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百四話 消えた娘

「.....入るぞ」


 儂はある部屋の前でノックする、唯一戻っているというミロの。


「どうぞ、父」


「じゃあ、失礼する」


 中からミロの返事、儂は扉を開き中に入る。


「おわっ⁉︎またか、全く」


「ちょうど良かった。父、これ片付けて」


 中に入ると目に入ったのか菓子の空箱の山、よくもまぁ帰ってきた直後にこんなに食えるもんだ。


 聞いた通りミロは変わった様子はなさそうか。にしても食い過ぎだろ、土産に買いまくってた菓子がなくなる勢いだな。


「すまんが、今は時間がない。すぐに出ないとならん用事ができた」


「メルねぇのこと?それともジェリねぇ?」


 今はそんなことをしている場合じゃない、ミロの部屋に来た理由は姉二人がいなくなったことを伝えるため。


 だが、もう気づいてたか。


「メルねぇのことなら留守番してる、あむ.....もぐむぐ」


 儂が何かを言う前にミロが再度口を開く。


「ん、ジェリエだったら?」


「ジェリねぇだったら、ちょっと心配かも」


「そ、そうか、まあ良い。わかってるみたいだから儂はもう行く」


 ミロの考えていることはいまいち分からん、話が早いのは助かるが。


「そっか、メルねぇのことだったか。じゃあ、頑張って.....あむ、むぐむぐ」


「ついてくる気はない、か。じゃあな、ちょっと出てくる」


 メルルナのことだと察したミロは有言実行と言わんばかりに布団に体を預ける、どうやら本当についてくる気はないらしい。


 自分の姉が心配じゃないのか?それともメルルナのことを信用しているのか?


「まぁ、今はどっちでも良いか」


 ミロの部屋から出た後は玉座がある場所へ向かう、帰ってきたこととまた出ることを伝えるために。


「あらぁ〜ン、魔王様。帰ってきたのねぇ〜ン」


 扉を開いてすぐ、特徴的な声に出迎えられた。四天王グランガ、なかなかに久々の再会だ。あまり嬉しくはないが。


 ん?コイツ、今回は結構ピシッとしたもん着てるじゃないか。コイツの服はコロコロ変わるがタキシードか、また趣味の違ったものを。


「魔王様、おかえりなさいませ」


 遅れて同じく四天王、ベラ。相変わらずの堅い挨拶だ。そして次は.....待ってみるも声はなし。


 ん、おかしいな。もう一人いるはずだが姿が見当たらん。


「バロガードはどうした?」


「それがねぇ〜ン、少し前からいなくなっててぇ〜」


「やはり悪魔は信用ならないな。魔王様、今すぐにでも奴は席から外すべきでは?」


 儂の問いにグランガが答えてくれた、何も言わずにどこかへ行ったらしい。ベラからはなかなかにキッツイ言葉が。


「まぁ、それは良い。元よりこういうことは承知の上での採用だったしな。それより儂が不在の間は問題は起きなかったか?」


「特筆すべきことは何も、勇者も現れることはなく平和でした」


「そうか、ありがとう。帰って早々悪いが、またしばし開けることになった」


 儂がいなかった間のことへの確認、そして外出の報告を済ませてーーー


 やっと、レンセツの元へ。


「おお、来たか。じゃあ行くか、ガー坊」


 今回はニュイはいないし、ミロにも同行を断られたためルイナとレンセツとの三人だけ。


 なんか呼び方が戻ってるな、まぁ良いか。護衛はもう終わってるし。


「ん、歩いていくのか?」


「ああ、そこまで遠くはないからのう。それに道中にお前に話があるしな」


 歩きだしたレンセツ、てっきり馬車かなんかで行くのだろうと思っていたから少し驚いた。


「話ってのはメルルナ関係か?」


「焦るもんじゃない、ゆっくり話そう」


 儂の問いにレンセツはそう言い、同じ速さで歩を進めていく。


 なんでコイツはこんな落ち着いてんだ、メルルナの居場所は分かってるっぽいがそこまで安全だと確信できる理由は一体.....


「魔王様、レンセツ様のことなのですがどうやらお酒を持っていないようです」


「何っ⁉︎んなアホな、酒を持たずに外に出てるだと」


 少し歩いたところでルイナが口を開いた、衝撃の事実である。側から見れば変なことで驚いてるように見えるだろうがこれは娘がいなくなったことの次に異常自体。息をするように飲んでたアイツが命令なしでこんなことをするのはまずあり得ないことだった。


「むぅ、バカにしすぎじゃろ」


 今の言葉にレンセツが反応した。


「無駄話しおって。ガー坊、娘が心配じゃないのか?」


「んな、おま.....!」


 お前がおかしいからこっちはテンションの持っていき方が分かんなくなってんだろうが!そんな言葉が喉からでかかった。


「はぁ、分かった分かった。近いとはいえちぃとばかし歩くからゆっくりと考えておったが、待ちきれんと言うなら仕方がないのう」


 儂の方を一瞥したレンセツ、やれやれといった様子でそんなことを言い始める。そして一言、


「お前は自分の嫁が死んだ時のことを覚えとるか?」

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