表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
327/364

319、変身ポーション

2人で手分けして詰め替えをしていると、ジオが部屋に入ってきた。

「調子はどうよ?」


「今ちょうど出来たところだよ」


「おお!マジか!飲んでみたん?」


「いや、まだだよ」


「はよ飲んでみてよ」


「いや、どんな姿になるのか、鑑定で出なかったからゼンに見てもらってからにしようかと思って……」


「え、そうなん?」


「ファンタジー小説の定番だと思い浮かべた姿になるもんだけどな?」

そう言いながらランちゃんがノアちゃんと一緒に部屋に入ってきた。


もうお昼の時間なので、呼びに来てくれたようだ。


「ランちゃん、それマジ?」


「小説では、だけどな?」


「ちょぉ、サンちゃん(はよ)う試してみよ!」


「は?ちょっと待って」


「元に戻れるんじゃろ?」


「一応、8時間で戻るみたいだけど……」


「ならええじゃん!失敗しても」


「んー……」


「はい」と、ジオは変身薬(ポーション)を1瓶サンに渡した。


「え?!」


「ランちゃんも飲もーや」と、ジオはランにも1瓶渡した。


「う、うん……」


サンが不安そうにしているので、若干胡乱げな顔で受け取った変身薬(ポーション)の瓶を見つめている。


「よっしゃ!一緒に飲むけ、合図して!」

ジオはかなりノリノリだ。


「うん……」


「早う」


「わかった、んじゃ、せーのーで」ゴクゴクッ


サンちゃんは掛け声をかけると、変身薬(ポーション)を眉間にシワを寄せ目を閉じたまま飲んだ。

ジオとランちゃんも、サンちゃんの掛け声に合わせて、変身薬(ポーション)をゴクゴクッと勢いよく飲んだ。


「「ぷはぁ」」


「「どう?」」

リオとノアは、変身薬(ポーション)を飲み終わった3人に恐る恐るといった感じで声をかけた。


「いや、特に……うっ」

「うん?うっ」

「失敗じゃ……うぐっ」


3人が特に何とも無いと言いかけた時だった。身体に異変が起きたようだ。

ジオはよろけ膝をつき、ランちゃんはうずくまっている。

サンちゃんはううっと呻きながら服の胸辺りをギュッと握りしてめいる。


3人とも、ううっと苦しそうな呻き声をあげている。


「え、みんな大丈夫?」


「どうしたの?なんで?リオ?」


「わかんない、鑑定ではちゃんと出来てそうだったんだけど……」


苦しそうに呻き声をあげる3人を鑑定してみるが、特に状態異常は見受けられなかった。

リオの鑑定レベルが低いからか、状態異常ではない別の原因なのかは分からないが、3人とも苦しそうにしているので何とかしなくてはと、回復魔法(ヒール)をかけてみるが、効果は無かった。


「それなら毒消しみたいな魔法は?」


「アンチドートね!やってみる!」


と、毒状態を治す魔法を使ってみるがこちらも効果が無かった。それならと状態異常を治すもの、呪い状態を治すものなど手当り次第の魔法をかけてみるが、結局どれも効果がなかった。


どうしようと、手の施しようがない状態に気持ちだけ焦りながら3人を見ていると、薬を飲んでから3分ほどで、苦しんでいたのが落ち着いてきたようだ。

少し息を乱しながら、顔を上げた。


「大丈夫?」

「落ち着いたの?」


「うん、大丈夫そうだ」

「めっちゃ身体が熱くなってきて……」

「そうそう、すげぇ苦しかったけビビったわ」


「「え"?!」」


リオとノアは3人を見て変な声を出した。


「え?」

「な?」

「は?マジ?」


3人も自分の声を聞いて驚きの混じった変な声を漏らした。


「ちょ、何を思い浮かべながら飲んだの?」

「そうだよ、性別が変わるなんて……」


そう、変身薬(ポーション)を飲んだ3人は性別が入れ替わっていたのだ。

ジオとサンは女性の姿に、ランは男性の姿になっている。元の髪色と目の色はそのままに、ジオとサンはがっしりした男性の体型がスラリと綺麗な女性の体つきになり髪の毛の長さも長くなっている、ランは逆に巨乳だった胸は厚い胸板に、腕も足も筋肉質な男性の体型になっているが髪の毛は長いままだった。


「なんじゃこりゃー!!!」ジオは自分の胸を鷲掴みにしながら叫んでいる。


こんなに驚いたように叫んでいるということは、女性の姿になるのを想定していたのでは無さそうだ。


サンちゃんも自分の胸を恐る恐る触りながら顔を真っ赤にしていた。


ランちゃんは「ちょ、ズボンがキツい!」と急いでベルトを外しながら、「リオ、男物の服ある?」と話しかけてきた。

ズボンだけでなく、着ていたTシャツも腕周りがパッツパツで、胸周りもピタピタだった。


ランちゃんも服を着替えて、3人とも少し落ち着いたので話を聞くと、思い浮かべていた姿とは全然違う姿になったようだ。


3人とも、日本にいた時の自分の姿を思い浮かべていたようだ。

なので、ランちゃんに関しては性別はあっている。


「いや、ぜんっぜん違うし!」


「今すごい美男子だもんねー」あはは


「ノア笑いすぎな!」


「俺は結構気に入っとる」

ジオはケラケラ笑いながら自分の胸をガシッと掴んでまだ揉んでいる。


「ジオいつまで胸揉んでんだよ」と、サンちゃんが呆れたように言った。


「今まで無かったもんがあると気になるんよ、ランちゃんもだったろ?」


「は?!いや、そんなに鷲掴みにして揉んでねぇし!」

ランは同類に言われ、顔を赤くして怒っている。


「はぁ……」


「サンちゃん?」


「性別変わっただけだなと思って……」


「うん、今度はめっちゃ美人だよ!あ、でもこれで女の人に言い寄られることは無いんじゃない?」


「……そうかもしれないけど……んー……」と、複雑そうな顔をしている。


とりあえず、お昼を食べてからゼンに相談しに行く事になった。



食堂に行くと、サンちゃん達3人の性別が変わっている事に皆驚き大騒ぎだった。

体つきだけでなく、顔もジオとサンちゃんは女性らしく、ランちゃんは男性……いやどちらかと言うと中性的な美青年になっている。

変身薬を作るのを失敗してこうなったのだと伝えると皆その変身薬(ポーション)に興味津々だった。

飲んでみたい!と言う子供が多く、落ち着かせるのが大変だった。

姿が変わる時に少し苦しいのも話したが、皆の興味が薄れることは無かった。

8時間経ったら元に戻るはずなので、ちゃんと戻れるのを確認してから飲んでみたい子には配ってあげることになった。


お昼には昨日保護して来た男の人も目が覚めたようで、今日の朝から傍についていてくれたハムザに連れられて食堂に来ていた。

昨日の事は覚えているか分からないが改めて挨拶をすると、男はリオを見た第一声が「女神様じゃなかったのか?!」と驚かれた。

言われたリオは苦笑いだ。

男の名前はドレイクと言うそうだ。家名は無い。歳は28歳だそうだ。

ドレイクは傭兵(ようへい)をしていたが、傭兵団の仲間だと思っていた人の内数人が、彼の事を気に食わないからと嵌めたそうだ。敵に密告をしていた等と濡れ衣を着せられ責められ剣を向けられたそうだ。

自分では無いと抗議したが信じて貰えず、剣で刺され、逃げてきたのだそう。逃げて逃げて、巻けた頃にはだいぶ血も流していて、リオが見つけた場所で動けなくなっていたようだ。もう死んだのだと思っていたらしい。


「大変だったんだね」


「ああ……あなたのおかげで助かった、本当に感謝している」


「暫くはうちで心の傷も癒していくといいよ」


「え、いや、しかし……」


「まだ探されてたりしたら面倒だし?」


「信じてくれるのか?」


「え?嘘なの?」


「いや、本当の事ではあるが……」


「うん?」


「その……会って間も無い俺のような者の言うことを信じるのは危険では無いか?」


「……何が?」


「いや、あなたのような綺麗な人は、警戒しすぎるくらいで丁度いい!長く一緒に仕事をしてきた者でさえ、裏切ったり等は普通にあるんだ」


「そうなんだね!心配してくれてありがとう、ドレイク」


「ッ……」


にっこり笑ってお礼を言うと、顔を真っ赤にしていた。


そしてハムザにリオはいつもああなのか?と尋ねている。警戒心が無さすぎるのでは?と心配してくれているようだ。

ハムザにリオ様は強いので、何かあってからでも対応可能なので大丈夫ですと説明されていたが、信じてない様子だった。


とりあえず、そんな心配もしてくれるんだからドレイクは良い奴だ!ゆっくりしていってねと両肩をバンバン叩きながら伝え、お昼ご飯の配膳の手伝いに向かった。


仲間だと思っていた人達に裏切られ傷つけられるなんて、どれだけ辛いだろうか……


スープを深皿に入れながら、もし自分がドレイクの立場だったら立ち直れるだろうかと考えると涙が出そうだった。



皆にも事情を話して、少し気にかけてあげてと言っておいたので、辛い経験をしてきたみんなは、想像するしかない私よりもっと気持ちに寄り添ってあげられるのではないかと思う。



身体の傷はすっかり治っているようだった。なので昼食を食べた後は子供達が外に連れ出して気分転換させてくれるようだ。いや、子供達は誰か来るといつもあんな感じなので遊びたかっただけという可能性もあるが……

まぁ、どちらにしても気分転換にはなるだろう。


ドレイクの事は心配いらなさそうなので、私達は失敗した変身薬(ポーション)の原因を解明するためにゼンの所へ向かうことにした。

と言っても、失敗の原因自体はアレだろう……違う薬草を使ったこと……

今ある薬草だけで何とか微妙に顔を変える程度の効果の薬が作りたいのが本音だ。ゼンなら作れるだろうか?やっぱり薬草が揃わないと無理だろうか?


5人でゼンの家に繋がっているゲートを潜る。

オニキスは着いてきていない。お昼もまた食べ過ぎたようだ。お腹がパンパンで動けなくなっていた。

毎食食べ過ぎていて、お腹を壊さないか心配になる。

そういえば、ダンジョンに行っているクレイ達はお昼には帰ってこなかった。最近はお弁当を持って出かけて行っているそうだ。お昼を食べに家に帰っていた時と違い、かなり本格的に潜っているようだ。

かなりレベルも離されているし、お花見が終わったら私もダンジョンに行きたな。


少々話が逸れたが、ゲートを抜けてゼンの家に行き、廊下でゼンの名前を呼ぶと、奥から返事が聞こえた。

以前も篭っていた研究室のような部屋だろう。

みんなでゾロゾロとその部屋に向かって進んでいくと、ドアが開きひょっこりとゼンが顔を出した。


ドレイク:……まさか女神様だと思って必死に訴えかけた相手が、普通の人だったなど、恥ずかし過ぎる。

それにしても……こんなに美しい人が存在するとは驚いた。傭兵団の仕事で色々な国にも行ったし、王族、貴族とも面会する機会はかなりあったが、あんなに容姿が整った人は初めてだ。それに、見た目だけでなく性格も良い人など、滅多に会えるものでは無い。俺は運が良かったな。こんな人に助けてもらえるなんて…

だが、あんなに人を信じ過ぎるのは危険だ!容姿が良いだけで拉致されたり、狙われたりする確率は跳ね上がる。わかって貰えるまでしっかり伝えねば!!




いつも読んで下さりありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ