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333、黒vs白

遅めの昼食を食べ終わると、早速スカイシャークの魔石召喚を試す為屋敷の外へ出た。

スカイシャークの魔石の数は5個。

私も1つ欲しいと言うと、もちろんです!と二つ返事で分けてくれることになった。1つで良いと言うと、なんと1番苦戦した1番大きかったスカイシャークの魔石をくれた。クレイ、太っ腹だ。

ゼンも白の書を持っているので、受肉された方も見て見る事に。ということで、ゼンが1つ。

残りの3つはクレイが本に収めていた。


顕現させるのは簡単で、顕現させたい魔物のページを開いて魔力を込めるだけのようだ。

1度出すと、消そうと思わない限り二月(ふたつき)程は魔力の供給なしで活動できるのだとか。


「では、いきますよ!」と、クレイが、出しっぱなしにしていた魔物の横にスカイシャークを召喚した。


「わぁー!いい感じー!」


(スケルトン)でも大きいですねー」


「うむ、解体するのも大変じゃったからのぉ」


「……これが死霊召喚……」


すごいすごいと楽しそうに話しているリオ達の横で、ドレイクだけは顔を青くしてスカイシャークのスケルトンを眺めていた。


「では、私も出してみようかのぉ」と、ゼンもスカイシャークを召喚した。


クレイが出したスカイシャークとは違い、湖で出会った時のスカイシャークそのままの姿がそこにはあった。


ギラギラと輝く皮膚の色から闇に吸い込まれそうな瞳まで、あの時のままだ。


「わぁ……」


「これは……」


「……ッ」


「うむ、死体は見ておったが、動いておるとなかなかの迫力じゃのぉ」


「うん、すごいよ!めちゃくちゃ苦戦した時を思い出したよ」


「ええ、あの時は本当に大変でした」


「こんなのと戦ったなんて……」


「うむ、強そうじゃのぉ」


「うん!すっごく強かったよー」


「そうですね」


スケルトンのスカイシャークも皮膚まであるスカイシャークもどちらも空中に浮いている。

湖から現れた時と同じように、召喚されたスカイシャークも空を飛べるようだ。


「ふぉっふぉっ、今のクレイなら余裕かもしれぬがのぉ」


「そうでしょうか!確かにレベルはかなり上がりましたが……」


「ねぇ、これって、どっちが強いの?」


「え?!どっちとは?私とスカイシャークですか?」


「それならばクレイじゃろうのぉ」


「んーん、スケルトンのスカイシャークと普通のスカイシャーク」


「あー!どちらでしょうか?」


「うむ……それは試したことが無いからわからんのぉ……」


「ねぇねぇ、ちょっと試してみてよー」と、リオは興味津々だ。


「うむ!」

「はい!」

確かにそれは気になるなと、ゼンとクレイも乗り気だ。


「へ?ちょ、ちょっと待て!」


「ん?どしたの?ドレイク?」


「あんなデカいのが暴れたら大変な事になるだろ!」


「えー?……んじゃ場所移動しよっか!」


「確かにその方が良さそうじゃ」

「あちらの方はどうですか?」


「え?いや、そういう問題じゃ……」


「そうしよ!あっちはあんまり行ったことないけど何にもないしー」


今いる草原より、さらに家から離れた草原の奥へ移動することになった。

牛や鶏、馬もいるのでしっかり距離をとっていても、離れすぎということは無いだろう。


草原の奥には山が見える。

移動しながら、ゼンがあちらは何があるんじゃ?と尋ねてきた。


「知らない……」


「……む?」


「行ったことない」


「……クレイもかのぉ?」


「はい……」


「今度箱庭の中散策しようって言ってたけど、それも先延ばしになっちゃってるもんね」


「はい、レベルが上がる度に広がっているようで、街に着いてからはもう箱庭内は把握出来ていませんね」


「なるほどのぉ」


「あ、でも、あっちの海の方は何回か行ったよ」


「ほぉほぉ」


「海の水はしょっぱかったですね」


「うん、生き物は魚も貝も何にもいなかったけどね」


「なるほどのぉ」


「今度はゼンもドレイクも一緒に行こーね」


「え……?」

「む……?何をしに行くんじゃ?」

ゼンの質問に、ドレイクも同じことを思ったのか、こくこくと首を縦に振っている。


「遊びにだよ」


「遊びに……じゃと?」

「へ……?」


「うん……他に何かあるの?」


「うむ、海で遊ぶとは……どのような事をするのかのぉ?」


「泳いだり、ウォータースライダーしたり、ビーチバレーしたり、色々だよ」


「……なんじゃそれは?」

「……なんだそれは?」


「めっちゃ楽しいよ!」


さも当たり前かのように言うリオに、ゼンとドレイクは説明が足りないとジト目を向けるのだった。


海に行った時にみんなでした遊びを説明しながら歩くこと10分ほど、まだまだ山の麓までは距離がありそうだが、馬や牛や鶏が居る厩舎からはだいぶ離れたので、早速始めることになった。


クレイとゼンがそれぞれのスカイシャークに簡単に相手を倒すようにと指示を出すと、すぐに二体のスカイシャークはギシャーという叫び声とともに、お互いに魔術を放ち始めた。

湖で私たちと戦った時は歯を剥き出しにして突っ込んできたが、今は違う。

広い空中をめいいっぱい使って泳ぎ回り、相手に向かって水や風の魔術を放つ。


「すっごーい!リアル版怪獣映画みたい」


「怪獣映画とはなんじゃ?」


「え?んーと、映画っていうのはねー

───」


4人で並んで、スカイシャークの戦闘を見ながらリオが映画の説明をする。

ゼンは初めて聞く日本の文化に興味津々だ。

目の前で繰り広げられている戦闘を横目にリオに質問攻めだった。



「それにしても決着つかないね」


「リオに渡した魔石以外は同じくらいの大きさの魔石でしたし、強さも同じくらいだったのでは?」


「そうじゃのぉ」


「白の書でも黒の書でも強さは変わらないってことかな?」


「この本自体は強化できんからのぉ」


「そうなのですか?ページ数は増えましたが……?」


「うむ、レベルに連動してページ数は増えるが他に強化された箇所があるようには思わなんだのぉ」


「そうなんだ」


そんな話をしているとドーンという音と共にギシャァァァァという叫び声も響いた。


パッとスカイシャーク達の方を見ると風魔術がお互い命中してかなりの負傷をしていた。


「うむ……どうやらあまりに負傷しすぎると召喚が解除されるようじゃのぉ」


「そうみたいですね」


ゼンとクレイは本を開いて何かを見ながら話している。


ゼンは以前から白の書を使えたのだが、ゼン自体が強いのでわざわざ召喚して戦わせるより自分で戦う方が早いと、あまり召喚した魔物に戦闘をさせたことが無かったようだ。

負傷するとこのような事になるのか……と興味深げだ、が、呑気にそんな話をしている場合ではなかった。


今度はお互い水魔術を放とうとしている。

その水魔術、最後の力を振り絞った攻撃とばかりにめいいっぱい魔力を練り込んでおりかなり巨大だ。


「ちょ、ちょっとあれ!!」


え?と、ドレイクの声に空を見た時にはもう遅かった。


巨大な水球をお互いに放ち、受けることなく避けた為、その水球はあらぬ方向へ飛んで行った。


こちらに飛んで来たわけではなかったので、防ぐことなく見送ってしまった。


水球がぶつかりドォォォォォォンと地鳴りがして、弾け飛んだのは山だ。


屋敷がある方から見て、正面から右斜め前の山と、左斜め前の山がえぐれて山の形が変わっていた。

こちらに被害が及ばないように多少気遣ってくれたのだろうか?それとも水球同士が当たって方向が逸れたのだろうか?よそ見をしていて見逃してしまったが、威力が凄まじかったのは言うまでもない。


その惨状に

「わー……」

「やってしまいましたね……」

「うむ……」

「……」

とポカンと思考停止する4人。


スカイシャーク達は魔力を使い果たしたせか、顕現を維持できなくなり消えてしまった。


しばらく驚きからボーッとしていると、馬を走らせルード達大人が数人やってきた。


「リオ様!お怪我はありませんか?」

「すごい音でしたが、何があったのですか?」


焦った様子で話しかけてくるルードとロレナ。


その声にハッと我に返る4人。


何があったかを説明し、びっくりさせてゴメンと謝ると、ゴメンではありません!と、ロレナのお説教が始まった。


いつもの長い長いお説教だ。

い、いや、いつも私が怒られてる訳じゃないよ!本当だよ!


「リオ様、聞いているのですか?」


「は、はい!」ビクッ


違うことを考えていたのがバレたようで、名指して注意を受けた。


こうして、どれだけ危険な行為をしていたのかを、みっちり反省させられるのだった。


ドレイク:ひぇぇ、ロレナ殿の説教はおっかないな……

いや、そりゃまぁスカイシャークよりは断然マシだが。

あれは凄かった、あの迫力……ブルリッ

あんなのと戦って倒したなんて信じられんな……

魔法は使ってこなかったと言っていたが、召喚したスカイシャークが使っていたのだから使えたのではないか……?

山を吹き飛ばす程の威力の魔法を……ゴクッ

よ、よく倒せたな……本当に……





いつも読んでくださりありがとうございます。

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