝いをしてもらっていたと言っていた猿の魔物が沢山、オーガやゴブリンも沢山、それからウルフ系の魔物も沢山と、次々と海に放って遊ぶ気満々だ。
マホの従魔達とは色が違うウルフ系の魔物のようだ。なかなか大きい。
それから……まぁ、とにかく、ゼンが海で遊んでみたいって言ったから来たんだし……頼めそうな雰囲気では無い。
仕方ないよね……
ゼンに手伝って貰うのは諦め、ランちゃん、ジオ、ノアちゃんは確保した。
「はぁぁぁぁ?!なんでぇよー」
「私そんなのできないよ?」
「俺も無理だぞ?」
「私もやった事ないから大丈夫!サンちゃん作り方教えて」
「あ、うん……」
「いやいや、何が大丈夫なんだよ!」
「そうだよ、リオー!」
「ちょぉ、サンちゃん、俺らじゃ無理じゃんね?」
「や、人口魔石の方だけならいけるかも……?」
「は?!マジ……?嘘じゃろ?」
「……とりあえず、やってみようか!」
「えぇー」
ということで、3人ともかなり嫌そうにしていたが、サンちゃんの説明を聞きながら作ってみることになった。
人工魔石を作るには、魔力を結晶化させる必要がある。
これがとにかく難しかった。
普通に魔力を使う時は液体や個体というよりは、空気や霧のような感覚だ。
それを密度を上げ個体化させるのだ。
1時間後、個体化はできるようになったが、形が上手く整えられない。
バリカンに入っていた人工魔石は、誰が作ったのか分からないが、ブローチやネックレスに付いている宝石のようにカットされているような形をしていた。
四角形は難しいのでせめて丸か楕円形で、綺麗な形に出来ないかと作り続けるが、ふにゃふにゃと表面が波打ち、凹み、出っ張りと次から次へと失敗作を量産していく。
「だぁー!!!もう無理!」
「私もー……」
ジオとノアちゃんが音を上げた。
1時間頑張ったが2人とも結晶化させることも出来ないのだそうだ。
「んー……なんでだろうな?」
俺でも一応結晶化はできるようになったぞ?と、ランちゃん。
「もしかしたら、俺達は錬金術使えるようになってるのが関係してるのかな?」
人工魔石を光にかざしながらサンちゃんがポツリと呟いた。
「うーわ、それなら俺ら無理じゃん!」
「うん……って、ランちゃんとサンちゃん、いつの間に錬金術使えるようになったの??!」
「夜、みんなで練習してんのに混ざって練習してるんだよ」
「そうそう!リオのポーションがバカ売れだから、錬金術使えたら魔物と戦わなくても食いっぱぐれなさそうだなと思ってな!」
「え?!手伝ってくれるために練習してくれたんじゃないの?」
「いや、無理無理!無理だぜ、あんな量作んの」
「だから手伝ってくれるんじゃ……?」
「……」
「ランちゃん?」
「き、気が向いたらな!」
「ちょっとそれ、絶対気が向かないやつじゃん!」
「いや、もしかしたら、もしかするかも……?」
「ちょぉ、それより俺もう出来んけぇ、遊んできてええ?」
「あ、私も!私も!」
「はぁ、まぁ、錬金術から練習……」
「ぜってー無理!!」
「絶対イヤ!!」
「だよな……」
「んじゃ頑張れよ!」
「手伝えなくてごめんね!」
ジオと、ノアちゃんはそそくさと海の方へ走っていった。
「いや、あれ、絶対ごめんとか思ってないよな」
「まぁまぁ……」
2人が遊びに行ってブーたれるランちゃんと、それを宥めるサンちゃん。
その横で、さっさと終わらせて遊びたいと必死に作るリオ。
「よし……」
「え?リオ、終わったのか?」
「いや、まだ……」
「……じゃぁなんの「よし」だよ?」
「あとは、さんちゃんとランちゃんに任せて、ネックレスにしていこうかと思って」
「えー?!」
「いや、リオみたいなスピードでなんて作れないぞ?」
と、サンは自分の手物にある人工魔石の量と、リオの手元にある人工魔石の量を見比べて言った。
リオだけ、サンやランの倍ほどの量が完成していたのだ。錬金術が関係しているなら、錬金術スキルのレベルの差だろうか……?
形が歪でも人工魔石としてはちゃんと使えそうなので、仕上げに取り掛かろうと思ったのだが、文句を言われてしまった。
だが、ネックレスにするのはクラフトスキルだし、それにさらに魔法陣を刻まないといけない。
全部一人でやっていては遊びに行く時間が無くなってしまう。
2人のブーイングはしれっと聞き流して、ネックレスに仕上げる為にクラフトスキルを開いて思い出した。
「……ねぇ、ランちゃん!」
「んー??何ー??」
「仕上がったのコピーしたらいいんじゃない?」
「……へ?いや、無理無理!」
「魔力ポーションいっぱいあるよ!」
「おまっ!!?俺を殺す気か!」
「そんな事くらいで死ぬわけないじゃん」
「うっ、まぁ、死にはしないけどだな、魔道具はコピーするのムズいんだよ……」
「そうなの?」
「そうなの!」
「人工魔石作るより?」
「あー……一緒くらい?でも、消費魔力はコピーの方がかなり持っていかれるな」
「そっか、残念……」
「便利なスキルにはそれなりの代償があるんだな?」
「ほんとにねー」
「いや、俺のよりリオやサンちゃんの方が便利だろ?」
「いや、コピーとか最強だと思う!」
「うん……レベル上げしたらもっと凄いことになるんじゃないか?」
「うん、ほんとだ!レベル上げいく?」
「……サンちゃん行く時、一緒に行こうかな……?」
「だな、レベル一緒くらいだしな!行こう」
「え、私は?」
「リオは別の方が効率いいだろ?」
「そうだな、ノアに早くレベル上げてって頼まれてたしな」
「う……ん……」
なんか仲間はずれにされた感が否めないが仕方ない。
そんな話をしながら黙々と作ること1時間程。
やっと必要個数よりかなり多めのエアロネックレスが完成した。
多めに作ったのは人工魔石の形のせいだ。
多分大丈夫だと思う。形が歪でも普通に使えた。だが、形が歪すぎてなんとなく信用にかける。
なので、途中で壊れたり使えなくなってしまった時の予備に倍……とまではいかないが、1.5倍程の数を作っておいた。
これだけあれば大丈夫だろう!
「つっかれたー……」
「ほんとにー、やっと終わったー」
「2人ともお疲れ様」
「ありがとうー」
「サンちゃんもおつかれ!」
ググッと体を伸ばして、深呼吸すると、仕上がったエアロを持ってキャッキャと楽しそうに遊んでいる子供達の方へと向かった。
クレイ:ひゃっほーーー!!!
ん〜!!!楽しいです!リオの考えることは凄いですね!
スケルトンが召喚できるようになって、カッコイイスケルトンは眺めるか戦わせるかくらいしか使い道が無いと思っていましたが、なんと遊具にまで使えるなんて!
素晴らしい!さすが我が主!
滑り降りるのも楽しいですが、背に乗って進ませるのも、かなりのスピードが出て楽しいですね!
ひゃっほーーー!!!
いつも読んでくださりありがとうございます!




