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332、死霊魔術

ゼンとドレイクと箱庭に帰ると、牛達の小屋があるより奥の草原に大きな魔物が複数体いた。


「何あれ……?」


「うむ、あれはシーサーペントじゃのぉ」


「え?!デカい……骨……?」


「あれがシーサーペント……おっきいー」


「うむ、なかなかのサイズじゃのぉ」


「り、リオ、ゼン、そんな呑気なことを言っていていいのか?」

箱庭の中に魔物が出るなんてと、ドレイクは焦っているが、それに対して落ち着いたゼンの返事があった。


「クレイの仕業じゃろう?」


「うん、多分ね!」


「へ?クレイの……?」


ドレイクはどうやらクレイが死霊召喚魔術を使えるようになったのを知らなかったようだ。クレイの仕業とはどう言う事だと戸惑っている。


「ちょっと見に行ってみよ!」


戸惑うドレイクにゼンが軽く説明をしながら魔物の骨が並ぶ場所へと近づいていく。

近くで見るとシーサーペントのスケルトンはかなりの大きさだった。

肉や皮もない骨だけでこれ程圧迫感がある大きさとは……実物はどれほどのものだろうか……


クレイは、シーサーペント以外にも、色々な魔物のスケルトンをズラリと並べて眺めていた。


「クレイ、何してるの?」


「ん?……あ、リオ!ゼン!ドレイク!見てください!」


「うん?」

「うむ?」

「……ッ!」


「やっと100匹まで増えたのですよ!」ふふんと胸を張りかなり自慢げだ。


「凄いねー!」


「うむ、見事なものじゃ」


「こ、これは、危なくは無いのか?」


「大丈夫ですよ!私の言う事にはきちんと従ってくれますから!」



今日はダンジョンに行くのはお休みだそうだ。

連日休まず潜っていたが、いつも一緒に行っていた疾風の牙の3人がバテたようだ。

「もう無理……」

「1日、1日でいいから休ませてくれ」

と、連日シーサーペントに苦戦しまくってとうとう音を上げたようだ。


なので魔石を収め登録した魔物を全部具現化して見ていたのだそう。


「かっこいいでしょー!魔石(おやつ)を我慢した甲斐がありました!」と嬉しそうだ。


今登録している魔物は全てちゃんと言う事を聞くようだ。

ランクが高い魔物は指示が大雑把でもちゃんと考えて動いてくれるのだとか。


「いいなぁ……」


「そうでしょう!」


「私も闇魔法練習しようかな?」


「是非しましょう!リオ、闇魔法のレベルはどのくらいですか?」


「えっと……30?」


「ん?……暗黒魔法?」


「や、闇魔法……」


「「………………」」


「さ、先は長そうですね……」


「うん……」


「リオは光魔法のレベルが高いのではなかったかのぉ?」


「え?うん、でもこれ闇魔法でしょ?」


「うむ、死霊召喚魔術は闇系統の魔術じゃが、光魔法の方も、光の上位魔術である虹彩魔術をレベルを最大まであげると召喚魔術が使えるようになるのぉ」


「え!そうなの!?召喚魔術?」


「召喚魔術は(スケルトン)ではなく、受肉された状態での顕現ではあるが、似た感じじゃよ」


「ゼン、使えるの?」


「うむ、召喚魔術の方は私も使えるのぉ、猿の魔物が手先が器用で色々手伝ってもらうのには便利じゃ」


「そうなんだ!それなら私も虹彩魔術のレベル上げする!!」


「うむ、うむ、それが()いじゃろう」



今はもう昼過ぎだが、まだ昼食を食べていない。

死霊魔術にも召喚魔術にもまだ色々種類があるようで、お腹が空いたし、お昼を食べながらゼンに教えてもらい、昼食を食べ終わってからスカイシャークの魔石も黒の書に収めて見ることになった。




食堂に行くと、もうみんな昼食は食べ終わったようで、真ん中のテーブルの上にお腹をパンパンに膨らませたオニキスが仰向けで寝転んでいるだけで誰もいなかった。

オニキスはだんだん野生からは遠ざかっているように感じる……


そんな事を考えていると、おかえりなさいと、厨房の方からロレナが顔を出した。


「ロレナ、ただいまー!」


「おかえりなさい、遅かったのですね」


「うん、もう少しだから終わって解散にしよって、最後までやってたんだよー」


「あら、では解体作業は終わったのですか?」


「うん!やっとねー」


「それは良かったですね!お疲れ様でした」


「ありがとう!」


「お昼、すぐにご準備致しますね」


「うん!」




昼食を準備してくれたロレナに聞いたのだが、ノアちゃんやランちゃん、サンちゃんもジオもみんな忙しいそうだ。

ジオとサンちゃんは地下道の設計などを頼まれており、毎日商業ギルドや領主邸に呼び出されているようだ。

最近解体作業の手伝いのせいでご飯の時間がバラバラで会わない日もあったが、2人も忙しかったせいもあるようだ。

ノアちゃんとランちゃんはコーヒーの入れ方や砂糖や牛乳、卵の使い方、管理方法等をあちこちで教えて回っているようだ。

これはコンラッド様をはじめ領主様達からの依頼のようだ。

それは断りずらいな……

それから、ルゼルの街のフリーオンはいつの間にかオープンしていた。

先日頼まれて、内装作って空間を広げる所まではジオの設計図の通りにササッと仕上げていたのだが、あとはみんなでいい感じにしてくれ、勝手にオープンしてくれたようだ。本当にみんな有能だ。

ルゼルの街のフリーオンは、他の街のフリーオンと違って、香水やオルゴールも売っているそうだ。

それがまたバカ売れで、貴族の間で大流行しているのだとか。一般の人が買うにはかなり高価な価格帯だが、それでも買いに来る人もいるそうだ。

王都の方からもルゼルの街まで買い付けに来る商人も多いそうだ。香水の方はまだ大丈夫だが、オルゴールの方は作るのが追いついていないようだ。

パーツが細かいからなぁー……

以前は手でネジをぐるぐる回す、日本にあったようなオルゴールを作っていたが、最近はゼンに魔力で動くような仕組みにする方法を教えて貰って、魔動オルゴールの方も試作しているらしい。

こないだ会った時にガンツ達が活き活きしていたのはこのせいかもしれない。

何か新しいものを作ったり学んだりする度にテンションが高く楽しそうだからなぁ。

ローガン達鍛治スキル持ちの子供達も楽しそうにしていたからまぁいいか。

それにしても、まだオープンして日が浅いのに、情報がまわるのが早いなぁと、商人達の情報網には感心するばかりだ。

日本と違ってネットも携帯電話も無いのに、本当に凄いと思う。


ロレナからみんなの近況を聞き終わると、今度はゼンが召喚魔術や死霊魔術について教えてくれた。

召喚魔術や死霊魔術と1口に言っても、種類が何種類かあるそうだ。

死霊魔術には、クレイが先程やっていた、黒の書に魔石を収め、魔石を媒介にスケルトンを呼び出すもの。

魔物の骨を魔力で組み立て操作して操るもの。

死体をそのまま魔力で操作して操るもの。

死体や骨に、別の魔石を組み合わせて操るものなど、色々出来るようだ。

ちなみに、ゼンが骨が欲しいと言っていたのは、骨を組み立てて、スケルトンを一体作ってみたかったからのようだ。


「スカイシャークの大きさに、興味をそそられてのぉ」と、笑っていた。


死霊魔術の方は、死体や骨なんかを使うものが死霊魔術と一括りに呼ばれるようだ。


それから召喚魔術、こちらも種類が何種類かあるようだ。

黒の書と同じように、魔石を白の書という本に収めて登録し、魔力で顕現させる魔石召喚と呼ばれるもの。

魔物や動物、精霊などと契約して召喚する契約召喚と呼ばれるもの。

契約召喚とは少し違うのだが、契約(テイム)も召喚魔術の括りにされているそうだ。

それから魔法陣を使うものや、その他には傀儡や人形を操作するような魔術もあるそうだ。


細かく説明してくれた所もあったが、ザックリとはこんな感じだった。


白の書に登録した魔石はまた取り出すことも出来るそうだ。

なので、黒の書も同じだろうとゼンに言われ、クレイが試してみると、魔石を取り出すことがちゃんと出来ていた。

さらに、魔石に別の魔石の力を吸収させることも可能なようだ。

ベースとなる魔石に、別の魔石を吸収させると、ベースにした魔石の魔物のレベルが上がる。要は強化される。

この場合、吸収された魔石は無くなってしまって、元に戻す事は出来ないようだ。


「すごいですね!こんな事も出来るなんて!」


「魔石の強化をする時はよく考えてするのが良いのぉ」


「はい!そうします!587ページ埋めてから強化を始めるか、少数精鋭でどれかを育てていくか……」

強化もできると聞いて、どうしようかと楽しそうに悩んでいるようだ。


こういう育成ゲームみたいなのは私も好きだ。私もやりたい!

白の書、早く使えるように虹彩魔術のレベル上げなきゃ!


ドレイク:死霊魔術に召喚魔術……

初めて聞くような魔術や御伽噺に出てくるような魔術まで……

……本当に危険は無いのだろうな……?

あの数の巨大なスケルトンが、もし、もし暴れだしたらと思うと……ゾッ





いつも読んでくださりありがとうございます。


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