334、お出かけ準備(9/1)
おはよー!
昨日は長い長いロレナのお説教が2時間程も続き大変だった。今日の朝、家から出た時に山を見ると、スカイシャークが放った魔法で弾け飛んで変形した山は元の形に戻っていた。どういう仕組みなのだろうか?不思議だ。そういえば草原の所でみんながいつも魔法の練習をしていて、地面がよくボコボコになっているのも次の日には元通りになっている。あまり気にしていなかったが、あれと同じ原理だろうか?まぁ、その原理が何か分からないのだが……
さて、今日から9月だ!と、言っても、この世界では9月はまだ夏だ。
5ヶ月ずつで季節がハッキリと切り替わるから10月までが夏で11月からが秋だ。
日本と違って1月も春から始まるし、月の数え方が違うからややこしいな。
だが、箱庭の中の家がある場所はずーっと春の陽気だ。
夏など関係ないとばかりに先日も桜の木の下でお花見を開催したほどなので、箱庭の外へ出なければ季節もあってないようなものだ。
と、思っていたのだが、食堂に行くと、ゼンの開口一番が海で遊んでみたいというものだった。この世界には魔物がそこら辺中に存在しており、何処へいても危険だ。高く厚い外壁で囲まれている街の中でさえ、完全に安全とは言えない。
そんな中、海で呑気に遊ぶ人などいないだろう。
なので昨日、夏になったから海で遊んでいたという話を聞いてゼンはずっと気になっていたようだ。
その言葉に反応したのは食堂にいた全員だ。
特にジオが、「ええじゃん!ええじゃん!ええ事言うじゃん、ゼンー!!」と、ノリノリだった。
最近毎日呼び出され朝から夜まで商業ギルドのギルドマスター達に拘束されていたのでストレスが溜まっていたようだ。
みんなも同じように期待の眼差しでこちらを見ている。
みんなで何度か行った以外、海には遊びに行ったりはしていなかったようだ。
「……みんな今日の予定は大丈夫なの?」
ジオ、ノアちゃん、サンちゃん、ランちゃんは連絡だけしたら大丈夫との事で、各街のフリーオンも張り紙しとけば大丈夫との事だった。
クレイ達は昨日もお休みにしてたみたいだけど、どうするかと尋ねると、疾風の牙の3人は連休だー!!と泣いて喜んでいた。従魔たちはその様子に呆れ顔だったが、海に遊びに行くのには賛成な様子だ。
「じゃぁ、パメラ達誘って海に遊びに行こっか!」
「「わーい!!!」」
今日は虹彩魔術のレベル上げにダンジョンにでも行こうかと思っていたのだが、予定変更だ。
これだけ期待の籠った目を向けられては仕方ない。
ダンジョンはいつでも行けるしね!
朝食を食べ終わると、みんな海に行く準備をキャッキャと楽しそうに始めた。
ゼンやドレイクの水着の用意はランちゃんがしてくれるようなので任せて、私はパメラ達を迎えに行こうかとしているとサンちゃんに呼び止められた。
どうやら、各街の商業ギルドに頼んでいた資材がだいぶ集まり、置く場所が無くなってきたので時間がある時に一旦回収に来て欲しいと伝言を預かっていたようだ。
資材とは、箱庭にお城を建てるために集めてもらっていたものだ。
ジオに頼んだ設計図は既に完成しており、資材も随分前から集めているが、必要な量が多すぎて未だに集めきれずにいる。……途中で、なんやかんやと作るのに消費しているせいもあるかもしれないが……
なので、今はフリーオンの店舗を置いている街の商業ギルド全てに頼んでいるのだが、どうやら何処のギルドの倉庫もいっぱいになってきたようだ。
パメラの迎えにはサンちゃんが行ってくれると言うので、私は商業ギルドを順に回って資材を受け取って来ることになった。
「で、ついでにさぁ、セノーデルさんに、今日は用事で行けないって伝えといてくれるか?」
「え……うん……」
資材が溜まって倉庫を圧迫しているというのは建前で、こっちが本命だったんじゃないだろうか……と、ジト目を向けるも、サンちゃんは苦笑いで、んじゃよろしくな!とそそくさと出かけて行った。
……まぁいいけど……
さて、私も行ってくるかな!
まずはアヒンの街へゲートを抜けて行くと外は雨だった。
ザーッと結構たくさん降っている。雷鳴が轟くほどの豪雨では無いが、そのまま外へ出れば確実にびちゃびちゃになる。
……濡れるのはヤダな、傘とか無いし……そうだ!盾系の魔法を傘みたいにしたらいいんじゃない?
「ライトシールド」
少し大きめの傘くらいのサイズのライトシールドを頭上に展開した。
ライトシールドに魔力を込めながら外へ出てみる。
……ちょっと濡れるな……
「あ!そうじゃん!別に傘くらいのサイズじゃなくてもいいじゃん!」
そう思いつくと、フリーオンから商業ギルドまでの道の頭上高くにライトシールドを展開した。
「これで絶対濡れないじゃんー!私、頭良いー!!」
そのままご機嫌に、キラキラと光を放つライトシールドの下を軽い足取りで商業ギルドへ向かうのだった。
◇◇◇
アヒンの街の商業ギルドに行き、次はペルカの街の商業ギルドに行き、ここでは頼まれていた通りセノーデルさんにサンちゃんからの伝言も伝え、セルジュの街の商業ギルドに行き、ルゼルの街へやってきた。
「あと、ここで最後だな」
商業ギルドで保管してくれていた資材の量はかなりのもので、お城がそろそろ建てられそうな程集まっていた。
併設させる予定のプールを後からにするなら、お城の方はもう作れそうだなー!
長かったな、資材が集まるの……
そんなことを考えながらルゼルの街でも頭上高くにライトシールドを展開して商業ギルドへ向かって歩いていると、通りかかった冒険者ギルドの前に豹の牙の3人がいた。
「おい!リオー!」
「よっ!」
「久しぶり」
「あ、デビッド、ステファン、ケンドール、おはよー」
「おう!おはよ」
「何してんだ?」
「商業ギルドに向かってるとこだよ」
「何しに行くんだ?」
「頼んでた物を受け取りに行くだけだよ」
「へぇ」
「それよりリオ!あれ何か知ってっか?」
「へ?あれって??」
あれとデビッドが空を指さすが、特に変わった物は見当たらない。
不思議そうに聞き返すと、アレだよアレ!と、アレアレうるさい。
「おめぇ、見えねぇのか?あの光ってるやつ!」
「光ってるやつー?」
「ほら、あっちからあっちまでずっと続いてるだろ?」
「あー、ライトシールドのこと?」
「「……は?」」
3人がアレアレと指さしていたのは、リオが雨に濡れないようにと空に展開したライトシールドの事だったようだ。
急に空に光の道が現れて、ちょっとした騒ぎになっていたようだ。
リオが魔術で出したものだと聞いて3人とも、またお前か!と驚きと呆れが入り交じった表情になっていた。
何か変わったことが起きると、だいたいリオの仕業だな!などと失礼なことを言われ、リオは豹の牙とはそんなことを言われるほど親しくないのにと若干ご立腹だ。
それもそのはず、リオは3人のことをあまりよく知らないが、3人はリオの事を先日箱庭のお花見に遊びに行った時に色々聞かされていたのだ。
嘘だろ?!という話が多かったが、実際に見て納得したようだ。
騒ぎになっていたのはルゼルの街だけでは無い。アヒンの街もペルカの街もセルジュの街も騒ぎになっていたが、室内にいたギルド職員としか会話をする機会が無かった為、リオは騒がれていたのに気づかなかったようだ。
他の街では平気だったなどと言った為、ぜってー大騒ぎになってるぞ!と呆れられていた。
「……まぁ、大丈夫でしょう!」
「おい……」
「見なかったふりかよ」
「騒いでる人に説明した方がいいと思う」
「急いでるし、一定時間経つと消えるし、大丈夫だよ!多分」あはは
「相変わらずだな」
「ちょいちょい適当だよな」
「うん……」
「うっ……もぉ原因はわかったんだし、仕事行ったら?」と、無理やり話題を変えようとしたが失敗だった。
「あー、今日は休みだな」
「え?そうなの?」
「雨だしな」
「だな、いくら夏だから少し濡れたくらいなら平気とはいえ視界が悪いと怪我の原因にもなるからな」
「うん、命大事」
「そっか、そうだよねー、ゆっくり休んでー!」
「おう、サンキュ」
「ありがとな」
「……リオに着いてっていい?」
「へ?」
「ちょ、ケンドール何言ってんだ?!」
「リオの仕事、興味ある」
「あー、それは、確かに……」
「へ?今日は仕事で行くんじゃないよ?」
「そうなのか?仕事で使うもん頼んでたんじゃねぇの?」
「うん、建築資材頼んでただけで……」
「「は?建築資材??!」」
「そうそう」
「そんなもんどうするんだよ?」
「建築資材なんだから、家建てるのに使うに決まってるじゃん」
「「……は?はぁぁぁぁ??!!」」
「家を建てるってなんだ?」
「いや、言葉の意味そのままだけど……?」
「家はあるじゃねぇか」
「それな!あんなでけぇ屋敷に住んでて……」
「……家を増やすってことか?」
「ああ、そういや食堂が狭いとか言ってたな?」
「結構な人数だったもんな」
「……うん……まぁ、そんなとこだよ」
「おい、なんだその投げやりなの」
「お前、説明すんの面倒くさくなっただろ」
「えーっと、まぁ、そんな訳で……」
「おい!」
「コラ!流すなよ!」
「だってー、話長いんだもんー」
「おめぇな……」
「デビッドだけじゃなくて、俺らの扱いも雑になってんぞ」
「おい!俺はいいみたいじゃねぇか!」
「「だって、デビッドだし!な!」」
「ステファン!ケンドール!声揃えてんじゃねぇ!」
「あはは」
「いや、リオもわらってんじゃねぇ!」
「それじゃぁ、そろそろ行くね」
「コラコラコラ!」
「一緒に行っていいかって聞いたのは?」
「別にいいけど、面白いこともないよ?」
「マジで受け取るだけ?」
「うん、そうだよ。早く帰んないといけないし」
「家で何かあるのか?」
「うん」
「それはなんだ?」
「何があるんだ?」
「みんなで遊びに行くんだよ」
「マジか!」
「俺らも行っていいか?」
「家行く!」
「え?……えっと……まぁ、いいけど……」
「なんでそんな渋々なんだよ……」
「つめてぇなぁ……」
「行くと困る?」
「いや、別に渋々ってことは無いけど……」
「じゃぁ何だよ?」
「いやぁ、うるさいのが増えるなと思っただけで」あはは
「おまっ!?」
「それ明らかデビッドの事だろ!」
「デビッドは置いてく?」
「な?!ちょ、お前らまで!!?」
「あはは、うそうそ、こないだもみんな馴染んでたし、来てくれても大丈夫だよ」
「ぜってぇ本音だったよな……?」
「……ああ」
「デビッドが気づくくらい、本気だった」
「おい!」
ということで、資材の回収に行って、豹の牙の3人と箱庭に戻った。
箱庭に戻ると子供達はもう準備を終えて馬車に乗っているようだ。といっても、自分の水着や着替えを持ったら馬車に乗って待つように言われていたみたいだ。
大人達はバタバタと準備に追われていた。
「あー!リオ!いい所に帰ってきた!」と、リビングからランちゃんが顔を出した。
「え?ランちゃんどしたの?」
「海行った事ない人めっちゃいるじゃん!」
「あれ?そうだった?」
「もう、前行ってから一月くらい経つからな……」
「あー……もうそんな経つっけ?」
「うん……てか、また人増えてんじゃん!」
「うん、ギルド行く時に会って……」
「じゃぁ、そいつらの水着もいんのかよ?」
「あ!そうだね!よろしく!」
「いや、よろしくって……まぁいいけど、それよりリオの水着貸して!」
「うん?」
「ゼンー!これ、サイズ合うか試してみて!」
「うむ、手間をかけるのぉ」
「あー、ゼンに合うサイズ無かったの?」
「そうなんだよな、他の人のじゃ胸んとこキツくて……俺のは多分デカいだろ?リオとなら身長も体型も一緒くらいだろ?」
「そうだね?……ノアちゃんも一緒くらいじゃない?」
「あぁ!!忘れてたわ!」
「そういえば、私の水着、ビキニだけど……」
「なんじゃぁこれはァァァァ!!!??」
「あー……そうだった……」
「な、な、な、なんじゃこれは?!ほとんど裸ではないか??!」
と、パーテーションの裏で着替えたゼンが顔を真っ赤にして飛び出してきた。
「ゼン!似合ってるよー!」
「いや、ゼン、それはビキニって言って、そういう水着の種類で……」
「ちょ、なんて格好で出てくるだよ?!」
「……ッ??!」
「うわぁぁぁ!!?」
ゼンのビキニ姿を見て、豹の牙は顔を真っ赤にして狼狽えている。
ゼンは自分が着るのはいいが、リオもこんな物を着るのかと大騒ぎだ。
ランちゃんはそういや俺らだけビキニだったわ……と頭を抱えている。
このカオスな状態にさらにジオが部屋に入ってきた。
「おー!豹の牙じゃん!お前らも海行くん?」
どうせならお前らも女になれと、ジオが3人にまたもや変身ポーションを飲ませて!状況はさらに悪化した。
「ランちゃんこいつらのもビキニにしてや!」と、ジオだけは楽しそうだ。
リオは、これはもう収集するのは無理だと判断したのか、ランちゃん後よろしくと、全て押し付けてゼンを連れてそそくさと部屋を出ていくのだった。
デビッド:「な、なんだありゃぁ!!」
今日は雨だし、仕事は休みだ。だが一応休みにする日もギルドには情報収集に通っている。今日も同じようにギルドに行き帰ろうと外へ出た時だった。
空に金に輝く道が現れたとみんなが騒いでいる。
金に輝く道ってなんだ?そう思い外へ出ると……
……マジか!本当に金に輝く道があるじゃねぇか……
すげぇな……とステファンとケンドールと空を見上げていると、その金の光を浴びながら女神が降臨した……と見間違えたが女神じゃなくて、リオが現れた。
あまりの美しさに見間違えたぜ……喋ってると表情がコロコロ変わるし口も大きく開けて笑うから忘れるけど、黙って立ってたらマジで作り物のように綺麗だよな……ハッ、いや、そんな事考えてる場合じゃねぇ!
「おい、リオー!」
リオに話を聞くと、雨に濡れないようにリオが出した物だって言うじゃねぇか!
こいつマジで何もんなんだ??
気になるー!めちゃくちゃ気になる!だがこないだも色々聞きすぎてちょっと引かれてたしな……着いて行きたいなんて言ったらストーカーとか思われるんじゃ……ん〜〜〜
そんなことを考えていると、ケンドールがついて行っていいかと許可を取ったじゃねぇか!ケンドールナイス!マジでナイスだ!こんなに謎が多い奴は初めてだ。一緒にいても謎は深まるばかりでナニモンなのかは一向に分からないって奴も初めてだ。
リオの家に行くのはこれで二回目だ。今度こそは……と思っていたら、またこれかよー!!!
ジオのやつ!またこんな、性別変わる薬飲ませやがってー!!てかこんな薬他所では聞いたことも見たこともねぇんだが??……そ、そんな珍しい薬……一体いくらするんだ?実はすげぇ高い薬とか……か?
いや、それより、なんでこ、こ、こここんな、この体でこんな服……いや、服かこれ?下着より布面積すくねぇじゃねぇか!うお?!ジオ、やめろ!乳を掴むな!!
いや、男同士だが、今は違うだろうが!
は?!な?!なにー??!り、リオやノアやランもこんな格好をするのか??
……お、お前ら今から一体何処へ行くつもりなんだ……???!!
いつも読んでくださりありがとうございます!




