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第2話 教皇

凱旋したクランを出迎える王都ザナドュの人たち・・・

ローディス教国を統治する教皇ウルバヌスとの謁見に望むクラン

ローディス教国は、海に面し海上貿易が国力の源となり大陸でも強大な勢力を維持している。

ローディス教という唯一神の宗教を国境とするこの国では、政教が一致しており教皇がすべてを統治している。


「クラン様。」

国都ザナドュの城門をくぐる私の横にサームが馬を寄せてきた。

「浮かぬ顔をしておいでですな。」

サームはいつも私が何を考えているのかを顔を見るだけで当ててしまう。

「教皇様は私がお嫌いだから。奴隷だった私のことを…」

「この国の宗教は、差別を禁じています。しかし教義などは統治者の意思によって簡単に変えられてしまいますからな。」


サームはなおも言葉を重ねようとしたらしいが、私の沈んだ瞳を見てやめたようだ。

「王宮にはきっとあのかたがいらっしゃいます。久々にお会いできるといいですな。」


サームの言葉に私の心は少し明るくなる。

あの人と会うのはひさしぶりだ…


「ロックハートただ今帰参いたしました。」

謁見の間に入り私は階下に跪いた。

「ごくろうだった。」

教皇ウルバヌスは、年齢は50を過ぎた小柄かつこ太りな男で、正直この貧相な男が大国ローディスを牛耳っているとは今も信じられない。


「敵の主将ラドゥは討ち取り敵軍も壊滅。これでカージャール朝も肝を冷やしたであろう。」

そういうとウルバヌスは、侍従に合図し私の前に大きな重そうな箱を置かせた。

「金貨3000枚が入っておる。褒美じゃ。」


世の中は上手く出来ている。教皇が私のことを嫌いである様に私も教皇を好きではない。

「有り難き幸せ。」

「それにしても…」

立ち上がりかけた私にウルバヌスが声をかけた。

「奴隷というものは失うものがないからかな、本当に強いものじゃな。」

「!!」

「労役に使うよりはるかに役に立つぞ。」

そういうとウルバヌスは大きく笑った。

「失礼仕ります。」

私は謁見の間をでると思いきり壁を殴り付けた。

「私たちは…道具じゃない…!」

私の小さく無力な叫びは誰にも届かない…


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