318、ジオとサンに頼まれた事
「「リオー!」」
「「何してんの?」」
「「どこ行くの?」」
「「面白いこと?」」
「「遊ぶの??」」
桜の木がある方へ歩いていると、リオの事を目敏く見つけた子供達が駆け寄ってきて、口々に質問をした。
「お花見するって言ってたでしょ?」
「「言ってた!!」」
「いつ?」「今日?」「今から?」「でもまだ仕事が……」「中断したらいいじゃん」「でもルードが配送分の在庫がだいぶ減ってるって……」「うう……」
「あはは、そうなんだ?」
「リオ、笑い事じゃないよ!」
「そうだよ!ピンチなんだよ?」
「うん、じゃぁ、今日は皆頑張ってくれる?」
「うん!」「わかった!」「任せて!」「今日じゃないの?」「お花見?」「いつするの?」
「多分明日じゃないかな?」
「ほんと?」「わーい」「すっげぇ楽しみにしてたんだ!」「やったぁ!」
「もし明日、準備が間に合わなかったら明後日だね!」
「「えぇーーーー?!」」
「そんなに?」
子供達を、頑張って今日中に準備するから落ち着いて!と宥めると、皆は今日の内に明日の分まで収穫するんだと畑の方に戻って行った。
それにしても少し収穫を休んだくらいで配送分が足りなくなるなんて、一体どれほどの量を納品しているのか?
あまり納品分を増やされると家で食べる分が無くなってしまう。
今は子供達や奴隷達の人数も増えているので家で消費する量も以前よりも多い。
何処かの畑を借りて、箱庭の中以外でも育てれるか試してみようかな?
畑にする土地がありそうなのはスラムを片付けたペルカとセルジュの街かな?
今度領主様に相談してみよう。とそんなことを考えながら桜の木の下でお花見用の屋台や花見席テーブル等をスキルのクラフト機能で読み込み作り始めた。
これは焼きそば用かな?お好み焼きかな?とうもろこしかな?これはたこ焼き、こっちはイカ焼きかな?浜焼きかな?鉄板や網がついた屋台を作りながら、屋台料理に思いを馳せていると、にゃぁと鳴き声が聞こえた。
声のした方へパッと顔を向けると、チューリップが咲き乱れている影からオニキスがひょこっと顔を出した。
「あ、オニキス!」
「にゃぁ」
リオが朝食を食べ終え、宿の解約をしに行く時には、お腹いっぱい朝ごはんを食べて食堂で幸せそうな顔で丸くなっていた。
「起きたの?」
「にゃぁ」
「朝ごはん、いっぱい食べてたけど美味しかった?」
「にゃぁ」
「好き嫌いはないの?」
「にゃ!」
今日の朝食はおにぎり、味噌汁、卵焼き、焼き魚、サラダ、りんご、オレンジと和風な朝食だったのだが、オニキスも同じ物を幸せそうな顔で頬張り、ペロリと2人前を平らげていた。昨日も今日もオニキスの食べる量にはみんなかなり驚いていた。
オニキスに話しかけながらも、屋台を作り終わると、今度は座る場所を作っていく。
お花見といえば、長椅子に赤い布だよねー!
4人ほどが並んで座れるくらいの長椅子を1つ作り、上に赤い布をかけると、その上にオニキスを抱き上げて乗せた。
「どう?座り心地」
「にゃぁ」
なんと言ったのかは分からないが、オニキスは乗せられた椅子の上で丸くなって欠伸をしている。
オニキスが丸まっているのを見ながら、座布団もあった方がいいかな?と考えつつも、同じ椅子を次々と作っていく。
今は人数もかなり増えているので、席の用意も大変だ。
だが、先程も子供達がかなり楽しみにしていると言っていたので、そう言われると準備をするのにも気合いが入る。
出来ればお花見明日したいなーと、準備を進めていくのだった。
「できたー!」
チラッと時計を取り出して見ると時刻は11時前だった。
ズラリと並んだ屋台、屋台の前から桜の木の下まで並べられた長椅子。
その上に座布団まで乗せられている。
席数もかなり多めに作ったので、少しくらい来客があっても大丈夫だろう。
うん!いいね!
リオは満足気にそれを見ると、オニキスの所へ行き、オニキスを抱き上げお腹に乗せると長椅子の上に寝転がった。
「めっちゃポカポカしてて、眠くなるね」
「にゃぁ」
お腹に乗っているオニキスを撫でながら目を閉じていると寝てしまいそうだった。
うとうとしていると、顔に影が差し、リオ?と声が降ってきた。
パチッと目を開けると、サンちゃんが上から覗き込んでいた。
「あ、サンちゃん!店舗どうだった?」
「うん、今ジオが内装の図面引いてくれてるよ」
「そっか、ならあとは任せといたら大丈夫だね」
「だな!リオの方は?……これで完成か?」
「うん、渡された屋台は、指定数だけ作ったし、椅子も全員は座れる数作ったよ」
「凄い数だな、もう並べる所がない程だな……」
「うん……桜の木がもっと多かったら良かったんだけど……」
「これ、増やせないのか?」
「さぁ?」
「あー……またどんな機能が増えてるか見てないのか」
「ゆっくり出来る日があれば見る……かも?」
「かもかよ」
「あはは」
「それより、完成したなら次はポーションな!」
「うん、何処でする?」
「ここは……家ん中行くか?」
「そうだね!」
ヒョイとオニキスを抱き上げると、サンちゃんと一緒に赤い屋根の屋敷のリビングに移動した。
リビングに行くとカルトとキースがいた。
床にかなり大きな紙を広げて絵を描いているようだ。
何を描いているのかと尋ねると、リオがボーリング場のカフェに飾れる絵を作ってって言ったんだろ!と怒られた。
「あ、それか!」
「それかじゃねぇ!自分で頼んどいて適当すぎ!」
「頼んだから、終わった気分だったよ」
「いや、終わってないし」
「カルトもキースもお願いしたら忘れずやってくれるから……いつもありがとう」
「ん!」
「しょうがないなぁ」
2人をギュッと抱きしめると、むくれていたのも落ち着いたようだ。
「そういえば、2人だけ?」
「や、フィン達は他の部屋でしてるよ」
カルトとキースが描いている物が大き過ぎて、他の3人は別の部屋でもっと小さい物を作ってくれているそうだ。
完成が楽しみだ。
リオとサンはソファーの方へ移動した。オニキスも着いてきている。
ソファーに座ると、ローテーブルの上にサンちゃんがあちこちの商業ギルドに頼んで集めてもらった薬草を取り出し始めた。
並べられたものは端から、アベコベ草、幻覚キノコ、フラージュ草、クラーケンの目玉、ギタイ草だった。
「結局ムゲン草は見つからなかったんだよ……」
「え……」
「これで何とかならないか?」
「……どうなっても知らないからね?」
「うっ……そこを何とか……」
「うん……とりあえず、やってみようか」
サンちゃんが調べてくれた正しいレシピではアベコベ草、ギタイ草、ムゲン草で作れるはずだったのだが、材料が揃わなかった。
本当に完成するのかな?と不安に感じながらも、錬成空間を展開して、中に命の雫を入れていく。
そこに先程サンちゃんがテーブルに並べてくれた薬草を入れようとしたが、なんとなく別々にした方が良いような気がして、錬成空間を追加で4個展開した。
「なんで分けたんだ?」
「わかんない」
「は?」
「なんか、別にした方がいい気がして……」
「ふーん、錬金術スキルのレベルが上がるとそういうのが分かるようになるのかな?」そういや前も薬草適当に入れてたな……と思い出しながら言った。
「さぁ?サンちゃん薬草入れていくから鑑定しててね」
「うん」
アベコベ草、幻覚キノコ、フラージュ草、クラーケンの目玉、ギタイ草を順番に命の雫に加熱して成分を溶かしていく。
これはもう良さそうだ、こっちも大丈夫、これも……うん良さそうだ、こっちはもうちょっととサンちゃんに状態を教えて貰いながら5種類の抽出液を作った。
今度はコレを新しい錬成空間の中に入れて混ぜていく。
順番に少し混ぜては鑑定して、すこし混ぜては鑑定してと、繰り返すこと100回を過ぎようかと言う頃に、ストップ!とサンちゃんの声が響いた。
後ろで絵を描いていたカルトとキースもビクリと身体を震わすほどの大きな声だ。
言ったサンちゃんは、はぁはぁと息が切れている。
鑑定をするのにかなり集中していたようなので、体力もかなり使ったのかもしれない。
「どう?いい感じ?」
リオも自分でも鑑定してみたが、リオの鑑定では『姿形を変える薬』としか表示されなかった。
「うん、姿形を変える薬、姿形を別のものに変える薬、有効時間は8時間ほどみたいだな」
「やったね!完成だ!」
「んー……」
「どうしたの?」
「いや、使い方の説明がないんだよな……」
「ん?飲むんじゃないの?」
「いや、どんな姿になるか指定出来ないのかと思って……」
「あー!確かに……気持ち悪い虫とかになったらやだもんね?」
「そう!それだよ!困ったな……」
「ゼンに聞きに行ってみる?」
「あ!その手があったか!!」
とりあえず、ポーションの瓶に詰め替えてからゼンの所へ行って聞いてみようと瓶に詰め替えて行く。もう少しもう少しと錬成空間5個分をどんどん1つに合わせていっていたので、出来たポーションはかなりの量だった。
カルト:……
キース:カルト?どうした?
カルト:リオ、今度は何始めたのかと思って……
キース:あ、それ俺も気になってた
カルト:サンもいるからいつものポーションじゃないのか?
キース:新作かな?
カルト:ん……
キース:見に行くか?
カルト:!?いや、いい……
キース:あはは
カルト:……なに?
キース:カルトさぁ、リオのことめっちゃ好きだよな
カルト:は?!な、そ、そんな事ない!普通だ!
キース:ふーん
カルト:むっ、リオの事嫌いな奴いないだろ
キース:……そう言われたらそうか
カルト:ふぅ、早くこれするぞ
キース:はいはい!
カルト:なんだよ
キース:いーや、何でもー
カルト:むっ
キース:カルト、そんな怒んなよ
カルト:怒ってない
キース:んじゃ、拗ねんなよ
カルト:な?!す、拗ねてない!
キース:ふはっ、カルトって可愛いよな
カルト:……キース、もしかして、アレか?
キース:あれ?って?
カルト:ごめんキース、俺、キースの事は好きだけど、そういう風には考えれなくて……
キース:ちょ、ちょ、ちょっと、待って!違う!俺別に男が恋愛対象とかじゃねぇから!てか、どこでそんなん聞いてきたんだ?
カルト:前にサミールが……
キース:あー……とりあえずマジで違うから!
カルト:そうか
キース:……本当だからな
カルト:ん
キース:でも
カルト:ん?
キース:ダチとしてはめっちゃ好きだぜ
カルト:ん……
キース:照れてんの?
カルト:照れてない
キース:顔赤いぜ?
カルト:赤くない!
キース:本当に?
カルト:しつこい!早く絵をかけ!
キース:へーい
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